必要なことは3つだけ!  1日を快適に過ごすための朝の習慣/『人生の主導権を取り戻す 最強の「選択」』⑤

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公開日:2020/3/2

目覚めて何をするか、何を食べるか、どう働くか、いかに休むか、どのくらい鍛えるか、どんなSEXをするか、どうやって深く寝るか。1日の積み重ねが人生であるからには、日々をどう過ごすかが人生を決める。そして、1日の過ごし方は、自分の「選択」次第だ。その最強の「選択」とは――。年商70億突破の筋肉CEOが、身体も心も自分最高レベルにつくり変えたそのメソッドを余すところなく伝える。

『人生の主導権を取り戻す 最強の「選択」』(オーブリー マーカス:著、恒川 正志:訳/東洋館出版社)

処方箋

 朝の処方箋は三つの部分、つまり“水分補給”“光を浴びる”“身体を動かす”で構成されている。

●水分補給:前述の材料を混合して朝のミネラル・カクテルを作るための特別な手順はないが、作って飲む間に注意すべきことはいくつかある。まず、水は室温にすること。ミネラルの吸収を高め、消化を促進するには、飲み物を室温にするのがよい。第二に、飲むときは塩が溶けた状態、つまり底に溜まっていない状態にする必要がある。塩はミネラル補給に不可欠の要素だが、水よりも密度が高いため、混ぜて置いておくと、溶けずに底に沈む。そして、グラスの底に塩の層ができ、肉牛なみの舌をもっていない限り、底から舐めとることは難しい。

 この問題を避けるには、シェーカーかウォーター・ボトルでカクテルを混ぜるのがよい。前の晩に最後まで作っておいてもいいし、濃いめに作っておいて翌朝に水を加えてもいいし、儀式のように毎日最初から準備してもいいが、ふたのある容器を使用すれば、飲みたい量ずつ飲むことができる。これは大事なことだ。必要以上に無理やり飲む必要はない。そんなことをすれば、拷問のようになってしまい、身体のためにならない。これは1日をスムーズに始めるための究極の潤滑油であり、そのチャンスを逃してはもったいないので、どれでも自分に適した方法を選択すればよい。

●光を浴びる:夜の睡眠の後でも昼寝の後でも、目覚めのときに5~10分間、青色光を直接浴びる。できれば外に出て、太陽にできるだけ肌をさらし、日向ぼっこをする猫のように、その明るく暖かい青色光を浴びるとよい。これができない場合は、できる範囲で工夫する必要がある。

プロ技
人間の充電

 発光イヤホン。信じるかどうかはともかく、人体で光に反応する受容体は網膜だけではなく、大脳や視床下部など、脳の多くの場所にもある。ここに確実に光を当てるには、耳を通しておこなう方法がある。フィンランドのヘルシンキにある会社Valkeeで開発されたHumanCharger25と呼ばれるデバイスは、このテクノロジーを利用する先駆的なものだ。この発光デバイスでは、カナル型のイヤホンを使用することで、外耳道から脳に直接光を当てているような感覚が得られる。奇妙に思われるかもしれないが、多くの研究で明らかになっているように、太陽の光を浴びる時間が少なくなって季節性情動障害を患っている人の症状を軽減し、認知的能力を向上させるという点で、高い効果がある。

●身体を動かす:朝の処方箋を構成する三つの項目の一つで、これがもっとも難しい。毛布の中にまた潜りこんで、モグラ叩きゲームのようにスヌーズ・ボタンを叩きつづけたいという衝動はとても強いものだ。その抵抗に打ち勝つための鍵は、ここで話題にすることが朝のトレーニングでないと理解することだ。これは“朝の動作”だと思えばいい。

 この動作を軌道に乗せるには多くの方法がある。軽い動作でも、体温を上げ、コルチゾールの分泌と血行を促進し、エンドルフィンの分泌を高める効果がある。これにより、朦朧状態から抜けだして機敏性を高めることができる。楽しんでおこなうことが望ましいため、自分に合ったものを選ぶようにする。簡単なヨガでもいいし、腕立て伏せ、スクワット、挙手跳躍運動(ジャンピング・ジャック)、ユーチューブのリチャード・シモンズのビデオクリップなどでもいい。犬を追いかけて家の周りを走る、子供を持ち上げて飛行機のように浮かせるというのでもいい。どれでも構わない。どれもサーカディアン・リズムを同調させる働きがある。次に、私のおすすめの朝の動作を紹介する。

クイック・アンド・ダーティー(1~3分)

 バーピー(1~5のワンセット)を23回。なぜ23回なのか。私の好きな数字だからだ。バスケット・コートでは長年、背番号23をつけていた。今でもいい思い出だ。元気が余っているようなら、バーピーの途中、低い姿勢になったところで腕立て伏せを追加してもいい。これをいくつかのセットに分割する必要があるなら、そうすればいい。その必要がなければ、全体で1分もあれば終わる。23回がきついと感じられるなら、好きな回数に変えていい。大事なのは、心拍数が徐々に上がり、筋肉が動きはじめることだ。

スロー・アンド・セクシー(5~10分)

 これは私が朝用に考案した簡単なヨガの動作だ。私は深く2回呼吸する間、それぞれのポジションを保持し、1回呼吸する間に次のポジションに移行するようにしている。

1.手のひらを開いて外側に向けて立つ。
2.前方に身体を傾けて床に手をつく。
3.手を前に進めて犬のような姿勢になる。
4.左足を両手と平行になるように前に出し、トカゲのような姿勢になる。
5.左手を持ち上げながら上体を左にひねり、手を開いて空に向ける。
6.左手を下ろし、左足を後ろに戻す。
7~8.腕立て伏せをする(きつい場合は、膝をついた状態で)。
《右側についても1~8を繰り返す》
9.腕立て伏せまで終わったら、お尻を高く持ち上げる。
10.床についた手を後ろに移動させ、足に近づける。
11.少しずつ背筋を伸ばしていく。
12.腕を持ち上げ、身体を軽く後ろに反らす。
13.手を下ろしながら胸の前で合わせ、祈りのポーズをとる。

 1~13を好きな回数だけ繰り返す。

 ここでのポイントはエクササイズをすることではなく、心拍数を上げて筋肉の動きを速めることだ。回復が必要になるほどはおこなわなくていい。この朝の動作で筋肉痛になりたくはないだろう。後からおこなうトレーニングの妨げになっても困る。

プロ技
リバウンダー

 活力を高める効果のある、リバウンダーと呼ばれる小型のトランポリンを購入する。トニー・ロビンズのドキュメンタリー番組『I Am Not Your Guru(私はあなたのグルではない)』を見たことがあるだろうか。彼がイベント会場でステージに上がる前に活を入れるために使っているのがこれだ。愛用者によると、重力が解放されることで生まれるGの力により、リンパ系(健康な免疫機能の鍵)に作用するという。これは完全に証明されているわけではないが、通常の下肢運動はリンパの動きを高めることがわかっている。それだけでも、リバウンダーを使う価値がある。さらに、跳ねることは戦闘機のパイロットの研究で示されているように、バランス力を養うのにも役立つ。個人的には、頭から足の爪先まで、全身の血行が良くなるのを感じる。朦朧状態を振り払うには跳ねるのが一番だ。まさに、くまのプーさんの友達、ティガーの心境だ。ティガーの歌を歌いながら跳ねれば、3倍のボーナス・ポイントが得られる。出だしはこうだ―“オレ様はティガー 世界一のトラ”。

さあ、始めよう

 どんなことでも、はじめと終わりが一番難しい。はじめの一歩を踏み出せば、停止状態から動作状態に移ることができる。PayPalの創業者で億万長者のピーター・ティールなら、0から1に進むことと言うだろう。それは車を押すようなものだ。力が集まると、実際に車輪が回りはじめる。そこからはほとんど惰性で進ませ、操縦することができる。水分補給し、光を浴び、身体を動かすことがその最初の弾みになる。ジャマイカのボブスレー選手のように、目覚めていきなり全力疾走しろと言っているわけではない。三つのシンプルな作業をしようと言っているだけだ。

 これらを最初の20分で終わらせれば、その日の準備はオーケーだ。これは幸福と有効性のハイウェイへの入り口だ。これでウォーミングアップは十分だ。身体に油が回っている。あとは、アクセルを踏むだけで、マッスルカーのようにバリバリ進むことができる。

 そして、次のように自問してみよう。毛布にくるまったまま、時間を無駄にし、ぐずぐずと目を覚まし、スマホをチェックし、エスプレッソ・マシンにカートリッジを突っこむつもりなのか。心地よさに負けるつもりなのか。それとも、1日を支配し、少しだけ自分の限界を広げるつもりなのか。これは意志のエクササイズだ。選択のエクササイズだ。このルーティンにより、今日1日で何ができるか、その夜の眠りがどうなるかが決まる。

 水分補給し、光を浴び、身体を動かす。必要なのはそれだけだ。このシンプルな方法では、当たりまえのすばらしい朝が奇跡のように感じられることはない。虹のように―自分でコントロールできない美しい驚きのように訪れるわけではない。あなたは自分の内なる宇宙のキャプテンなのだ。自分だけの美しい虹を輝かせるために、眠った身体の雲を払いのけるのは自分の仕事だ。

スリーポイント・シュート

・サーカディアン・リズムは生物としての多くの機能に影響を及ぼす。サーカディアン・リズムを整えて能力を高めるには、目覚めの最初の20分に光を浴び、身体を動かす必要がある。

・特に朝は、多くの人が慢性的な水分不足の状態だ。朝のミネラル・カクテルで適切な水分と電解質を体内に取りこむ必要がある。

・弾みをつけるためには推進力が欠かせない。意識して朝を始めることにより、順調に1日を軌道に乗せることができる。

<第6回に続く>