無料マンガ・広告収益広がる――最新電子書籍市場レポート

マンガ・アニメ

2019/8/7

ジャーナリスト・まつもとあつし氏が、出版業界に転がるさまざまな問題、注目のニュースを深堀りする連載企画です!

相変わらず圧倒的な電子マンガの存在感

 インプレス総合研究所が毎年実施している電子書籍に関する調査の結果が7月23日に発表された(※グラフはインプレス総合研究所より引用)。本コラムでも毎回取り上げているように、電子マンガ(上記図の「コミック」)が全体の8割以上を占めており、引き続き圧倒的な存在感を保っている。さらに今回コミックの売上がはじめて2000億円台を超えた。これについて調査では、海賊版サイトの閉鎖がプラスに働いたものと分析している。

「無料でマンガが読みたい」というニーズは、海賊版サイトへの巨大なアクセスを生んでいたが、その閉鎖は無料でマンガを読めるアプリ・サービスの利用も拡大させたようだ。

 マンガアプリの広告市場は2017年度から18年度への伸び幅はおよそ67億円でこれも大きな伸びとして注目されたが、2019年度にはこれが80億円以上になると予測されている。利用している電子書籍サービス・アプリも、Kindleストア・楽天Koboなどを除いては無料でマンガが読める機能を備えたものが大半を占めており、いわゆるソーシャルゲーム同様、無料で読み始めてもらったうえで、広告や購読ポイントへの課金で収益を上げるサービスが多いこともわかる。

 この傾向は男女とも若年層に顕著(10代・20代では無料のみ利用する方が有料の利用者を上回る)だが、やはり海賊版サイトの閉鎖の影響からか、18年度に比べるとやや「無料のみ」利用する層が微減傾向にある。

市場は拡大しているが……

「海賊版サイトの閉鎖」といういわばイレギュラーによって、拡大した電子書籍市場だが、そこにはまだ課題も透けて見える。マンガについて最もインパクトがあるのは雑誌の市場が縮小を続けている点だ。言うまでも無く紙の雑誌はコンビニの売り場縮小や、書店の減少によって売上を減らし続けている。電子雑誌の市場規模も2023年度予測まで280億円程度と電子市場の拡大と歩調を合わせる形では拡大していかない見込みだ。日本のマンガ市場は、新作が次々と生まれ、読まれることで拡大を続けてきたが、雑誌という媒体が成長を止める中、アプリ・サービスがその役割を十分に担えるのか? まだまだ模索が続けられなければならないと言えるだろう。

文=まつもとあつし