子どもとの外出を「暴れる10kgの米を抱えている状態」と表現したら多くの共感を得た話/『主婦をサラリーマンにたとえたら』②

暮らし

更新日:2020/1/20

子育てを部下に置き換えてみたら…想像をはるかに超えるヤバさだった!! 元サラリーマン主夫が家事・育児の大変さを「もしこんな部下(子ども)が会社にいたら?」のマンガとともにリアルに語りつくします!

『主婦をサラリーマンにたとえたら想像以上にヤバくなった件』(河内瞬/主婦の友社)

暴れる子どもを部下にたとえてみた

 休日のある日、俺は秋葉原駅前のカフェにいた。

 その日は奥さんが子どもを見てくれていたので、俺は午前中に友人と会って別れた後、コーヒーでも飲んでから帰ろうとカフェに立ち寄った。休日だけあって混んでいたのだが、奥の方に一つテーブルが空いていたのを見つけ、そこに座った。

 それから5分後、コーヒーを飲んで一息つく間もないくらいに、ベビーカーを押した女性が店内に入ってきた。一目で満席とわかる状況だったのだが、女性は俺のいる店の奥までベビーカーを押してきた。そして、きょろきょろと席を見回していたのだが、俺が座った時点で満席になってしまったので空いている席は一つもなかった。

 結局、その女性は従業員の出入り扉の前の少し壁の凹んだスペースにベビーカーと一緒に収まり、席が空くのを待つことにしたようだった。それを見ていたら、俺はたまらずコーヒーを一気飲みして席を譲ってしまった。

 本当のことを言うともう少しゆっくりしたかったけれど、それよりも、目の前の女性の状況と、自分が休日に子連れでフードコートの席が見つからず、早く座りたいと疲れ切っていた状況とが重なってしまったのだ。

 

子連れの大変さは理解されにくい

 高齢者に席を譲るっていうのは常識になっているし、俺もやっていたけれど、父親になってからは、子連れの人にもすぐに譲るようになった。それは、子連れで席に座れないということがいかに大変なのかを身をもって知ったから。しかし、この状況、俺が独身でも理解することができただろうか? といつも考えてしまう。

 こんなつぶやきをTwitterでしたら、独身の方から「自分はイマイチ子連れの親御さんの大変さがわからない」というコメントをもらった。

 そうだよなぁ……。俺も親になって初めてわかったのだが、小さな子どもはもちろん、ある程度大きくなった子どもでも、単純に座れないだけでぐずる……。大人だけなら待つなり店を出るなりできるのだが、子どもが一緒の時点でコントロールがきく大人だけの状況とはまったく別なのだ。

 

 子育てと似たような大変さに「介護」があるが、介護の大変さは比較的理解されやすいように思う。ところが子育ては「子どもは可愛い」という事実ばかりに目がいき、その大変さが理解されにくいように感じる。さらに、子育て世代は介護世代より若いから、体力があるように見えるのも誤解される一因かもしれない。でも、20代・30代だって、育児は慢性的に体力と精神力を削られるのだ。子どもは普通に重いし、子連れの外出は荷物も増えるし……。

 

子どもは制御できない10㎏の米だ!

 そう、赤ちゃんや子どもって可愛いから厄介! そのうえ子連れってなんだか幸せそうだから、席を譲ってなんて言った日には図々しいと思われる……。あれです。10㎏の米。言うことを聞かない10㎏の米袋と外出している状況を想像してみてください。暴れ回って大音量で泣き、いざとなったら抱えて移動しなくてはならない、10㎏の米。

 サラリーマンなら、外回りに連れ出した部下がなかなか思うように動いてくれず、自分が小脇に抱えて移動しなくてはならなくなった状況を想像してみてほしい。ありえないですよね(笑)。そんなありえない状況に近いんです。

 たくさんいただいたコメントの中には「米というより鮮魚!」という声もあった。10㎏の活きのいいブリだとか、暴れまくるマグロだとか。確かに、よりコントロールできない感じが伝わるかもしれない。

 

 とにかく、どんなに子どもが可愛くても、大変なものは大変なのだ。子ども、特に乳幼児は天使のように可愛いので、どうしても大変さより可愛さが先行してしまう。そして子どもが可愛いが故に世間の認識は「その可愛い子どもを世話していて大変なはずがない」「可愛いから頑張れるでしょ」となる。でも当事者の認識は「どんなに可愛くても大変なものは大変だし、重いものは重い!」ということ。そう書いている俺も、親になるまでは完全に理解できなかった一人なのだが……。

 子どもは可愛くても子育ては大変なんです!!

<第3回に続く>

【著者プロフィール】
河内 瞬
元サラリーマン。主夫ブロガー。妻、娘2人の4人暮らし。サラリーマンから主夫に転身して分かった家事・育児の大変さを『主夫の日々』で発信中。「子育てを部下に置き換えてみた」「主夫はおすすめの職業」など、独自の視点からの記事とオリジナルマンガにファン急増中。


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