相手の言動に不快感を覚えたら… 3つの対処法で自分を守る/『NOを言える人になる』④

暮らし

2020/4/2

あなたから自由を奪うすべてにNOを言い、自分の人生を取り戻すときだ――。会社の同僚、上司、家族といった人間関係や社会に、どうNOを言うべきか。どうすれば、あなただけのルールで生きられるようになるか。生きづらさを抱えた多くの人々の生存戦略を、わかりやすくご紹介します!

『NOを言える人になる 他人のルールに縛られず、自分のルールで生きる方法』(鈴木裕介/アスコム)

ラインオーバーを繰り返す相手は、「NO」の棚に分類してしまおう

 他人からのラインオーバーに敏感になり、自他の境界線や自分の領域に対する意識が高まったら、次にやるべきことは、ラインオーバーされたときにきちんとNOをつきつけること、ラインオーバーを繰り返す相手に対しては、境界線に有刺鉄線を張り巡らし、きちんと距離をとることだ。

 しかし、みなさんの中には、「ラインオーバーされたと感じたとき、どう対処し、相手とどう距離をとったらいいかわからない」という人も、おそらくたくさんいるだろう。

 そこで、ここでは、ラインオーバーされた際の具体的な対処方法について、段階を追って紹介しようと思う。

 

【STEP1】 第三者に相談する

 ラインオーバーされたかどうかを決めるのは、あくまでもあなた自身だ。

 相手の言動に対し、もしあなたがもやもやしたものや不快感を覚えたなら、それは確実に、あなたにとってはラインオーバーなのだ。

 ただ、最初のうちは、自分の「快・不快」の感覚を信じきれず、「自分が気にしすぎているのではないか」などと考えてしまう人もいるだろう。

 実際、自責傾向の強い人の場合、相手の言動に過剰反応してしまうことがある。

 たとえば、相手はまったく気にしていないのに、自分が何か、相手に迷惑をかけてしまったと思い込んで謝罪する。

 謝罪された方は、何のことかわからず、あいまいな返事をしたり、「何のことでしょう」「心当たりがありませんが」と答えたりする。

 それを「謝ったのに許してもらえなかった」と感じ、さらに自分を責める。

 そのような状態に陥ることが、少なくない。

 だから、もしあなたが「自分の感覚を信じきれない」と思うのであれば、一度、自分がもやもやしたり不快に感じたりした事柄について、率直かつ客観的な意見を言ってくれそうな、信頼できる第三者に相談してみよう。

 

【STEP2】 気持ちを伝える努力をする

 相手の行為に不快感を覚え、「ラインオーバーされた」と感じたとき、いきなりSTEP3に進み、相手との関わりを完全シャットアウトするのも、場合によっては悪くはない。

 相手が話してもわからないタイプであったり、あなたをコントロールするために、わざとラインオーバーをしていたりするならば、それ以上の侵略を避け、あなた自身を守るためにも、そうした方がいいだろう。

 ただ、相手に悪気がなく、話せばわかってもらえそうな場合や、あなたがその相手と、できれば良い関係を続けたいと思っている場合は、まず、自分の気持ちを率直に伝えてみよう。

 その際、大事なのは、「そういうことをされると、私はつらいです」「そういうことを言われると、私は悲しいです」といったように、「アイ・メッセージ」で話すことだ。

 アイ・メッセージとは、アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードンが、『親業』という本の中で提唱したコミュニケーションの方法であり、「『私』を主語にして、自分がどう感じたかを伝える」というものだ。

 一方、「あなた」で始まる、もしくは「あなた」がどこかに入っている話し方を「ユー・メッセージ」という。

 ユー・メッセージは、非難や評価など、相手の考え方を破壊するような影響を与えることが多く、「相手を攻撃する話し方」になりやすい。

 不快感を覚えたとき、「(あなたは)なぜそういうことをするのですか」「(あなたの)その言い方は良くないです」など、ユー・メッセージで話すと、相手は自分が攻撃されたと感じ、防衛的なコミュニケーションになってしまう。

 せっかく勇気を出して指摘したのに、あなたの思いが伝わりにくくなるのはもったいない。

 気持ちをうまく伝えるためには、ほかにもいくつかの技術が必要だ。

 以下に、そのポイントを簡単に記しておこう。

 

①話すタイミングを選ぶ

 相手が忙しくしているとき、感情的になっているときに大事なことを伝えても、相手には余裕がなくて、きちんと受け止めてもらえない。

 落ち着いて穏やかに話ができるタイミングを見計らおう。

 また、もやもやしたり不快感を覚えたりしたことを相手に伝えるタイミングを逸してしまった場合は、メモ書きでもなんでもいいので、一度言葉にしておこう。

 もし後で「やはり伝えたい」と思ったなら、時間差があってもいいので伝えてみよう。

 

②相手への気遣いや感謝の言葉を添える

 本題に入る前や話し終えた後に、「お忙しいときにすみません」「聞いていただいてありがとうございました」といった言葉を添えよう。

 いきなり本題に入るのではなく、その一言を入れることで、おそらく相手は、あなたの言葉をきちんと聞こうという気持ちになるはずだ。

 

③伝える内容をしぼる

 同時に複数のことを伝えると、本当に伝えたいことがわかりにくくなってしまう。

 伝える内容は、できるだけシンプルにしよう。

 

④相手の言い分も聞く

 相手がなぜ、あなたがもやもやしたり不快になったりするような言動をとったのか、その理由や背景もできれば聞いておこう。

 それによって、相手がどのような考えをもっているかを理解することができるし、もしかしたら、あなたが、相手の言葉を誤って理解していたことがわかるかもしれない。

 

 以上が、気持ちを伝える際のポイントだが、親からのラインオーバーを受け続けてきた人にこうした話をすると、いきなり親に、長年言えずにいた気持ちを伝えようとすることが少なくない。

 しかし、僕から言わせれば、ラインオーバーをしてくる親は「ゲームをクリアした後に登場する裏ボス」のようなものだ。

 もっとも手ごわく、気持ちが伝わりにくいうえ、「その時点で完全克服しないと、先に絶対進めない」という相手ではないことが多い。

 あなたが新たに出会った人たちと好ましい人間関係を築いてしまえば、親の言動があなたの心に与える影響はどんどん小さくなるはずだ。

 どうしても親に言いたいことがある人は、身近な信頼できる人とのコミュニケーションの中で「伝える技術」を磨いてからのほうがいいだろう。

 

【STEP3】 相手を「NO」の棚に分類する

 あなたが誠実に気持ちを伝えても、相手に聞く気がなかったり、ラインオーバーが続いたりした場合、その相手は「あなたを大切にしない人」であることを認めよう。

 たとえ親や友人、同僚であっても、その相手を躊躇なく、あなたの心の中の「NO」の棚に入れ、距離を置こう。

「NO」の棚に入れた相手に対しては、接触しないのが基本だ。

「関係を改善しよう」などと考える必要はなく、「話しかけられても、一言、二言でそっけなく返す」「話しながら、ちょこちょこと時計を見るそぶりをする」「誘いにはいっさい乗らない」など、コミュニケーションをとる意思がないことを態度で示し、しっかりと「塩対応」できるように努力しよう。

 相手からのメールを「迷惑メール」フォルダに振り分け、目につかないようにするのもいいだろう。

 あなたの境界線、あなたの領域を平気で侵害しようとする相手を尊重する必要はないし、そのような相手からの情報をできるだけシャットアウトすることが、あなたの心を穏やかに保ち、あなた自身を守りいたわることにつながるからだ。

 以上が、僕なりに考えた「ラインオーバーされた際の具体的な対処方法」だ。

 もちろん、人それぞれ考え方も違うし、相手との関係性によって、対処方法も変わってくるだろう。

 あとは、これを参考にしながら、日々の生活の中で少しずつNOを伝える技術を磨いていってほしい。

<第5回に続く>

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