高級専門店以外でも「熟成肉」は食べられる!? 【科学の豆知識で料理はもっと美味しくなる!】連載第4回

食・料理

公開日:2019/2/19

『料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム』(齋藤勝裕/SBクリエイティブ)

 料理が得意で毎日難なくこなしているという人もいれば、面倒に思いながらいやいや台所に立っている人、あるいは、もはや苦痛の元である料理は一切したくないという人もいるだろう。

 ちょっと気分を変えて、どんなレベルの人にも役に立つ、そして確実に料理の腕が上がるような「豆知識・雑学」を紹介したい。『料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム』(齋藤勝裕/SBクリエイティブ)は、「美味しいと感じる味覚のメカニズム」から、「アク取りや下味の上手な方法」まで、知っておけばすぐ活かせるような料理に関する知識が満載の1冊だ。いつもの料理をもっと美味しく、そしてラクして効率的なものにする知識を、本書から得ていこう。

■熟成肉・エイジングビーフが美味しくなるメカニズム(本書25ページ)

 食品は時間とともに変化し続け、最終的には腐って食べられなくなってしまう。だが、必ずしも「新鮮」であるほど美味しいというルールがあるわけではないことは、皆さんも経験的にご存じだろう。

 熟成肉、エイジングビーフといった食肉が注目され、流行している。肉は時間が経つと酵素の働きによってタンパク質が分解されアミノ酸が生成される。このアミノ酸が肉のうま味を増長する。

 専門店が取り扱う「熟成肉」と呼ばれる牛肉は、長いものだと1カ月前後もの管理下で長期熟成を経たものだそうだ。

 ちなみに、熟成された肉が食べられるのは、なにも高級な専門店だけではない。私たちがふだん口にする牛肉は、解体されてから数日間は枝肉の状態でしっかり低温熟成されてから市場に出回っているそうだ。日常的に口にするビーフもうま味成分が引き伸ばされたものなのだと思うと、急にありがたさが増してくるようだ。

 このように本書では、料理をしたり食事をしたりする日常がもっと楽しくなるような知恵が、多数詰め込まれている。「理系科目は苦手…」という人も、身近な題材であればすんなり頭に入ってくるだろう。ぜひ本書を手に取って、今日の食卓を「アタマ」でも味わってみてほしい。

文=田坂文