つぶやきシローの青空読書『蟹工船』を読んだよ

更新日:2013/12/20

つぶやきマーカー

「とにかく臭い話なのよ。汗にまみれた男たちが閉じ込められた蟹工船。汗のすっぱい匂いが漂う、強烈な文章だね」

蟹工船の中は、男ばっかりの部活の部室の何百倍も臭そうなのよ。読みながら思わず顔をしかめちゃうほどだね。労働者たちは『ヒヒヒ…』とか不敵に笑うし、雨は『納豆の糸のよう』に降る。ホッと癒される描写がほとんどない、強烈に臭ってくる文章だね

「蟹工船までは行かないけど、学生時代につら?い日雇い労働をしたことあるの。その時のことを思い出したよよ」

学生時代、日雇いのバイトをしたことがあるんだよね。夜中暗?い車にぎゅうぎゅうに乗せられて、兵隊みたいに移動させられる。着いた倉庫では、冬なのにTシャツを着せられてひたすら作業するんだよね。蟹工船まではいかないけど、とにかく臭いし辛かった。『こんな過酷な労働から抜け出るために絶対に売れてやる』って必死だったね。結局めんどくさくなっちゃって一日しか行かなかったけどね

「国家の敵であるロシア人からプロレタリアを学んだ漁夫たち。ロシアは仕事で行ったことがあるけど、ボルシチとピロシキが美味しかったなぁ」

蟹を捕っている途中に行方不明になった漁夫たちが、たまたまロシア人に助けられるのね。そこで彼らは”プロレタリアとは何ぞや”を学ぶ。働く人が縮こまり、働かない人は偉張る日本の労働の在り方に、闘うべきだという決心を固めるの。船に戻った彼らは仲間にこの話をして、初めてのストライキに向かって結束してくんだよね。臭くて辛くて暗い日々が続いたけど、ここからが物語の読みどころだよ

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「僕は船酔いもするし、こんな過酷な毎日に耐えられそうにないから、船から飛び降りてイルカにでも乗って家に帰るね」

一回目のストライキは代表者を決めて実行したのね。そしたら謀反を起こした者として、代表者だけ逮捕されちゃうのよ。この失敗を生かして、彼らはまた立ち上がる。今度は全員が代表だってね。いくら鬼監督でも、自分達全員を排除することはできない、って彼らは気づくのよ。彼らは強いし偉い。会社に愚痴を言えないサラリーマンたちは読んでて勇気付けられるだろうね。僕ならこんな労働環境に耐えられないから、早々にイルカにでも乗って帰るけどね

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愛情表現が不器用な父と、父を誰よりも尊敬し貧しい生活をも明るく楽しく過ごす息子・健太の物語。不足した日常は彼らにとって不幸ではない。しかし、健太が小学校に入学する頃、突然二人の生活に終わりが訪れる。理想な親子とは?つぶやきシローがその問いを投げかける。

僕が思う理想の親子を書いてみました。
こういう父親、こういう息子が今の時代もいてもいいんじゃないかって思います。