【1分間名作あらすじ】セロ弾きのもとにやってくる愉快な動物たち――宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』

文芸・カルチャー

2019/4/7

セロ弾きのゴーシュ
『 セロ弾きのゴーシュ(角川文庫)』(宮沢賢治/KADOKAWA)

 ゴーシュは町の楽団でセロ(チェロ)を担当している。町の音楽会で発表する第六交響曲の練習をしているのだが、彼だけが下手なままで、団長からきつく叱られる。

 ゴーシュは帰宅してからも一生懸命にセロの練習をしていた。すると三毛猫がやってきて、「シューマンのトロメライをひいてごらんなさい。きいてあげますから」と言い出す。猫は、ゴーシュのセロを聴かないと眠れないようだ。猫にからかわれていると思ったゴーシュは怒ってしまい、「印度の虎狩」という曲を演奏して猫を追い出す。

 次の晩も帰宅したゴーシュがセロを弾いていると、かっこうがやってきた。かっこうは、「かっこうのドレミファ(音階)を学びたい」とねだる。うんざりとしたものの、かっこうの練習に付き合っているうちに、ゴーシュは音階の感覚を掴んだ。しかし最後は追い出してしまう。

 その次の晩は狸の子がやって来て、「小太鼓の練習がしたい」と言った。一緒に練習をしていると、狸の子がセロの2番目の糸が遅れていることを指摘し、ゴーシュもこれを素直に聞き入れて練習した。

 さらに次の晩、今度は野ねずみの親子がやってきた。子どもが病気なので、セロの演奏で治してほしいとのことだ。ゴーシュが子ねずみをセロの孔の中に入れて演奏すると、子ねずみの具合は良くなった。

 音楽会当日、楽団の演奏は大成功を収めた。観客の興奮冷めやらぬ中、アンコールの演奏に指名されたのはゴーシュだった。自分はからかわれて指名されたのだと思ったゴーシュは、「印度の虎狩」を激しく演奏した。しかし観客は皆真剣に聴き入り、団長も興奮しながら彼の演奏を褒め称えた。

 毎晩の動物たちの訪問によって、ゴーシュは自分でも気づかないうちにセロの腕を格段に上げていたのだった。ゴーシュは遠くの空を眺め、追い出してしまったかっこうに謝った。

文=K(稲)