現代は内向型人間の強みを発揮できる生きやすい社会に!/『内向型人間だからうまくいく』⑤

ビジネス

2020/3/28

大人数の場が苦手、同時に複数の仕事がこなせない…。内向型人間は、話すのが苦手でも聞き上手。行動力がないように見えるのは、慎重に行動できる証拠。じっくりと仕事に取り組むことで、高い成果を出せるのです。本書では、内向型人間の長所を活かした働き方と生き方を提案します!

『内向型人間だからうまくいく』(カミノユウキ/祥伝社)

自分が内向型であることを知った

 ところで、その頃の私は「内向型人間」という言葉を知りませんでした。なんとなく、「自分は社交的ではないな」「一人でいる時間が好きだな」と感じてはいたのですが、そういった自分の性質をひとまとめに理解できる内向型人間という概念に出会っていなかったのです。

 しかしある日、私はたまたまインターネットで内向型人間についての記事を見つけます。そこには内向型人間の特徴がいくつか挙げられていたのですが、そのすべてが、見事に私に当てはまるではありませんか(内向型の特徴を集めた自己診断リストは八ページにあります)。

 私は、自分が内向型人間であることを知りました。と同時に、世の中には私以外にもたくさん、内向型の性格に悩んでいる人がいることも知ったのです。

 その後、内向型人間について調べていくと、欧米、特にアメリカでは内向型の性格に関する心理学的な研究が盛んで、さまざまな知見があることもわかってきました。これからご紹介するように、「内向型人間」についてはたくさんの科学的な研究の積み重ねがあるのです。

 内向型という分類に出会ったことで得た最大の収穫は、間違いなく「内向型の性格は弱点ではない」ことを知ったことでしょう。内向型の性格は、直す必要はありません。

時代が外向型人間を求めた

 そう、内向型の性格は、弱点ではまったくありません。内向型/外向型という区分は、いわば性別のようなもので、どちらがよい・悪いというものではないのです。では、なぜ、今の世の中では外向型人間が正しいとされているのでしょうか?

 それは、時代の制約のためです。

 インターネットもなく、電話すらなかった時代は、人と人とのコミュニケーションは直接会って行なう場合がほとんどでした。したがって、どんな人とでもすぐにコミュニケーションをとれたり、その場で素早く返答ができるような外向型人間が有利になることが多かったのでしょう。

 内向型人間についての著書で知られるアメリカの作家、スーザン・ケインはセールスマンが登場したことが外向型人間の理想化に繫がった、という意味のことを書いています。商業化が進んだ現代では、多くの見知らぬ人に対して笑顔で振る舞い、たくさんの商品を売るセールスマンの役割が重要になった。したがって外向型の性格がもてはやされるようになった……ということです。もちろん、これはあくまでアメリカのケースですが、「セールスマン型」の性格が価値を持つようになったのは、日本も変わりません。

 しかし、時代は変わり、コミュニケーションの手段は多様になりました。会わずにコミュニケーションをとるのは今や当たり前ですし、Eメールのように、必ずしも即答が求められない連絡方法も増えています。オンライン会議やリモートワークなど、顔を合わせずに一緒に仕事をすることさえ可能になりました。時代の変化が、内向型人間の弱点を補ってくれるようになったのです。

内向型人間だけの強み

 内向型人間の弱点があまり問題にならなくなっている一方で、内向型人間の強みは、時代が変わっても失われていません。第五章で詳しく述べますが、外向型の人々にはない強みをたくさん持ち合わせているのが内向型人間なのです。

 そもそも、読者のみなさんも含め、たくさんの内向型人間が存在していること自体が、内向型の性格が決して弱点ではなく、強みでもあったことを証明しています。もし内向型の性格が純粋に弱点であったならば、進化の流れの中で淘汰され、消えてしまったはずだからです。

 生物の進化は長い時間をかけ、生存に有利な性質に繫がる遺伝子を広め、逆に不利な遺伝子を少なくするように働きます。キリンの首が伸びたのは、首が長い個体は高い所の木の葉などを食べられるため、生存に有利だったからです。首が短いキリンの遺伝子は、生存に不利だったため淘汰されていきました。

 同じように、たくさんの内向型人間が存在するということは、内向型の性格には、生物として有利な点が多くあったということを意味しています。原始時代に思いを馳せてみてください。外向型の人々は集団での狩りに長けていたかもしれませんが、それだけでは人間は生きられません。狩りの道具を作ったり、戦略を立てたり、獲物を加工する人々も必要です。ひょっとすると、内向型の人々は、こういった分野を得意としていたのかもしれません。

 これは想像に過ぎませんが、内向型の人々と外向型の人々がうまく分業して社会を維持してきたことは間違いありません。ちなみに、人間以外の生き物にも、内向型/外向型のような個性の違いがあることが確認されています。

 たとえば観賞魚として有名なグッピーは一つの種ですが、天敵が多い場所に多い慎重なタイプのグッピーと、天敵が少ない場所に多い行動的なグッピーとに分かれていることが確認されています。棲む場所の条件にあわせ、性格を変化させているのです。また、それぞれの性格は学習によるものではなく遺伝によるものというのも面白い点です。それは、どちらの「性格」にもメリットがあるということを意味しています。

 ということはやはり、内向的な性格にも生物としての強みがあるのです。しかも時代は内向型に有利になっています。それは弱点が目立たなくなり、強みはそのままということですから、現代は内向型の人々にとって生きやすい時代であると言えるでしょう。

<第6回に続く>

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