「他人の不幸は蜜の味」は心理学で説明できる!? 【ビジネスにすぐ効く心理学】連載第4回

ビジネス

更新日:2018/12/19

『ビジネス心理学 100本ノック』(榎本博明/日本経済新聞出版社)

 仕事そのものは嫌いじゃないけど、職場の人間関係や、お客さんとのやり取りが億劫で、会社に通う足取りが重くなる…。そういう気分になったことはありませんか? ビジネスでも中心となって動いているのは人間ですから、そこにはいろいろな心の働きが絡み合います。実際にビジネス分野で急速に“心理学”の存在感が増しています。

 「ちょっと理屈っぽい?」と思っていた心理学を、ビジネスでの「あるある」な場面に重ね合わせてわかりやすく解説してくれるのが『ビジネス心理学 100本ノック』(榎本博明/日本経済新聞出版社)です。本書から、あなたが今すぐ役立てられそうなトピックをご紹介します。

■心の中に潜在する「他人の不幸を喜ぶ心理」【シャーデンフロイデ】

 他人の不幸をニヤニヤしながらうれしそうに喋る人に出会ったことはありませんか? そういう人が抱えているのが「シャーデンフロイデ」、他人の不幸を喜ぶ心理です(本書224ページ)。

 醜い心理なので、誰もが「自分はそんなことはない」と思うかもしれませんが、政治家や芸能人が不祥事・スキャンダルで追い込まれた際のニュースを、やや興奮気味に見たり読んだりしているときの心の中にはシャーデンフロイデが潜んでいます。

 ちなみに、有名人を叩くと週刊誌が売れるのは、ターゲットとなる人物の社会的地位が高いからだそうです。自分より優位にいる人物が叩かれ窮地に追い込まれるのは「いい気味だ。それくらいやられて当然だ」と感じるからです。社会的地位が高いということは、テレビや雑誌に出ている有名人ばかりではありません。自分より学歴の高い友人、社内で自分より活躍している同僚、自分より裕福な暮らしをしているママ友など、何らかの点で優位に立っていると思われる身近な知人も含まれます。特に同性同士だと比較意識が刺激されやすいため、妬みがシャーデンフロイデに発展しやすいそうです。

 たとえばもしあなたの周りに、ネット炎上した芸能人について興奮気味に語る人がいたら、シャーデンフロイデが強い傾向にありそうです。あなたの優位を意識させないように注意したほうがいいかもしれません…。

 本書は、ビジネスだけではなく生活の折々でも気になる心理学の基本と、それを活かした実践的ヒントを紹介します。心理学の正しい知識は、ビジネスや仕事であなたの武器となり、疲れた心にはそっと寄り添ってくれるもの。本書のページをめくって、そんな心強い相棒を得てみませんか。

文=田坂文