「伸びる新人は、会社内での“社員の立場”を勘違いしない」『伸びる新人は「これ」をやらない!』①

ビジネス

更新日:2019/9/17

 近年のマネジメント論の主流を、真っ向否定するスーパードライなマネジメント手法「識学」に則った新入社員のための仕事術本です。

『伸びる新人は「これ」をやらない!』(冨樫篤史:著、安藤広大:監修/すばる舎)

\よくある誤解/
「この会社に入ってみて、はじめてわかったよ。学歴は立派でも、サラリーマンって実は役に立ちそうもない人が多いよね」「この会社、ホントにやさしくていい人が多いですね。どこの部署に配属されても、自分のやり方で何でも実現できそうな気がする」

■就職したとたん、あなたの立場はがらりと変わる

 学生と社会人の違いはどこにあるのでしょう? これは、就職活動(就活)でのグループ・ディスカッションや、入社後の新卒研修などでもあらゆる角度から話し合ってきた、いわば「使い古されたフレームワーク」です。しかし、ここではその違いをあらためて整理してみます。

 新人の皆さんは、社会人になるまで企業と「どのような立場」で接してきましたか? 一番わかりやすいのは「消費者」の立場ですね。学生や社会人になったばかりの人では、「就活生」「内定者」といったワードが出てくるかもしれません。いずれも、立場としては「社外の人」です。しかし、新入社員として会社に入れば、皆さんの立場は「社員」や「労働者」へと大きく変わります。企業に対するあなたの立場は、時間や状況に応じて変化していくのです。

 そして、就職活動から入社後の研修まで皆さんと非常に近い立場で接してくれる人事の諸先輩方もまた、新人の皆さんの立場の変化に対応しながら仕事をしています。

 たとえば、入社まではとてもやさしく接してくれていた人事の諸先輩方が、入社後は急に厳しく接してくるようになった、なんてことはないでしょうか? これも、皆さんの立場が変わったことによる状況の変化です。

 皆さんが入社するまでは、人事は皆さんを「お客さま」と考え、同時に自社を売り込む「採用者」という立場にいます。ですから、自社を気に入ってもらうために、努力を惜しみません。人事の担当者は「一定数の新人に自社のことを気に入ってもらい、入社してもらう」という責任を負っているからです。

 しかしその後、時間の経過とともにお互いの立場は変化し、入社後は180度変わってしまうといってもいいでしょう。いかに素早く、新人に戦力として成長してもらうか|人事担当者は「育成者」という立場になるため、ときに厳しいスタンスで皆さんに接することもあるのです。

■「誰が、誰を評価するのか」その方向が変わる

 では、新人の皆さんと企業との立場が変化したとき、皆さんはどのような点に注意すべきでしょうか? 言い換えると、会社と自分との関わりという観点で、学生と社会人は何が違うのでしょうか? それは、「評価の方向」とでもいうべきものです。

 新人の皆さんは、就職活動で面接を受けて社会人になるまでは、会社を「評価する」立場にいました。「あの会社は厳しい」「この会社はいい加減」などと評価して、いっこうにかまわない立場です。ところが、就職活動を経て社会人になった瞬間に、新人の皆さんは逆に会社から「評価される」立場になります。この点を勘違いしてはいけません。

 特に現在の労働市場は売り手市場であるため、ほとんどの新人は“お願いされて”入社してきます。このため新入社員になってからも、評価される立場になったことに気づかずにいてしまう勘違いがよく起こります。

 この立場の変化にいち早く気づけるかどうか、これが「伸びる新人」になれるかどうかを分ける最初の重要ポイントです。

この対応が正しい
 新入社員としてこの会社に入ったからには、自分が会社を評価するのではなく、常に会社から評価される立場にあることを自覚するようにします︒その「当事者意識」の切り替えは、きちんとできています!

<第2回に続く>