第40回『チンコ鉄道999』/森田哲矢(さらば青春の光)連載

2018/9/15

金足農業の大躍進に沸いた夏の高校野球第100回記念大会。
強豪校を次々となぎ倒して勝ち進んでいく公立高校の姿には勇気を貰いました。
金足農業だけではなく、優勝した大阪桐蔭をはじめ、沢山の球児たちが連日の猛暑の中、白球を必死で追いかけるその姿を見て、

 

あー、この子たちもいつか風俗行ったりすんのかなー?

 

などと、少し寂しいような嬉しいような感情で胸一杯になった今年の夏。
ということで、今回は風俗レポ回です。

 

特に良い枕も思いつかなかったので、強引に今年盛り上がった高校野球から風俗に結びつけるという、下衆にしかできない離れ業を冒頭からやってのけました。
高野連からの連絡が来ないことを祈るばかりです。

 

さて、今回は風俗レポ回と謳ってしまったので、過去に僕が行って、強烈なインパクトを残してくれた、とあるお店をご紹介しようと思います。

 

僕は『痴漢電車専門店』なる風俗店に行ったことがあります。痴漢をしたい男たちが夜な夜な集まる、いわゆる店舗型の風俗店です。
そのお店の凄いところは、普通の雑居ビルの一室に、しっかりとした電車のセットを作っているということです。
上からは吊り革が何本もぶら下がっていて、その吊り革を数人の女の子たちが掴んで、スタンバイしてるところから始まります。
スタンバイが完了すると、次々と客の男性が電車内になだれ込み、好みの女の子に痴漢をするという画期的なお店でした。

 

電車内の椅子もベロア素材のちゃんとした椅子で、全体的に割としっかりとセットを作りこんでいる為、本当に電車の中で痴漢をしているような気分になります。
日常では決してやってはいけないという背徳感と、実際にそれをやっているという優越感が混じりあった何とも言えない感覚が味わえる凄いお店です。

 

最後は自分が痴漢した女の子と別室に移動し、手なり口なりで抜いてもらって終了というシステム。
しかし、出すものを出してスッキリとした筈の僕でしたが、どこか物足りなさを感じていました。
それはなぜかというと、元来の性癖がMだからです。

 

そもそも痴漢という行為にあまり興味がない上に、こと風俗においては攻めるよりも受け身の方が好きだという性癖のせいでした。
この電車というコンセプトのままで、自分の性癖を満たしてくれるお店はないものか?
そんなことを考えながら五反田の街を歩いていると、ようやく見つけました。

 

『逆痴漢電車専門店』

 

Mの人間なら一度は憧れる逆痴漢。
都内のどの路線に乗れば逆痴漢に遭うのか?
そればかりを考える日々に、ようやく終止符が打たれる時が来たのです。

 

僕はすぐにそのお店のホームページに書いてある住所に向かいました。
お店には到着しましたが、そこには受付しかありません。
聞けば店舗型ではなく、ホテルでのサービスになると言われました。
電車内で逆痴漢されるコンセプトやのにホテル?
という当たり前の疑問を抱きながら、お店のルールや、注意事項を聞き、とりあえずホテルに向かいました。

 

ホテルで少し待っていると、部屋のドアがノックする音が聞こえてきました。
僕がドアの方に行くと、少しだけドアが開いていました。
すると、その少し開いたドアから、小さな袋を持った女性の右手だけが出現しました。
よく見ると、女性が持っている透明の小袋の中には、ボディソープとアイマスクが入っていました。
僕がイマイチ状況が飲み込めずそわそわしていると、少しだけ開いたドアの外から嬢が喋りかけてきました。

 

嬢「この袋を持ってシャワーに行ってください。お客様がシャワーをしている間にわたしは部屋で準備します。シャワーが終わるとお風呂の中から声をかけてください。そうしましたら、わたしはトイレに隠れますので、その間にお客様はベッドの方に行っていただき、アイマスクを装着し、中にある吊り革を持ってお待ちください」

 

部屋の中に右手だけを入れた女性が、ドアの前で長々と説明してくました。
僕は一瞬、鶴の恩返し的な感じか?
と思いましたが、要するに、プレイが始まるまで一切顔を合わせないというコンセプトのお店です。
恐らく顔を合わせない為にはどうすればいいのかを、考えに考えて導き出した一番合理的な行程がこれだったのでしょうが、金田一の犯人ぐらいややこしいことをしています。
とりあえず僕は嬢の言う通りに、小袋を持ってシャワーに向かいました。
体を洗っている間、色々な妄想をしつつも引っかかる点が一つだけありました。

 

“シャワーが終わったら、中にある吊り革を持ってお待ちください”

 

中にある吊り革?
確かに一応逆痴漢電車専門店と謳っている店。
前に行った店は店舗型の為、しっかりと電車のセットがあり、吊り革が何本もぶら下がっていました。
しかしホテルで吊り革ってどういうこと?
そんな疑問を抱きながら、シャワーを終えた僕は、言いつけ通りお風呂の中から、
「お風呂終わりました」
と声を掛けました。
しかし、お風呂場から部屋までは少し長めの廊下がある為、聞こえてなかったみたいなので、
「お風呂終わりましたー!!」
と、中々の大声で言いました。
すると、さささっとこちらに歩いてくる足音がし、お風呂場の目の前にあるトイレに嬢が入る気配がした後、
「では部屋に向かって、吊り革を持ってアイマスクをしてお待ちくださーい!!」
とトイレから嬢が中々の大声で叫ぶ声が聞こえてきました。
ほんまにここまでせなあかんことなんか?
と思いながら僕は素っ裸で部屋の方へと向かいました。
少し薄暗くなった部屋に入ると、驚愕の光景が僕の目に飛び込んできました。
部屋の中にあるクローゼットが全開に開けられ、ハンガーをかける棒に、吊り革が一つだけぶら下がっていました。

 

え? これ? これ握って待っとけってこと?

 

そして、ふとテーブルを見ると、小型のスピーカーが置いてあり、そこから電車の“ガタンゴトン”という音が流れています。

 

どういう世界観?
僕は気を抜いたら笑ってしまいそうな光景にびっくりしながらも、とりあえず言われた通りアイマスクをして、吊り革を握りながら待つことにしました。
どえらい店来てもうたなぁ。
と思っていた僕の耳に、スピーカーから新しい音が飛び込んできました。

 

「次は~、日暮里~、日暮里~」

 

日暮里!?
ここ日暮里なん!?
五反田ちゃうの!?
もしくはせめて五反田の前後の駅ちゃうの!?
日暮里!?
なんで日暮里なん!?
しかも音のリアリティ的に絶対ガチで録音してるやつやん!?
日暮里まで録音しに行ったんや!?
とりあえずここは山手線の車内っていう設定でええんかな?
東京以外の方は全く分からないと思いますが、日暮里は五反田から山手線で10駅は離れている駅です。
自分の住んでる地域の駅に勝手に置き換えていただけると有り難いです。
僕がまさかの日暮里に気をとられていると、コツ、コツ、と恐らくハイヒールで歩く音がこちらに近づいてくるのが分かりました。

 

視覚を遮られ、聴覚だけの情報収集。
今のところ得ている情報は日暮里とハイヒールだけです。

 

そして、嬢がいよいよ歩みを止め、僕の真後ろに立ったのが分かりました。
僕は、視覚を遮られるという状況に、やたらと興奮している自分に気付きました。

 

今オレの真後ろには痴女がいる。

 

そう思うとめちゃくちゃ興奮してきました。
そして、痴女は僕の肩に後ろから手を回し、僕の背中に柔らかな胸を押し当てながら、僕の耳元で吐息を漏らしながら、めちゃくちゃセクシーな声で囁きました。

 

「出発進行~」

 

マジか!?
そんな始まりかたなん!?
いらんいらん!
そんな無理に電車に寄せんでええて!
ほんで「出発進行」って言うってことはあなたは車掌っていう設定なんすか!?
痴女の車掌って何!?

 

明らかに集中力が削がれる僕。
車窓から見える景色は、見渡す限りのクエスチョンマークです。
しかし、スタートこそ気になったものの、そこからの痴女の逆痴漢っぷりは流石でした。

 

「何されにきたの?」
「こんなとこ触られて、みんなにバレちゃうかもね?」

 

などの巧みな言葉責めを駆使し、なんとかエロい車内に引き戻してくれました。
視覚を遮られるというのはこれほどまでに興奮するのか?
僕はそう思いながら、この嬢の声に合う一番綺麗な女性を想像し、その人に痴漢をされているんだとしっかりと思い込むことで、どんどんとこの逆痴漢電車という世界観にのめり込んでいきました。

 

僕が想像したその人は、ほぼ真矢みきさんでした。
僕が日本の女性の中で最も好きな、真矢みきさんに、今自分は痴漢されているんだと思い込むことで、更に深くまでのめり込んでいきます。
そういう意味では、最初の「出発進行~」も真矢みきさんが言ったと思うと、物凄く可愛く感じられます。
しかし、僕がやっと世界観に浸りだしたその時でした。
スピーカーから突如として邪魔が入ります。

 

「次は~、蒲田~、蒲田~」

 

蒲田!?
え!? 日暮里から蒲田!?
何線!?
東京在住じゃない方に説明すると、日暮里の次は決して蒲田ではなく、これまた果てしなく遠い上に、乗り換えしないと絶対に行けない駅です。
引き続き自分の地域の駅に置き換えてお楽しみください。

 

日暮里から蒲田?
蒲田もこれはJRの蒲田か?それとも京急線の蒲田か?
だとしたら品川乗り換えか?

 

またも集中力が削がれる僕。
嬢からのどんなにエロい言葉責めを受けようが、頭の中は東京の路線図でいっぱいです。
ナビタイムのCMのヘルメットをかぶった外国人まで頭の中に出てくる始末。
しかし、車内に真矢みきさんがいることを思い出し、なんとか再びエロ車内に戻る僕。
真矢さんの凄腕テクニックと巧みな言葉責めを全身で受けながら電車の中で悶える僕。
どんなに揺れる電車に乗っている時よりも吊り革を強く握りしめる僕。
ちょっと真矢さん!いくら満員電車でもそれは大胆過ぎますよ!
力一杯吊り革を握りしめる僕に、急に真矢さんから、予想だにしない檄が飛んできました。

 

「吊り革握るのはいいんだけど、あんまり下方向に力入れるのやめて! クローゼット壊れちゃうから!」

 

え?
クローゼットって言うたやん?
冷める冷める。
せっかくこっち世界観に入り込んで電車内やと思いこんでたのに、そっちからクローゼットとか言うのやめてくれへん?
真矢さんの言葉により、突如としてホテルに引き戻される僕。
またも散漫になる僕の集中力。
果たしてこんな状態でフィニッシュまでいけるのか?
強烈な不安に駆られる僕の頭の中に、本物の真矢さんからの

 

「諦めないで」

 

のエールがこだまします。
いや、これが出てきてる時点で集中できてへんから!
しかし、僕のてんやわんやな心とは裏腹に、俄然勢いが増す真矢さんのテクニック。
そのテクニックによりまたも強引に車内に戻れた僕。
そしてとうとう、その瞬間が訪れようとしていました。
ヤバイっす真矢さん! 僕もうダメっすよ真矢さん! あっ……あぁっ……あぁぁぁぁーーーー……

 

「次は~、三鷹~、三鷹~」

 

もうええって!!
マジでもうええって!!
蒲田から三鷹はもはやワープやん!?
東京在住以外の方々、言わずもがなでお願いします。
そしてそのまま変なタイミングでのフィニッシュ。
中央線の最果ての地、三鷹駅で下車してしまいました。

 

吊り革を呆然と握りしめたままの僕に、
「アイマスク外していいよ」
という真矢さんの声。
僕は言われるがままにアイマスクを外しました。
目の前にはゴリゴリのクローゼットが広がっていました。
そして初めてお目見えする真矢さんの顔。
当然の如く、そこに真矢さんはいませんでした。
どちらかと言うと、カイヤ川崎寄りの女性がそこにはいました。
とは言え、カイヤ川崎寄りの時点で、普通に見たら、僕からしたら全然ハズレとかでもなんでもない女性です。
しかし、真矢みきという自分の中の最上級の女性を思い描いていた為、その落差は凄かったです。

 

カイヤは丁寧に僕のイチモツをティッシュで拭いてくれた後、ベッドに座り、水をこれでもかというほどゴクゴクと飲んでいました。
そして、一息ついた後、

 

「まだ時間余ってるけど、次はベッドでする?」

 

と僕に聞いてきました。
そう、このお店は時間内であれば何回でも発車できる、いわゆる青春18切符型風俗店だったのです。
田舎のローカル線のような1時間に1本などではなく、1時間に2本、3本、いける人なら4本でも5本でもいっていい、1日乗り放題パスが使えるお店なのです。
しかも次はベッドでのプレイということで、僕は貧乏根性丸出しで2本目をお願いすることにしました。
時間的に微妙だったので、すぐさまベッドに仰向けにさせられる僕。

そして来ている服を全て脱ぎ、素っ裸で僕の体に覆い被さってくるカイヤ。
流石に痴女というだけあって、僕の全身をくまなく舐め回してくるカイヤ。
そんなカイヤの舌使いに、2本目と言えどもギンギンになる僕のイチモツ。
ベッドでのプレイということもあり、逆痴漢電車というコンセプトはどこかへ吹き飛び、ただただ普通にヘルスのサービスを受ける僕。
プレイに没頭してきたカイヤは、僕が思う人類最高の発明品であるローションを、これでもかというぐらい僕の体に塗りたくります。
そして僕の股間に跨って腰を懸命に振り、素股をしてくれました。
極上の技術と、痴女ならではの本気っぷりに、恍惚の表情を浮かべる僕。
色々と集中できなかったり紆余曲折あったけど、2本目もできたしなんだかんだでいい店やったなぁ。
そう思いながら本日2度目のフィニッシュを迎えようとしていた僕にカイヤからの最後の言葉責めが。

 

「ほらー、電車の中でこんなことされてるよー?」

 

電車の設定やったんや!?
え!? これまだ電車設定やったん!?
電車のどこ!?
電車のどこで素股されてんの!?
「みーんな見てるよー?」
みんな見てんの!?
「変態さんだねー?」
お前もな!! なんやったらお前の方がヤバイで!!

 

1本目はホテルという現実をつきつけられたことで集中出来ず、今回は電車内での素股という無理矢理すぎる設定を押し付けられ集中出来ません。
しかし、例え集中出来なくても、人類史上最高の発明品であるローションと、カイヤのテクニックが合わさり、あっさりとフィニッシュしてしまいました。
ベッドに大の字になり、精根尽き果て一歩も動けない僕に、カイヤのトドメの一言が。

 

「お客さん、終点ですよー」

 

もうええわ!!
どこまでも設定を守る痴女、カイヤ。
しかし、カイヤの人柄が良かったのもありますが、終わってみればなんだかんだ楽しかったこのお店。

 

タモリ倶楽部の鉄道特集の回で紹介される日も近いかもしれませんよ。