「お金を稼ぐことって、悪いことなの?」西野亮廣『新・魔法のコンパス』④

ビジネス

公開日:2019/7/8


“現代の革命家”西野亮廣氏の10万部のベストセラー、『魔法のコンパス』から3年。時代に対応し、西野氏が「1時間前後で読める本にする」という意図で執筆した文庫本が『新・魔法のコンパス』(KADOKAWA)だ。めまぐるしくルールが変わる現在、そして未来の歩き方とは?

【第1章 お金】

キミがお金を稼ぐと、 みんなの富が増える。

 ボクたち日本人は「お金」の教育を一切受けてこなかったから、お金に関する知識が乏しい。

 いや、絶望的に乏しい。もうホント、終わってる。

 唯一、お金に関する情報をボクらに提供してくれるのは「テレビ」なんだけど、しかし「テレビ」から流れてくるのは、詐欺やら脱税やら、なんだか悪いことをしてお金を儲けている事件ばっかり。

 おかげで、ボクらはすっかり「お金儲け=悪いこと」という印象を持っちゃった。

 質素倹約こそが日本人の美徳で、今日も「お金を稼いでいる人」が叩かれて、お金を稼ぐことは下品で、卑しい行為となっている。

 たしかに、テレビで取り上げられる成金って、やたらと札束をチラつかせるし、下品だし、ファッションから自宅の内装から、地獄的にダサイもんね。

 ああいう人間にはなりたくない。

 ただ、そこはキチンと分けて考えなくちゃいけなくて、下品なのは「その人」であって、「お金を稼ぐ」という行為じゃない。

 と言っても、「お金を稼ぐ=汚い」とすでに思い込んじゃっていたら、「分けて考えろ」と言われても、ちょっと難しいよね。

 まずは、「お金稼ぎ」のネガティブなイメージを取り払うことから始めたほうが良さそうだ。

 お金を稼ぐことって、良いことなの? 悪いことなの?

 たとえば、この星にボクとキミしかいないとする。

 ボクは「1万円」を持っていて、キミは1円も持っていない。

 この段階では、この星の富は「1万円」だ。

 そして、ある日。

「1万円」が欲しくなったキミは「1万円分の価値がある洋服」を作る。

 ボクが、その洋服を「1万円」で買う。

 すると、キミの手元には「1万円」があって、ボクの手元には「1万円分の価値がある洋服」がある。

 こうして、キミが「1万円」を稼いでくれたおかげで、この星の富は「2万円」に増え、この星は豊かになった。

 ちょっと見えてきたかな?

「お金を稼ぐ」という行為は、このように「誰かから富を奪う」ということじゃなくて、「みんなの富を増やす」ということなんだ。

 ここで、あらためてキミに聞きたいんだけど、お金を稼ぐことは汚いことかな?

 別の言葉で、もう一度聞き直そうか。

 たくさんの人を豊かにすることは汚いことかな?

■まとめ
成金が下品なのは「人」であって、「お金を稼ぐ」行為ではない。
「お金を稼ぐ」というのは「誰かから富を奪う」ということでなく、「みんなの富を増やす」ということ。

<第5回に続く>

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