「有難き中国フレンズ」/林真理子『女の偏差値』②

文芸・カルチャー

2019/8/10

言わずと知れた日本女性のお手本、林真理子さんの「美女入門」Part17。アンアンでの連載もついに20周年! 昭和・平成・令和…いつの時代も最先端。現状に満足せず上を目指して努力を続ける。それが美女の、生きる道!

『女の偏差値』(林真理子/マガジンハウス)

有難き中国フレンズ

 ゲイの友だちを持つのは、大人の女性のステータスかもしれない。

 センスがよくて頭がいい。そして女の子の気持ちがよくわかるので、相談にものってくれる。話をして楽しいからモテモテだ。

 芸能人なんかは、しょっちゅうゲイバーに行き、ストレスを発散しているようだが、私はああいうところに行かない。あちらがあまりにもサービスしてくれるので、ちょっと疲れてしまうのだ。

 が、ゲイの友だちは多い。別にゲイだから仲よくなったわけではなく、

「そうかなぁ……」

 と思ってつき合っていると、やっぱりそうだったということになる。みんな隠しているわけでもなく、自然にパートナーを紹介してくれる。そういうのってとてもいい感じ。

 ところで私は最近、ゲイの友だちもいいが、中国人の友だちもいいなぁ、と思うようになってきた。

 もちろん私は中国語が喋れないので、日本にいる中国人ということになるけれども、みんな美容や健康の知識がハンパない。中国二千年の歴史おそるべし、という感じである。

 かなり前のことになるが、私に痩せるスープを教えてくれたのも、日中のハーフ美女であった。ゴボウや大根といった根菜類をコトコト煮るのだ。私はちゃんとやらなかったので今でもこんなもんであるが、当時そのスープはクチコミで伝わり、かなり話題になったものである。

 この頃急に仲よくなったA子さんは、一緒に旅行した時、朝、まず白湯を飲むことを教えてくれた。

「まず体を温めなきゃダメ。冷たい水をいきなり飲むなんてとんでもない」

 と言うのだ。これを実行するようになってから風邪をひかなくなった。

 ところで話が変わるようであるが、つい先週のこと、私がなぜデブなのか決定的な理由がわかった。

 ダイエットやアンチエイジングのために通っているクリニックが、新しい医療機器を導入した。これは中指の血管状態を画面に出し、全身を調べるというもの。それによると、私は毛細血管の量が、ふつうの人の十分の一しかなかったのである!

 これはどういうことかというと、代謝がものすごく悪いということ。隅々まで血液がゆきわたらないために、冷え症にもなる。そういえば私は、夏でも汗をほとんどかいたことがない。こんなに代謝が悪いと、将来重大な病気にかかるリスクも高いということだ。

「これからはもっとリラックスして、睡眠時間も増やしてくださいね」

 とお医者さん。サウナではなく、岩盤浴をするようにと言われた。

「サウナだと血管が拡がり過ぎるから、岩盤浴みたいにじわじわ温まるのがいちばんいい」

 と言うのである。私はさっそくネットでうちの近くのそういう店を調べたのであるが、岩盤浴はない。ホットヨガがひとつあるだけ。

 どうしようかなぁと考えていたら、B子さんのことを思い出した。B子さんは在日二十年のビジネスウーマンである。このあいだ久しぶりに会ったら、あまりにもカッコよくなっていてびっくりした。中国の人だからもともと脚が長いのであるが、お腹がすっきりして素敵なプロポーションになっている。どうしたの、と聞いたら、

「すごくいいエステを見つけた」

 ということであった。

「三時間ぐらいマッサージやハリをしてくれるの。食事のこともあれこれ指導してくれて、六キロ痩せたの」

 ということで、私も連れていってくれると約束してくれた。

 その日が昨日だったのである。そのエステは麻布十番の古いビルの中にあった。ご夫婦でひっそりと営業していて宣伝もいっさいしない。お客を増やしたくないので、雑誌にも出ない。徹底したマンツーマンなので、料金はかなり高いかも。

 綺麗で上品な女性がオーナー夫人だった。四十代前半と思ったら、なんと五十代後半と聞いてびっくりだ。毛細血管のことを話したら、カプセルにまず入れられた。ここで三十分じわじわ体を温めるのだ。しかしビニールで巻かれても汗一滴かかない私に驚いていた。そのうちに水たまりが出来るぐらいになるんだと。

 そのあとみっちりマッサージをやってもらったら、ウエストが五センチ減っていた。

「すぐ元に戻るらしいけど、通ううちに定着するって。嬉しいな」

 とB子さんと、糖質なしのランチをとっている最中、彼女が言った。

「前から思ってたけど、あなた食べるのが早過ぎる。それから冷たい水をぐいぐい飲むのダメよ。お茶をこうして少しずつ飲みなさい……」

 と、ここでも指導してくれた。

 中国人の友だちというのは、本当に有難い……。

<第3回に続く>