最新流行の食事は「手=触感」で味わうのが通? 【科学の豆知識で料理はもっと美味しくなる!】連載第6回

食・料理

2019/2/21

『料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム』(齋藤勝裕/SBクリエイティブ)

 料理が得意で毎日難なくこなしているという人もいれば、面倒に思いながらいやいや台所に立っている人、あるいは、もはや苦痛の元である料理は一切したくないという人もいるだろう。

 ちょっと気分を変えて、どんなレベルの人にも役に立つ、そして確実に料理の腕が上がるような「豆知識・雑学」を紹介したい。『料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム』(齋藤勝裕/SBクリエイティブ)は、「美味しいと感じる味覚のメカニズム」から、「アク取りや下味の上手な方法」まで、知っておけばすぐ活かせるような料理に関する知識が満載の1冊だ。いつもの料理をもっと美味しく、そしてラクして効率的なものにする知識を、本書から得ていこう。

■触感・触覚が味を変える!? (本書117ページ)

 人類は文化の発展とともに、「餌の摂取」とは異なる「食事の文化」を発達させてきた。食事のマナーを厳しく守ることで、獣とは違う“理性”を強調しているようにも思われる。

 洗練された食事の代表格であるフランス料理の歴史を振り返ると、16世紀のフランス・ブルボン王朝では、料理を手づかみで食べていたそうだ。これを“野蛮”とみるのは早合点かもしれない。たとえば、私たちは煎餅を食べるときに「パリっとした歯触り」や「サクサクした舌触り」といった触覚も働かせながら味わっている。食通が寿司を手で食べたり、インド人がカレーを指で食べたりするのも、料理というものが味覚や嗅覚だけでなく触覚も総動員させながら楽しむものであることに通じるだろう。

 近年では、海外で大流行した「シーフードを手づかみでワイワイ楽しく食べるレストラン」なども、日本各地でオープンしている。おにぎり、サンドイッチ、ピザ…意外にも私たちの身近に手で食べる料理は多い。人類の歴史に逆らって「原始的」な食べ方に立ち戻ることが、新しい味わいや楽しみを創出しているのかもしれない。

 このように本書では、料理をしたり食事をしたりする日常がもっと楽しくなるような知恵が、多数詰め込まれている。「理系科目は苦手…」という人も、身近な題材であればすんなり頭に入ってくるだろう。ぜひ本書を手に取って、今日の食卓を「アタマ」でも味わってみてほしい。

文=田坂文