「神は急いでいない」14年やっても終わらないジグソーパズルのすすめ/『ジグソーパズル』①

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公開日:2020/3/18

「バイきんぐ」のじゃないほう芸人、西村さんの最初で最後の初エッセイです。小峠さんよりも先に書籍を出版。社内の反対を押し切っての刊行です。はっきり言って、売れる期待は全然していません。有益な情報はほとんどないですが、読むとほんの少しだけ元気がでます。

『ジグソーパズル』(バイきんぐ 西村瑞樹/ワニブックス)

終わらないジグソーパズル

 暇な時に僕はジグソーパズルをやる。本当に気が向いた時だけなので年に2、3回くらい。年に2、3回なら結構やっている方ではないかと思う人もいるでしょうが違うのです、僕はまだ完成してない1000ピースのジグソーパズルを年に数ピースずつ、気がつけば14年という気が遠くなるほどの時間をかけてやっているのです。

 1日1ピースやるだけでも3年もしないうちに完成しますからね。「完成させる気がないだろう?」とよく言われますが14年の間コツコツ数ピースずつやっているし、その間4回引っ越しして、そのたびに毎回作りかけのまま梱包しては開梱を繰り返し、ホコリがかぶればパズルを吸い込まないように掃除機をかけ、謎のちぢれ毛が紛れ込めば丁寧に取り除き、それはもう大事に扱っているのです。いつか完成するのを夢見て。

 買った時は一目惚れでした。百獣の王ライオンが中心にいて象やキリンにゴリラなど動物園で見かける動物たち30頭くらいが向かってくるような絵で、何かを訴えかけてくるんです。

 それに14年も経つと思い出もたくさん詰まっています。その間付き合っていた彼女にはみんな手伝ってもらいました。『東京ラブストーリー』のカンチとリカみたいに。なんなら仮初めの一夜を過ごした女性も数ピースほどハメています。

 余談ですが、作りかけのジグソーパズルの下は何かを隠すのには最高に適した場所なんです。崩してしまったらどうしようという思考が働くので家族も敬遠するんです。なのでぜひともジグソーパズルを始めてもらって、青少年にはエロ本を、奥様方にはヘソクリを隠してもらいたい。

 そして最後に、気になるジグソーパズルの完成はいつになるのか?

 答えるならばあのサグラダ・ファミリア設計者アントニオ・ガウディが言い残した言葉がしっくりくる。

「神は急いではいない」

<第2回に続く>