「愚痴を吐くことはネガティブなものを流すチャンス」——“愚痴の効用”を占い師・しいたけ.が伝授!【連載】

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公開日:2018/12/16

WEBマガジン『VOGUE GIRL』の「しいたけ占い」などでおなじみの占い師・しいたけ.さん。「毛布をかけられたような、癒されるアドバイス」に心が潤うと話題です。
ここでは、12月15日(土)発売の初のッセイ『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』(KADOKAWA)の内容をちょっとだけ公開。しいたけ.さんのあたたかな言葉に、肩の力を抜くコツが見つかるでしょう。

 世の中には「愚痴を吐かない人」っています。愚痴を吐けないというか、愚痴を吐くのが苦手というんですかね。

 これは僕の経験上なのですが、「誰かの弱さによって苦しめられたことがある人」は愚痴を吐くのが苦手なんじゃないかと思います。そういう人の心の中には「つべこべ言ってないでやれよ」という消化されなかった怒りがけっこう強く残っている。無意識の中で使い続けている口癖が「許せない」であったりもします。

 たとえばなんですけど、誰か自分が信頼する人に「頑張る」と宣言されたのに、「やっぱりできなかった。ごめん」と謝られたときって、ちょっと「えー!?」って思うでしょう?

 それが本当にできなかったことならしょうがないけど、「やっぱりこの人は〝弱さ〞という巣に帰っていっちゃうんだ」みたいな感覚。

 僕自身、かつては愚痴を嫌悪していたし、愚痴は絶対に人前で吐かないと決めていました。別に、「愚痴を吐きましょう」と全員におすすめするつもりはないのです。ただ、中年になってみると、ときどき「いやあ、参ったよ」と愚痴を吐く効用もあると考えるようになりました。

 愚痴を吐く効用。それは自分自身の感情が「許せない」という怒りに傾いていくことを阻止して、ネガティブなものを少し流してチャンスを待つ方法にもなります。

「いやあ、参ったよ」と言える人は、他人のミスや弱さを許せる人です。「なんでもかんでも許せ」という話ではなくて、「いろいろありますよね」が20%ぐらい雰囲気でまとえるようになったらいいと思うのです。

 ひとつひとつのストレスに対して「絶対に許せん」と叩きつぶしていく人って、チャンスが「スッ」と来たときにすぐに反応できなかったりします。いつもストレスの小さな波を叩きつぶすことに疲れているから、チャンスになり得るものもつぶそうとしてしまうのです。

 愚痴を吐かない人を支える強さは、「許せない」という気持ちです。その強さって「こんな自分自身は許せない」という気持ちにつながります。そうやってビシッと立っている人はすごいんだけど、でも、強さの中に弱さをちゃんと隠さず持てる人でいたほうが、いい状態で長持ちする気がするのです。

 もちろん、ずっと愚痴を吐いていたりしたら、独特のすごくネガティブな雰囲気をまとってきちゃうから、頑張るところと、頑張れないところを分けたほうがいいと思いますよ。

さらに詳しく知りたい人は『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』をチェック!』

しいたけ. 

占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら占いを学問として勉強。2014年からウェブマガジン『VOGUE GIRL』で連載開始し、毎週更新の「WEEKLY! しいたけ占い」で注目を集める。現在は「note」で月間占いやコラムを発表し、作家として活動の幅を広げている。名前の由来は、唯一苦手な食べ物が「しいたけ」であり、それを克服したかったから。著書に『しいたけ占い 12星座の蜜と毒』『VOGUE GIRL しいたけ占い2018 12星座と愛のさじ加減』などがある。初のエッセイ『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』が12月15日発売。

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