【第20回】『週刊ツリメ』／「アバンティーズ、YouTube登録者数100万人突破しちゃった」

　100万人を達成した瞬間、初めてカメラの録画ボタンを押してレンズに向かって話しかけていた中学校の頃を思い出した。当時は何も考えずにはしゃいでたな。アバンティーズの中学時代はメンバーが沢山居たんだ。現在は4人だけど、10人以上は居た気がする（笑）。

　ある日、学校からチャリンコで20分くらいで着く河川で撮影してたんだ。そこで石投げをしてたら、その石が友達に当たってめっちゃ痛そうな顔をしていたな。眉間にシワが寄り過ぎてすっぱい梅干食べたのかってツッコミしたくなる程だった。それに橋から川に飛び込んだ奴もいたな。それらをYouTubeにアップロードしてたら中学校の先生に怒られた日もあったなぁ。懐かし過ぎて「懐かし涙」が地面にポツンと落ちそうだ。

　中学3年の秋に呼び出しを食らったんだ。この時期は高校受験の為に勉強をしていた傍ら動画を撮影していたんだ。だからちゃんと勉強しろって説教されるんかなって思ってたんだけど全然違ったんだ。

　まず中学校の先生方が何故YouTube活動を知っていたかは僕達も分からなかった。誰が言ったのかを考えたところで無駄だった。予想だと同じ学年の生徒か保護者だ。まぁいつかはバレるだろうと危惧はしてたんだけど、最悪な状況に直面したのだ。ドアを開けると、強面の先生達が立っていた。担任、学年主任の先生、数学の先生、歴史の先生、中学校の四皇が集いに揃ってたんだ。窓から見える枯葉が焦げ茶色していた反面、 先生諸君の頭は焦げていた。これじゃあ伝わりづらいな。もうプンプンだったのよ。そこで僕達は激怒された。当時はバンバン有名アーティストの曲を動画で使用していたんだ。例えばAKBの曲とかね。そこで初めて「著作権」って言葉を知ったんだ。「お前ら訴えられたら何百万って払わなきゃだぞ？」ってヤクザが言いそうな台詞を言われた時はちびりそうだった。しかし今では有難いと思ってる。ボロボロに説教されたお陰で現在まで大きな炎上はしてこなかった。強面先生達ありがとう。

　そして後日、学校の校長先生直々に呼び出しを食らったんだ。校長室のドアを開ける瞬間は、ドラゴンクエストで最後のボスを倒しに次のフロアに行く感覚と似ていたのを覚えている。この闘いは惨敗だった。めちゃくちゃ怖かったのだ。やはり言葉の重みが違う。1番覚えているセリフは「もしお前らの親だったら顔面ボコボコにしてたぞ」だ。走馬灯が一瞬だけ見えた様な気がしたんだ。直ぐに正気に戻れたのが幸いだった。

　そんなエピソードが昔にあったんだ。急に思い出が頭上から雨の様にポツポツ降ってきたんだ。さっきは強面先生とラスボス校長の怖すぎる話をしたけど、楽しい思い出ももちろんあった。登録者が500人を突破した時は、メンバーとめちゃくちゃ喜んだ。多分、100万人突破した時より飛び跳ねてたよ（笑）。でも500人と100万人達成した時の違いもある。それは100万人を達成した瞬間にYouTuberの皆さん、視聴者皆さんから「おめでとう」のメッセージが沢山届いたんだ。これほど感極まることはない。登録者の数字を意識して活動してきた訳じゃない。自分が進んできた道は間違っていなかった。僕はこの為にやってきたんだなって感じたんだ。皆んな好きだぞ！　こんなにも色んな人からお祝いされるなんて思わなかったし改めて周りに恵まれてるなと感じたんだ。

　しかしここまで来るのに長い時間が掛かった。達成した時にエイジ、そらちぃ、リクヲが挙って「約7年掛かったよ」って言ったのが印象に残ってる。僕達そんな続いてたんだ。お笑い芸人のコンビでも7年続くのは大変だよね？　そう考えたらアバンティーズすげぇな。

　ていうか僕のエッセイ並みに文章書いてメッセージくれた人めっちゃいるやん。あとあと僕の挿絵よりも作画力あるツリメを描いてくれたりしてね。視聴者が協力し合ってエッセイと挿絵作成したら凄い作品が生まれるんじゃないかな？　もし病気で入院した際は僕のゴーストライターになって貰いたい。世間にバレたらちゃんと記者会見を開くだろう。そして記者に「ツリメさん、貴方が本当にエッセイを執筆しているんですか？」と問われたら耳が聴こえない振りをして「書いてます」と答えるだろう。