ウソをつくなとツッコミたいとき「ウソつけ!」と反対に言うのはなぜ? /日本人の9割が知らずに使っている日本語⑧

文芸・カルチャー

公開日:2020/2/14

ウソをつくなというとき、なぜ「ウソいえ!」と反対にいうの?
…外国人にそう聞かれたら、日本人としてきちんと答えられますか。いわれてみると確かに疑問だらけの「いつもの日本語」を再発見してみましょう!
雑学・豆知識としても役立つトピックを『日本人の9割が知らずに使っている日本語』(岩田亮子/青春出版社)から紹介します。

ウソをつくなというとき「ウソつけ!」と反対に言うのはなぜか?



 ウソをつくのは良くないことです。ウソをついている人を「ウソをつくな」と非難するのは、外国人の生徒さんも理解できます。ところが日本語では、ウソをついている人に、「ウソつけ!」と言う場合があります。なぜ、わざわざ「ウソをつくように」命令するのでしょう。

 普段から日本語を使っている人なら、これは「ウソをつくこと」を命令しているのではなく、「お前はウソつきだ」と非難しているのがわかるでしょう。「馬鹿も休み休み言え」や「ふざけろよ」も同様で、相手を非難する意味を持ちます。

 この「ウソつけ」が、命令ではなく、どうして相手を非難する意味を持つようになったのか、理由は明確ではないようです。一説には、誰にでもバレるウソをついた人に対して「ウソをつくならつきなさい。お見通しですよ」と非難していたのが、短くなって「ウソつきなさい」、「ウソつけ」となったとされています。ただし、定説ではありません。

 さて、会社で上司が部下に「ウソつけ」と怒鳴ったら、仕事のミスの言い訳をする部下を非難していると考える人が多いでしょう。でも、もしかしたら、「部下思いの上司」が、「(お前のミスの原因は上司の指示にあったと)上層部には、ウソをついておけ」とかばっているのかもしれません。日本語にはこのように使われる状況によって、意味が違ってくる言葉があるのです。ちなみに「ウソをつけ」は漢字で「ウソを吐け」と書きます。


【次回に続く】