置き去りにされる「子どものいない人たち」の子どもを持たなかった多様な理由/『子どものいない女性の生き方』②

暮らし

公開日:2020/3/21

持たなかった過程は異なるが結果は同じ、子どものいない人生

 子どもがいない理由はそれぞれで、気持ちのグラデーションはありますが、「子どもを持たなかった理由の区分」(下図参照)は、大きく分けると5つのタイプがあります。

1. 断念型
不妊治療や妊活など努力をしたけれど授からなかった、パートナーの不妊が原因であきらめざるをえなかったなど、子どもを望んでいたけれど結果的に断念したケース。いくら欲しくても自分の力だけではどうすることもできないのが、子どものことです。

2. 選択型
独身を貫きたい、仕事に没頭したい、子どものいる生活が考えられない、子どもが好きではないなど、何らかの理由で子どもは持たないと決めているケース。子どもを持たない人生を自らの意志で選択し、夫婦や本人が納得していれば、周りがとやかく言うことではありません。

3. 見逃し型
最初から子どもはいらないと決めていたのではなく、今は時期ではないと先送りした、あまり深く考えずに過ごしていたら産める時期が過ぎてしまったという、タイミングを逃してしまったケース。特に1965年〜69年生まれの「均等法第一世代」、70年代前半生まれの団塊ジュニアにあたる「均等法第二世代」に多いパターンです。

4. 不安型
子どもを育てる自信がない、経済的なことや将来が心配など、さまざまな不安要素から子どもを持つことをためらってしまったケース。自分の生活や将来の不安で精一杯なのに、子どもを持つ余裕がない、核家族化が進み、働きながら子どもを育てる環境ではないといった、なんとかなるだけの勢いでは産めないのが現在の日本社会です。

5. 覚悟型
女性特有の病気により妊娠・出産ができない、出産すると本人の命に危険が及ぶため医師から止められているなど、主に病気や体のことが原因で子どもを望めないケース。この場合、「子どもを持つ・持たない」の選択肢はなく、原因が判明した時点で子どもが産めないことを覚悟することになります。女性にとって子どもを産む可能性が断たれることはつらいことですが、なにより自分の体や命を優先することに意味があります。

 単に子どものいない女性といっても、その背景は実にさまざま。子どもを産めるか、産めないか、欲しいか、欲しくないか。きっちり二択で区切れるとは限らず、子どものいない人生になった要因も、はっきり一つに絞られるとは限らない。何十年か生きてきた中で紆余曲折があり、結果「子どものいない人生」になったのです。このことから、子どものいない女性はマーケティングしづらいといわれてきましたが、結果として子どもがいないことは一緒。それぞれの経緯や事情で異なる部分はありますが、子どもがいないことで感じる思いや共通項はたくさんあります。子どものいない女性にはさまざまなタイプがいることを認識しつつ、子どもを持たなかった過程より、その先の子どものいない人生に焦点を当てて進んでいきましょう。

<第3回に続く>