土砂災害は●●の避難でしか防げない/『そのとき、どうする?』⑤

暮らし

更新日:2020/8/31

大地震、風水害といった自然災害が多発する昨今――。近い将来、必ずあなたの身にも起こります。有事のシチュエーション別に、命を守る「知識」と「とっさの行動」を解説。災害大国で生き抜くための必読本!!

『そのとき、どうする?~ただちに命を守るとっさの行動マニュアル』(甘中繁雄/大和書房)

【水害】土砂崩れが起こったら

今、自分がいる場所が土砂災害警戒区域になっているかどうかは、ハザードマップで確認できます。今すぐチェックしてみましょう!

土砂災害は早めの避難でしか防げない

 土砂災害は残念ながら起こってから避難しても間に合いません。自分の住んでいる地域が土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域に指定されていないかを確認しましょう。大雨が降って土砂崩れの危険性がある場合は市区町村から避難勧告が発令されるので速やかに避難すること。指示がなくても、危険と感じたら早めの避難が命を救う行動につながります。避難が難しい場合は、がけから離れた2階以上の部屋へ移動を。

土砂災害には種類がある

 土砂災害にはがけ崩れと地すべり、土石流の3種類があります。

 がけ崩れは集中豪雨や地震によって急斜面が崩れ落ちてくること。突発的に起こり、崩れ落ちるスピードが速く、人家の近くで起こると逃げ遅れる人が出ます。前兆は斜面に割れ目が見えたり、斜面から湧き出る水が濁(にご)っていたり、異様な音や臭いがします。

 地すべりは比較的ゆるやかな斜面で起こるのですが、粘土や泥岩(でいがん)などを含む地中のすべりやすい層の地盤が、地下水の影響によってゆっくりと動き出す現象のこと。一度に広い範囲で動くため、発生すると広範囲にわたって被害を及ぼすことになります。初期の現象としては斜面に亀裂(きれつ)が入ったり、水が湧き出たり、樹木や電柱が傾く、木がざわざわする、土煙(つちけむり)が発生するといったことがあります。

 土石流は渓流にたまった土砂が大雨などによって下流に一気に押し流されること。時速20~40キロメートルと車並みの速さなので、人家や田畑などあっという間に押し流してしまいます。前兆は普段聞き慣れないような山鳴りなどや土地や木の葉が腐ったような臭いがします。

山の近くと同様に川の近くも危険

 2019年の台風19号では、福島県の阿武隈(あぶくま)川や長野県の千曲(ちくま)川が決壊するなどの被害が相次ぎました。大雨によってそれぞれの河川によって決められている避難判断水位を超えると、「氾濫警戒情報」が出されます。これが出たら、避難勧告が出ていなくても対象地域の方は率先して避難しましょう。気になるからといって絶対に川に近づいてはいけません。

<第6回に続く>