『週刊ツリメ』「ミノロック3」/【第27回】

エンタメ

更新日:2018/9/7

 頭がボォーっとする。カーテンの隙間から差し込む陽射しが顔に当たって目が覚めた。洗面所に向かって、鏡で自分を見ると顔がむくんでいる。そんな時は顎のリンパに老廃物が溜まっているのが原因らしい。そうフェイスサロンの先生が言っていた。2週間前に小顔マッサージのエステをしたくなって行ったのだ。

 僕は先生がやっていた様に、下から上に顎のラインを拳で強く押しながらマッサージをした。腫れが取れた様な感じはしたが、目周りのむくみは取れていない。そういえばそこの部分は教わらなかったなと悔しい持ちになった。今日はこんな顔でステージに立たなければいけないのかと嘆いたが仕方ない。

 8月27日、渋谷の道玄坂を登って細い道に入ったところにあるTSUTAYA O-EASTにて、「ミノロック3」ってLIVEがあったんだ。事務所関係なく、色んなYouTuberが出演するんだ。カリブラ、夕闇、へきとら、ジェニーちゃん、財部さん、としみつ、そしてツリメとそらちぃ。過去に1と2があって、今回で3回目。キャパは約1200人。過去最多規模だ。ちなみに僕は初回から出演している。ここが学校ならば皆勤賞を貰っているところだ。

 僕は何をするかと言うとBEATBOXだ。名前にロックって書いてあるから、ツリメもバンド組んでやるの?って知らない人は思うだろう。中学生時代、周りの友達はギターを買ってplayしてたんだ。当時はRADWINPSとかONE OK ROCKがクラスで流行っていて、その影響でバンド組む人達がいたんだ。

 そのとき僕は考えた。その輪に入る為には、楽器を扱える様にならなければならない。やっている人が少なかったベースを買ったんだ。ところが1週間で辞めてしまった。チューニングが出来なかったのが原因だ。どうしても少しズレてしまうんだ。それでイライラが溜まって辞めてしまったのだ。

 しかしBEATBOXは今まで5年以上続いているんだ。理由をいくつか上げると、まずチューニングをしなくて済むから(笑)。そして場所を問わず練習が出来るんだ。僕はスーパーでもトイレにいる時もする。だから長年やってこれなのかな。

 午前9時過ぎに僕は会場に到着した。O-EASTに来るのは2度目。前に来たのが高校2の秋くらいかな?此処で初めて生音のBEATBOXを聴いたんだ。あの時の衝撃は忘れた事がない。「うぉおおおおお!ヤベェ!!」って語彙力の無い表し方だが、本当にそんな感じだったのだ。ステージに立っていたBEATBOXERの人達はキラキラ輝いていた。

 YouTubeで聴いたのがキッカケで始めたのだが、いつか自分のBEATBOXで色んな人を魅了させたいって興奮しながら思ったのが此処の場所なんだ。

 そして今回のLIVEの為に作った曲がある。

 これは僕が大好きなBLACK PINK様の뚜두뚜두(DDU-DU DDU-DU)のカバー曲だ。この制作秘話をここでしようと思う。何が1番苦労したかって言うと、メロディーの音程合わない問題。友達の作曲家と共にレコーディングをしたのだが、BEATBOXの音程とデモで作ったメロディーの音程が全然合わないのだ。あの時べースを置かなければ良かったと後悔した。

 友達に「もうちょっと音程高いかな?」って言われて、再度音を出すと「高すぎじゃボケ!」って漫才の様なやり取りの繰り返し。流石にこのままじゃマズイと考えた2人は、ピアノの鍵盤を利用して音程練習を始めたんだ。

 これもまぁ酷かった。まず「ド」の声を出すのに何度も作曲家とバトルした。「それ半音高い」「半音低いよ」「ふざけてやってるの?」とか(笑)。完成するまで毎日練習し続けたんだ。汗を流した成果もあって、無事レコーディングはなんとか終了して曲も完成した。ところが実際のライブではメロディー部分ではなく、リズム部分をBEATBOXでやったのだ。結局本番までに音程を操る事は出来なかった。残念無念。

 そして本番当日、自分の番がやってきた。舞台袖から名前を呼ばれるのを待つ。胸の鼓動が鮮明に聞こえてきて、緊張しているのが自分でも分かった。数秒前に水を飲んだ筈なのに喉が乾く。そんな事情もお構いなく名前が呼ばれた。ゆっくりと歩きながらステージ中央に立った僕。お客さんとして観戦していた、あの頃の憧れの存在に一歩近づいた気がしたんだ。

◆執筆者プロフィール
ツリメ(byアバンティーズ)
YouTuberプロダクション・UUUM(ウーム)株式会社所属。埼玉県出身の現役大学生でもあり、年齢は21歳。90万人のチャンネル登録者を抱える人気グループ「アバンティーズ」の一員として活躍しているが、じつはYouTuberを続けるか就職するかで悩んでいる(というかそもそも卒業できるのかアヤシイ)。絵心はないがイラストを描くのが趣味で、メンバーからは「画伯」と呼ばれている。

ツイッター:@turime1996
インスタグラム:turime1996
アバンティーズ:Youtube

執筆者プロフィール
ツリメ(byアバンティーズ)
埼玉県出身、年齢は23歳。チャンネル登録者数160万人超の人気グループ「アバンティーズ」のメンバー。
絵心はないがイラストを描くのが趣味で、メンバーからは「画伯」と呼ばれている。
ツイッター:@turime1996
インスタグラム:turime1996
アバンティーズ:YouTube