『ハリー・ポッター』で登場した魔法の国の図書館!『死ぬまでに行きたい世界の図書館』③

文芸・カルチャー

2019/10/28

 はるか昔の出来事から未来まで、文化や歴史、技術など人類の叡智がぎっしりと詰まっている図書館。ありとあらゆる地域に点在する図書館はそれぞれの地域の文化の影響を色濃く受け、重厚な雰囲気、幻想的で煌びやかな空間、モダンなもの、アジアンテイストなものなど私たちの美意識を刺激してくれます。この本を見るだけで素敵な図書館をめぐる旅へと出ることができます。知識の宝庫、感動と空想に出会えるステキな空間へいざ。

『死ぬまでに行きたい世界の図書館』(笠倉出版社)

オックスフォード大学
ボドリアン図書館
デューク・ハンフリー図書館

『ハリー・ポッター』のロケ地! 先人たちの伝統ある貴重遺産

近場に寄り道
図書館の近くにはピットリバース博物館があり、楽器や衣類など、人類の文化に関する展示が見られる。入場は無料。

変わらない敬意と変わりゆく情報共有の形

 オックスフォード大学は、英語圏では最古の大学で、これまでに6人のイギリス国王、27人のイギリス首相、そして50人以上のノーベル賞受賞者を輩出してきました。

 同校の図書検索機関として位置付けられるボドリアン図書館は、世界で最も優れた研究機関のひとつとして認知されています。そのコレクションは、グーテンベルク聖書から徳川家康の朱印状まで多岐に渡り、あらゆる学問・研究の拠り所となっています。現在では資料のデジタル化が進み、情報の公共性が高まっていますが、かつては盗難防止のため蔵書を鎖に繋いで保管していたとか。当時、書籍類がどれだけ大きな価値を持っていたかを示す印象的なエピソードです。

 しかし、時代が変わっても、先人が残した資料に対する敬意は失われていません。ここで新たに図書館の利用を始める人は「私は図書館の帰属物または管理下にあるあらゆる施設、書簡、文書に対し除去、刻印、汚損、損傷行為を行なわないことをここに誓う」とする誓約文にサイン、或いは口頭で詠唱する必要があるのです。こうした伝統を重んじる姿勢が、人類の宝を守ってきたという事実は疑いようもありません。

ACCESS
成田空港よりイギリス、ロンドンのヒースロー空港まで、直行便で約12時間のフライト。空港から図書館まではおよそ50km。車で1時間程。空港からバスを利用する場合は、クイーンズ・レインが最寄りのバス停となり、所要時間は約1時間30分。さらに徒歩で約4分。

歴史ある建物だからこその厳粛でリアルな存在感

 1990年代のイギリスを舞台に、魔法使いの少年ハリー・ポッターの成長を描いた小説『ハリー・ポッターシリーズ』は、児童文学の枠には収まりきらないほどの人気作となり、瞬く間に映画化が決まりました。

 しかし、物語の舞台はファンタジー要素に満ち溢れた魔法の世界。実写映画化される上で、その世界観の再現が最も困難な作業だったことは想像に難くありません。

 実際の映画では、全編CGで作られたのかと思われるほど美しく不思議な世界が再現されていますが、現実世界でロケが行なわれたシーンも少なくありません。

 その代表ともいえるのが、ハリーたちが通うホグワーツ魔法魔術学校の図書室です。

 このシーンの撮影は、オックスフォード大学のボドリアン図書館を構成する施設のひとつ『デューク・ハンフリー図書館』で行なわれました。魔法学校の図書室というイメージを、そのまま具現化したような光景はイギリスに実在したのです。重厚でありながら幻想的な雰囲気は、歴史ある本物の建物だったからこそ醸し出せたのかもしれません。

実在するハリーの学び場

2001年から8本のシリーズで公開された映画『ハリー・ポッター』。ホグワーツ魔法魔術学校に入学したハリー・ポッターや仲間たちが勉学に励んだり、禁書を探し出すシーンが撮影されたのが、オックスフォード大学・ボドリアン図書館の中でも最も古い中世建築の閲覧室を有するデューク・ハンフリー図書館です。イギリス最古の大学でもある同校の図書館には、豪華な装飾が施された木製の書架が整然と並び、そこに映画内で登場するような大きな革張りの古書が収められています。映画の中でも使用された閲覧室は、窓から差し込む光で幻想的な雰囲気を醸し出しています。

<第4回に続く>