夏目漱石は猫だけでなく犬も飼っていた!/『文豪どうかしてる逸話集』③

文芸・カルチャー

公開日:2019/11/11

夏目漱石は甘いものが好きすぎて、1日でジャムを1瓶食べたり、自宅にアイスクリーム製造機を設置したりしていた。

 自身の作品にも、団子やら羊羹(ようかん)やらの甘味がたびたび登場する夏目漱石は大の甘党で、執筆中は常に手元に甘いものを置いていた。

 その甘いもの好きはなかなかにすさまじく、大好きなジャムは瓶のまま舐める。「体に悪いから」と医者にとめられてもやめられず、1日で1瓶空けたこともあるほどであった。

 また、当時珍しかったアイスクリーム製造機を取り寄せて、漱石自らアイスクリームを作り、家族にふるまったりもしていた。

 胃潰瘍になっても甘いものをやめないので、奥さんが甘いものをどこかに隠すと、娘を使って捜させる漱石。その結果、ある日とうとう吐血してしまう。

 漱石はこの時のエピソードについて「血吐いたんで医者を呼んだら、糖尿病だって。こいつは参ったね」みたいな手紙を友人に出しており、糖尿病を患ってもなお甘いものを食べたがった漱石の甘党ぶりがうかがい知れる。

(出典) 菅虎雄への書簡

米が稲になることを知らなかった夏目漱石

 英文学者としても教育者としても名高かった夏目漱石だったが、なんと米が稲になることを知らなかった。

「リンゴやミカンのように木になるんじゃないの? え? 違うの?」みたいな話をして、一緒にいた正岡子規は思わず絶句。

 のちに弟子の芥川龍之介がこのことについて漱石に聞くと、

「稲は知ってたし、米も知ってたし。米が稲になるのを知らなかっただけだし」

 と、よくわからない言い訳をした。

(出典) 正岡子規『墨汁一滴』