才能なんていらない! アイデアを難なく生み出すには!?/『「発想力」と「想像力」を磨く 東大アイデア』④

ビジネス

公開日:2020/2/3

「天才的なひらめき」や「センス」は必要なし!

「目的」「調査」「発想」――3つの仕組みで「使えるアイデア」を生み出そう!

偏差値35から東大に合格した、現役東大生の著者が試行錯誤のうえ完成させた“東大アイデア”を初公開!

この連載ではその一部、日常からアイデアを【発想】する技を紹介します。

『「発想力」と「想像力」を磨く 東大アイデア』(西岡壱誠/マガジンハウス)

「当たり前」にアイデアの素が眠っている

 繰り返しになりますが、この章で解説するのは、「日常の解像度」を高くして、アイデアの素を増やす方法です。これは、ちゃんと実践すれば誰でも身につくものです。

 生まれつきの才能がなくても、アイデアを難なく生み出すことができるようになります。

「え~、でも本当にアイデアの素なんて身の回りにあるの?」と考える人もいるでしょう。「そんなの、生まれてこのかた見つけたことないけど……」と。

 そう考える気持ちはよくわかるのですが、「なんでもない」と思っていることの中に、実はいいアイデアが存在しているということはよくある話なのです。

 たとえば、僕は自分の本の取材のためにも、『ドラゴン桜』の取材のためにも、多くの人にお話を聞く機会があります。東大生をはじめ、教授や経営者などに協力していただいています。

 その中で、そういう方々のほうから、

「今こういうアイデアがあって!」

「最先端の世界ではこういうことが行われていて!」

 とお話ししてくれるようなこともあるのですが、それは僕からするとすごく突飛で奇抜なものすぎて、あまり活用できないアイデアであることが多いです。

 正直、「ちょっと本のネタにはならないなぁ」という感じです。

 しかしそういう人に、「普段はどんなことをされていますか?」「いつもどのような生活を送っていますか?」と質問すると、「え? 別にそんなの面白くないよ」と前置きしていろんなことを語ってくれます。

 そっちの話のほうが、僕が求めていたアイデアであることが非常に多いのです。

「それそれ! そういうのが聞きたかったんですよ!」と僕が話すと、「え~、でもこんなの当たり前のことだから面白くないよ?」とみなさん返します。

 このように、「自分が素晴らしいアイデアだと思っていること」よりも、「自分が当たり前だと思っていること」のほうが他人から見たら面白いことがあるのです。

 今の自分が作れる最高のアイデアや、最先端の研究でわかったことというのは、それに対する考察や考えを深める時間が全然ないものです。考えが熟成されていないのです。

 しかし、自分が当たり前だと思っていることや、自分が日常の中で常日頃から考えていることというのは、何度も内省されていて、考えが熟成されているものです。

 そしてだからこそ逆に、何度も考えすぎて、自分の中で当たり前になってしまっているから「これはいいアイデアだ」とは認識できないのです。

 一流のイノベーターと呼ばれる人たちは、何かを思いついたときに、すぐに実行することはしません。多くの人にそのアイデアを話してみて、反応を聞いてアイデアをブラッシュアップしながら、自分の中でそのアイデアが当たり前になるまで話しまくります。

 そして、自分の中で熟成されて「当たり前」になったらそのアイデアを実行するのです。

「最先端」というのは「熟成されていない」ということであり、逆に「当たり前」というのは「熟成されている」ということです。しかし「当たり前」だからこそ、その価値に気づけなくなってしまう……。

 みなさんが「当たり前」だと思っていることの中にも、必ずアイデアの素は眠っています。

 それにみなさんが気づく方法を持っていないだけなのです。

 

日々の生活の中から生まれた「マジックテープ」

 いま世の中にある「使えるアイデア」も、この作られ方でできているものが多数あります。

 突飛な発想によって作られたものよりも、日常生活を送る中で「これ、何かに使えるかも!」「こういうの、あったらいいのになぁ」「あっ、これってそういえばないな!」という考えから生まれているもののほうが多いのです。

 たとえば、いわゆる「マジックテープ」(面ファスナー)がどのように生み出されたか皆さんはご存じでしょうか?

 マジックテープは、「くっつき虫」が自分の服にくっついたのを鬱陶しく感じたジョルジュ・デ・メストラルが「これ、一体なんでこんなくっつくんだ?」と思い、顕微鏡で観察したところ、多数の鉤爪でできていてそれが服にくっつくことを知り「あれ? これって何かに使えるのでは?」と考えて作られたものです。

 このエピソードからわかるのは、アイデアのもとはいろんなところに転がっているということです。くっつき虫に悩まされた経験、みなさんにもありますよね? 誰もしたことのないすごい体験でなく、普通の体験からアイデアが生み出されているわけです。

 自然界発のアイデアは、実は非常に多いのです。

 500系新幹線のあのかっこいい車体は、カワセミの流線形のクチバシにならってデザインされたものですし、カナダを旅行している最中に天然で凍りついた魚を解凍して食べた経験があったクラレンス・バーズアイによって冷凍食品は生み出されました。

「くっつき虫」や「カワセミ」のように自然界に転がっているものでも、よく私たちが日常生活で目にするものでも、いろんなところにアイデアがある。そういう思考で日々を生きていると、実は何かに気づくことがあるかもしれません。

「え? でもそれって、『調査』で言っていたようなパクリの発想と同じなんじゃないの?」「自然界や日常生活で目にするものを、発想に活かすのって、調査とどう違うの?」と考える人もいるかもしれませんが、正直ここは大きな隔たりがあるわけではありません。厳密に言えば分けられないものもあります。

 逆に言ってしまえば、【発想】といえど、その程度の話なのです。

 インスピレーションとは言うけれど、もともと考えられている何かや、一見まったく結びつかないけれど関連づけるとアイデアになる自然界の何かや日常生活で目撃するものがあって、初めて何かのアイデアにつながっていくというのはよくあることなのです。

 だからこそみなさん、ビビらないことです。ゼロから作ろうと思うと大変ですが、元からイチになっているものを探してつなげればそれでいいわけです。

 それでは次ページより、「当たり前」をアイデアにする実践テクニック『QUEST(クエスト)』(“疑問”から始める)と『CONCERN(コンサーン)』(“自分事化”する)を紹介します!

東大アイデアPOINT⑬
「解像度」を高めて、日常生活にあるヒントを見逃さないこと!

<第5回に続く>

この記事で紹介した書籍ほか

「発想力」と「想像力」を磨く 東大アイデア

著:
出版社:
マガジンハウス
発売日:
ISBN:
9784838730513