「マイナスの考えから、なかなか抜けられないのはなぜ?」/『気にしすぎる自分がラクになる本』④

健康・美容

公開日:2019/9/27

ちょっとしたことでクヨクヨしてしまう…。人から言われた一言を気にしすぎてしまう…。「小さなことを気にしすぎてしまい、生きづらさを感じる人」が、ラクに生きるにはどうすればいいのか――。「気にしすぎる自分」とうまくつきあう方法を、多方面から心の問題に取り組む精神科医が具体的に伝えます。

『気にしすぎる自分がラクになる本』(長沼睦雄/青春出版社)

マイナスの感情は人を引きつける

 ここまで、クヨクヨを生み出す原因ともいえる、ゆがんだ思考のクセについて説明してきました。日々、マイナスに物事を考えるのはつらいことが多いはず。クヨクヨ悩んでしまいがちな人ほど、できたらプラス思考で毎日笑ってすごしたいと思っているでしょう。それなのに、なぜかゆがんだマイナスの思考のクセから抜け出すことができない……。それはいったいなぜでしょうか。

 人間は危険から身を守るためにマイナスにより反応しやすくなっています。つまり、マイナスには人を引きつける力があると考えられます。

 どれだけプラス思考の人の中にも、マイナスの感情は必ず起こります。怒り、悲しみ、疑い、不安、憎悪、恨み、嫉妬、破壊衝動……。これらは、プラスの感情とともに人間の中に必ずある、否定しようのないものです。どれだけ道徳教育をしても子どもがマイナスの行動をくりかえすのは、ふだんは表に出すことを禁じられているこのマイナスの感情が心に溜まっているからだとも考えられます。ふだん抑圧されている感情だからこそ、解放されるときに強い力を持つのです。

 さらに恐怖や怒りといったマイナスの感情は、生きるうえで自分を守るために必要不可欠な動物的な要素に根ざしています。

 たとえば、横断歩道を渡っているときに、信号無視の車がものすごいスピードであなたの前を横切ったとしましょう。あなたがまず感じるのは、ゾッとするような恐怖、そしてその後に出てくるのが「あぶないじゃないか!」という怒りの感情です。これらは、みずからの生命の安全を脅(おびや)かされたことに強く恐怖を抱き、さらにはその恐怖を与えた相手を威嚇(いかく)する、生存本能から生まれる強い感情です。

 このような生存本能に近いマイナスの感情は、思考のクセに影響しやすく、さらにこういった思考はくりかえしやすいとも考えられます。以上のような理由で、マイナスの感情は、とても強く人の心に根づいてしまうことがあるのです。

この記事で紹介した書籍ほか

気にしすぎる自分がラクになる本 (青春新書プレイブックス)

著:
出版社:
青春出版社
発売日:
ISBN:
9784413211451
長沼睦雄
十勝むつみのクリニック院長。北海道大学医学部卒業。HSC/HSP、発達障害、発達性トラウマ、愛着障害などの診断治療に専念し、脳と心と体と魂を統合的に診る医療を目指している