佐渡島庸平 今月の「この本にひとめ惚れ」『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』『U&I』『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』

文芸・カルチャー

公開日:2019/1/3

『ダ・ヴィンチ』本誌の人気連載コーナー「この本にひとめ惚れ」から、コルク代表・佐渡島さんのひとめ惚れ本を紹介。『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』といった大ヒット作品を世に出した天才編集者・経営者が“ひとめぼれ”した本をチェック!

『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』』

辛島デイヴィッド
みすず書房 3200円(税別)

装丁:小川純子(みすず書房)
装画:岡本滋夫
編集:小川純子

村上春樹がどのようにエージェントと契約し、どのようにプロモーションされ、どのように有名になっていったのかが綴られている。クリエイターのエージェント業を行っている僕にとっては、喉から手が出るほど知りたい話!

『U&I』

ニコルソン・ベイカー:著 有好宏文:訳
白水社 2400円(税別)

装丁(日本語版):榛名事務所
装画(日本語版):川野次郎
編集(日本語版):金子ちひろ

以前このコーナーでセレクトした『もしもし』という小説と同じ、ニコルソン・ベイカーの作品。きわめて細かいディテールにこだわる、マニアックな作家ならではの内容。白水社はこのような作品をしっかり世に出してくれて嬉しい。

『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』
水野 学
ダイヤモンド社 1300円(税別)

装丁:井上喜美子、宮原一誠(good design company)
装画:荒井 悠
編集:和田史子

水野さんのようなデザイナーが行うブランディングのストーリーそのもののデザインは、限りなく編集者の仕事に近く、本書は編集者の教科書ともいっていい、100%納得の内容。

【青山ブックセンターにて彷書】

<プロフィール>
佐渡島 庸平(さどしま・ようへい)
1979年生まれ。東京大学文学部を卒業後、2002年に講談社に入社。
週刊モーニング編集部にて、『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』など数多くのヒット作を編集。
インターネット時代に合わせた作家・作品・読者のカタチをつくるため、2012年に講談社を退社し、コルクを創業。
従来のビジネスモデルが崩壊している中で、コミュニティに可能性を感じ、コルクラボというオンラインサロンを主宰。
編集者という仕事をアップデートし続けている。
●Twiter ID:@sadycork


写真=首藤幹夫
取材・文=田中裕