佐渡島庸平 今月の「この本にひとめ惚れ」『天然知能』『ニムロッド』『リスボン 坂と花の路地を抜けて』

文芸・カルチャー

2019/5/21

『ダ・ヴィンチ』本誌の人気連載コーナー「この本にひとめ惚れ」から、コルク代表・佐渡島さんのひとめ惚れ本を紹介。『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』といった大ヒット作品を世に出した天才編集者・経営者が“ひとめぼれ”した本をチェック!

『天然知能』
郡司ペギオ幸夫
講談社 1700円(税別)

装丁:奥定泰之
カバー図版:中村恭子
編集:今岡雅依子

AIで知能を作れるといわれている一方、脳がない昆虫が「知能のようなもの」を作っている不思議。いまだわからないことだらけの知能のワンダーを探りたくなる。

『ニムロッド』
上田岳弘
講談社 1500円(税別)

装丁:鈴木成一デザイン室
カバー写真:Danila Tkachenko
編集:堀沢加奈

芥川賞受賞作。「なぜ生きるのかということを本気で考えて考えてようやく書けた」といったことがわかる作品。上田さんはIT企業の役員という経歴。「現実」を見たからこそ書けた小説なのだろうか。

『リスボン 坂と花の路地を抜けて』
青目 海
書肆侃侃房 1500円(税別)

装丁:中林孝之
カバー写真:杉本 崇
編集:藤原ゆきえ

著者の旅を追体験するような美しい本。旅行に必要な情報はネットで拾える時代、情報以外の価値をもったこのような旅行本が増えるはず。

【青山ブックセンターにて彷書】

<プロフィール>
佐渡島庸平(さどしま・ようへい)
1979年生まれ。東京大学文学部を卒業後、2002年に講談社に入社。
週刊モーニング編集部にて、『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』など数多くのヒット作を編集。
インターネット時代に合わせた作家・作品・読者のカタチをつくるため、2012年に講談社を退社し、コルクを創業。
従来のビジネスモデルが崩壊している中で、コミュニティに可能性を感じ、コルクラボというオンラインサロンを主宰。
編集者という仕事をアップデートし続けている。
●Twiter ID:@sadycork

写真=首藤幹夫
取材・文=田中裕