【第19回】『週刊ツリメ』/「サッカー日本代表ベスト16敗退」

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公開日:2018/7/6

 W杯の開幕前、第15回のエッセイにて「分析した結果、ドイツが優勝する」と豪語したツリメ氏。見事予想を外した!

 しかもドイツはグループリーグ最下位で敗退。こんなこと誰が予想した? 優勝国候補として上がっていたゲルマン民族が決勝トーナメントで観られないのはとても辛い。ビールとウインナーもドイツ国内では、売れ残っているだろう。あのドイツサッカー界の英雄オリバーカーンさんもきっと驚いている筈だ。

 それにしても今すぐにでもあの記事を削除したい。もし僕が監督だったら帰国した空港内でパイケーキを顔面に投げつけられても可笑しくない。しかしこの世に名を轟かすだろう。「パイケーキ監督」と。

 周囲ではそんな予想もしなかったことが起きていたが、日本代表は決勝トーナメントに進出したのだ。8年ぶりのベスト16進出! そして対戦相手はベルギーだ。僕は仲間達とテレビの前で待機していた。勿論日本代表のユニフォームを着用。レプリカだけど気にしない。だってオーセンティックのユニフォーム高かったんだもん。5千円くらい違うんだよ。まあ隣の奴はナイジェリアのユニフォームを着ていたけどね。なんでやねんって王道のツッコミをしとけば良かった。

 キックオフは深夜の3時。良い子は寝る時間だが悪い子なんだ。なんたって右肩に「大和魂」ってタトゥーが刻まれているからね。嘘です。入れるにしても英語の方がカッコ良さそうだ。

 日本とベルギーの国家斉唱が始まった。僕達は選手と一心同体だ。左胸に手を置き、命を懸けて応援すると誓ったのだ。これほど熱くなったのは、さっしーが2011年のAKB総選挙で9位になった時以来だ。だがW杯は勝負。負けたら4年後だ。先過ぎて生きているのか分からねぇ。もしかしたら今年の夏、海で溺れてチーンかも知れない。またやリゾットにこっそり毒を盛られて口にしたらチーンかも知れない。だから勝つことを信じて全力で応援したんだ。

 準備は万端。時計の針が3の数字を刺そうとしている。チ、チ、チ、チ、チ、キックオフだ!

 序盤は互角の戦い。若干ベルギーが押している感じはするが日本も負けていない。白熱した戦いに汗を流して応援していた。試合が始まって30分過ぎようとしていた。この時ある異変に気付いた。自分汗臭いなって。

 しかしこの試合は1秒たりとも見逃せない。見逃した瞬間点が入ってしまうかもしれない。それに臭いごときで席を外す訳にはいかない。

 でも臭いし体がベタベタするな。そんなこと言ったら試合に出てる選手の方が汗かいてるしベタベタしてるわ。長友選手見てみ? 汗で濡れた金髪が光に当たって輝いているよ。ていうか金色のガッシュベルに登場してたキャンチョメってキャラクターにそっくりだ。そんな事はどうでもいいのだ! もう前半も終わろうとしているじゃないか!! スコアは、0対0。現在のワッフルベルギーは歴代最強と言われている。強豪クラブで活躍している選手が集まっているんだ。そりゃあ強いよ。そんな相手にスコアレスドローとは本当に凄い。

 サッカーというのは前半、後半と別れていてその間にハーフタイムという時間がある。簡単に言うとお昼休みだ。時間は15分。僕はにおいとベタベタに我慢の限界が来ていた。

「流石に15分あれば間に合うでしょ」と思ったツリメは、前半終了の笛が吹かれた瞬間お風呂場にダッシュしたのだ。そして蛇口を捻ってシャワーを浴びた。なんて気持ちいいのだ。やっぱり一生懸命応援した甲斐があった。この汗は二度と忘れないだろう。あとにおいも。

 ここでツリメ氏の注意事項を言おうと思う。コイツはお風呂が異様に長いんだ。昔からそうなのだ。湯船に浸かれば30分以上は余裕で浸かっている。この時はシャワーだったのだが最高過ぎてボォーっとしてた。ここでドンドンドンっと音がしたんだ。僕はなんだっと思ってシャワーを止めた。そしたらアバンティーズのエイジがドアを思いっきり開けて、こう言ったのだ。

「日本1点決めたよ!」

 エエェええええ! マジカヨオォ!! タイミング悪っ! ていうかどんだけシャワー浴びてるねん!!

 しかしまだ体に泡が付いていたからもう一度シャワーを浴びたのだ。直ぐに洗い流してタオルで体を拭いていたらまたドンドンドンと音がしたのだ。

 今度はなんだ。ベルギーが1点入れた悲痛な知らせを伝えに来たのかな?って思ったけど違かったのだ。

「日本がまたゴールしたよ!」

 やばすぎいいい! やっぱりワッフルより日本の煎餅の方が美味しいもんね!! 僕達は蝶々のように舞い上がった。自分は上裸だったけどね。

 ここで悟ったのだ。もしかしたらベスト8に進出できるんじゃね? その歴史的瞬間に立ち会えるのは奇跡だ。

 しかし現実はそんな甘くなかった。後半69分、74分と立て続けに点を入れられて同点になったのだ。ワッフルの意地が爆発したのだ。

 僕達は蝶の舞を辞めた。その後は点も入らず後半の終了に近づいていた。延長戦に突入かと思っていた矢先、赤い悪魔が微笑んだのだ。日本からボールを奪ってベルギー選手達が猛ダッシュしたのだ。あれはほんの数秒の出来事だった。奪ってから約10秒の間に1点入れたのだ。そしてそのまま笛が吹かれた。

 これが世界の強豪国かと痛感したんだ。僕達は呆然と立ち尽くすしか無かった。試合後の日本選手達のインタビューに観て涙を流したのは一生忘れない。本当に悔しかった。

 次のW杯は4年後カタールで開催される。その時もシャワーを浴びている最中にゴールが生まれるんだろうなと思い浮かべながら僕はまたお風呂場にいたのだ。汗をかいたのさ。

◆執筆者プロフィール
ツリメ(byアバンティーズ)
YouTuberプロダクション・UUUM(ウーム)株式会社所属。埼玉県出身の現役大学生でもあり、年齢は21歳。90万人のチャンネル登録者を抱える人気グループ「アバンティーズ」の一員として活躍しているが、じつはYouTuberを続けるか就職するかで悩んでいる(というかそもそも卒業できるのかアヤシイ)。絵心はないがイラストを描くのが趣味で、メンバーからは「画伯」と呼ばれている。

ツイッター:@turime1996
インスタグラム:turime1996
アバンティーズ:Youtube

執筆者プロフィール
ツリメ(byアバンティーズ)
埼玉県出身、年齢は23歳。チャンネル登録者数160万人超の人気グループ「アバンティーズ」のメンバー。
絵心はないがイラストを描くのが趣味で、メンバーからは「画伯」と呼ばれている。
ツイッター:@turime1996
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