つぶやきシローの青空読書『蟹工船』を読んだよ
更新日:2013/12/20
『蟹工船』小林多喜二
昭和4年に発表された、小林多喜二の小説。オホーツク海で蟹を漁獲し、加工する船上工場施設=蟹工船での労働者の日々を描いている。船上は労働法の適用外にあるとして、出稼ぎ労働者に対する非人道的酷使がまかりとおり、政府も国策として事態を容認していた。過酷な労働下で暴力や虐待を受け、次々と倒れる労働者たち。しかし彼らは次第に就業待遇の改善について考えはじめ、ストライキに踏み切るのだった。
社会主義思想や共産主義思想と深く結びついた”プロレタリア文学”として高く評価を得ている。2008年に新聞の書評で取り上げられたことから再ブームを巻き起こし、その年の流行語大賞に選ばれた。弾圧の時代に書かれた力強い文章が、すべての働く者たちに勇気と感動を与える名作である。
数年前に大ブレイクしたプロレタリア文学の金字塔、『蟹工船』。オホーツクの海で蟹を捕って缶詰に加工する船で働く労働者たちの話だね。下の者が上の者に搾取されて、人以下の扱いを受けるのよ。働けど働けど暮らしは楽にならない、貧乏な労働者の話。昔も今もワーキングプアってあったんだね。
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まずこの作品の全体を通して感じたのは、「これから蟹缶喰いづらいな?」ってことだよね。こんな酷い状況で作られたものだと思うと、なんだか美味しく食べられないじゃない。まぁそもそも僕、蟹があんまり好きじゃないんだけどね。
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小さい頃、「働きたくないから、将来はホームレスになりたいなぁ」って母親に言ったことがあるのよ。そしたら「ホームレスになっても、そのなかで一番になんなきゃダメなのよ!」って怒られたんだよね。ド底辺の出稼ぎ労働者が集まる蟹工船のなかですらヒエラルキーがあったし、どこに居ても使う側の人間になれないと負けなのかなって思ったね。
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僕は雇われの身の方がラクだと思うのね。労働者は肉体的、精神的に辛いけど、仕事を与えられていることの幸せっていうのもあると思うのよ。経営者って頭使うし、会社が潰れちゃったらタイヘンじゃない。…っていう考えがもう、国に洗脳されて働く労働者の思想なのかもね。
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過酷な労働のうえに鬼監督から暴力を受けて、バタバタと倒れていく労働者たち。そんな毎日に耐えかねた彼らは、待遇改善を求めて立ち上がるんだよね。でも一回目のストライキは失敗に終わる。代表である青年たちが、”国”の前に倒れちゃうのよ。まさに労働者と国との闘い。勧善懲悪ものだから、読んでいて分かりやすいね。
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