攻略できる自信がない…「今の出会い系は大変なことになっている」/『生き恥ダイアリー』④

エンタメ

2019/9/24

生き恥ダイアリー

著:
出版社:
日本文芸社
発売日:
『生き恥ダイアリー』(カレー沢薫/日本文芸社)

語るは恥だが役に立つ! 淑女たちよ、下ネタは男のもののみに非ず…。
奇抜だけれども知っていればいつか役立つ(かもしれない)、カレー沢薫の珠玉のコラムが開幕!

 日本文芸社社内で唯一、当コラム担当より風俗に行っている、千の性病を持つ男から、「今の出会い系は大変なことになっている」というリークがあった。そして大変なことにしていやがるのは、何を隠そう昨今蔓延(まんえん)している「パパ活野郎ども」らしい。

 飯や小遣いで若い女と肉体関係を持ちたい出会い系おじさんにとって、このパパ活どもは邪魔(じゃま)でしかない。なぜならパパ活希望の女どもは、ハナからおっさんとセックスする気がない。

 親父どもは若い自分と飯やトークするだけで満足すると本気で思っていやがるため、そんな女を引いて「ツェーマン(1万円)でどう?」みたいな話をしたら、大変なことになってしまう。

 100歩譲って、「もう少し小遣いをあげればヤラせてくれるかも」という希望を、明日への架け橋を持たせてくれ、むしろそれこそが出会い系の醍醐味ではないか、と彼は熱弁している。

 確かに、100%エロいことがしたければ、風俗に行けばいい。だがあえて出会い系を使うのは、ヤレそうでヤレない女とやっぱりヤる、という駆け引きに楽しさがあるからかもしれない。つまり出会い系は、「ときメモ」なのである。

 だから彼は、攻略ゲームに最初から攻略できないキャラが混じっているというのは害悪でしかねえ、奴らはバグだ、早く徹夜メンテで取り除いて、詫び石か詫びセックスをよこせ、と激おこなのである。

 私もパパ活に関しては、いい年したおっさんが高い金払って食事とトークだけで満足するものか、よって名目上は「肉体関係なし」でも、裏では何かしらヤっているものと思っていた。

 しかし、彼の尋常ならざる怒り具合を見るに、本当に食事とトークだけのつきあいのパパ活野郎どもが蔓延しており、出会い系には自分が肉体関係なしで金をもらえる存在だと信じて疑わない女がわんさといる、ということになる。羨(うらやま)しい。その自信が。

 来世は顔写真つきでセックス抜きのパパを出会い系で募集できる女になりたい。

 だが、女はともかくパパはそれでいいのか。それとも悟りを開く修行の一環に「絶対ヤラせない女に飯や金を与える」が入っているのか、確かに、これだけの徳を積めば天竺(てんじく)はかなり近くなりそうだ。

 しかし、これは逆を考えると少しわかる。

 自分が、20代前半ぐらいの男に、小遣いをあげてセックスするチャンスがあったとしても、「いやあ、お食事ぐらいで十分ですよ」みたいな腰抜け発言をするのは目に見えている。

 それどころか、「若い男の子がたくさんご飯食べてるの見るだけで、オバさん若返っちゃうわ」など、「お前、今までそんな口調でしゃべったことあったか?」というような、内に秘められていたBBAまで出てきそうだ。逆に老ける。

 飯だけでOKと思っている女も強いが、飯をおごれば若い女とセックスする権利があると思っているおっさんも相当強いと思う。

 しかし、人生何が起るかわからんので、今後、猛烈に若い男とセックスがしたくなる日が来るかもしれない。

 そんな時どうすればいいのか。男は道がありすぎるほどある。しかし女はイマイチ判然としない。僕の前に道はない、僕の後に道が出来る、みつを、という感じだ。

 みつをにも光太郎にも謝らなければいけない事態になったが、ともかく若い男と死んでもセックスしたくなった時のために、今から調べておいて損はないだろう。調べて見たところ、「若いイケメンとセックスするなんてちょろい」と書かれている。マジか。

「やり方は簡単。まず出会い系サイトに登録する。するとたくさん男から連絡が来るので、その中からイケメンを選べばOK! ね、簡単でしょ」ということだ。それがし、謀(はか)られていないだろうか。

 むしろ、これに「そうなんだ!」と飛びついてしまう中年女は、よくそれまで無事で生きてこれたと思う。逆に誇っていい。

 しかし、おっさんとつきあって金をもらおうとする若い女がいるなら、BBAの相手をして小遣いをもらおうという若い男だっているはずだ。

 そういう男とマッチングすることはできるのではないか、と調べてみると、「世の中には欲求不満のセレブ人妻や女社長が溢(あふ)れているので、そういう女相手に逆援交をするのは簡単だ」と書かれている。

 つまり、若いイケメンと簡単にヤれると思っている中年女と、美人人妻セレブと金もらってセックスできると思っている童貞がミートする可能性が極めて高い、ということである。久々に、凄惨(せいさん)な正面衝突事故を見てしまった気分だ。

 おそらくパパ活女も、紳士的なイケおじに飯をおごられるつもりで「ツェーセン(千円)で。口だけでいいから」みたいな、しょぼいネゴを持ちかけられたりしているのだろう。

 所詮、出会い系。「過度な期待をしない」のが、楽しむコツかもしれない。


【次回に続く!】

この記事で紹介した書籍ほか

生き恥ダイアリー

著:
出版社:
日本文芸社
発売日:
ISBN:
9784537262032