「まつもとあつしのそれゆけ! 電子書籍」第11回 おすすめ電子書籍端末は?

更新日:2013/8/14

まつもとが使う端末その1「Kindle3」

ちば :まつもとさんは実際どんな端末をどんな風に使っているんですか?

まつもと :さっきのCMじゃないですが、実は3台を使い分けています。仕事がら、それぞれの特徴を掴んでおきたい、という事情もあるんですが。

ちば :いちばん使っているのは?

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まつもと :純粋に読書、という意味ではやはりKindleですね。第三世代のものをアメリカから取り寄せて使ってます。

ちば :こうやって並べてみると、やはり全然違いますね。

まつもと :電車でつり革につかまりながらなら、やはりKindleとかSONYリーダーでしょうね。文庫本のように片手で楽に持てるのは助かります。いま、Kindle 4という新しいローエンドのバージョンは日本でも購入できるようになりましたが、3世代目のKindleやアメリカで人気のKindle Touchに比べるとメモリ(内蔵ストレージ)の容量が小さく、PDFを沢山入れて使うのにはあまり向かなくなってしまったのが残念です。

ちば :そうか、「PDFを扱いやすい」というのはそういう意味もあるんですね。

まつもと :内蔵ストレージしか使えないKindleやiPadに対して、Sonyリーダーや多くのAndroidタブレットはSDカードに対応していますので、メモリを追加できるのが強みではありますね。

ちば :でもまつもとさん、さっき「明るいところでも電子ペーパーは読みやすい」ということでしたが、逆に暗いところでは全然読めないんじゃ……。

まつもと :そういうときに備えて、こんなのも用意してあります。「ライト付きKindleカバー」!

ちば :いまこれお腹のあたりから出しませんでしたか?

まつもと :気にしない。これ、Kindleのカバーにもなって、しかも右上にはLEDライトがついている優れものです。普段はKindleを裸で持ち歩いていますが、旅行の時にはこれにいれておけば、乗り物の中で照明が暗くなってもライトを引き出して使えば安心というわけです。これもアメリカのアマゾンで買いました。

ちば :ちょっとゴツイ見た目にはなっちゃいますね。

まつもと :次のバージョンでは本体に内蔵されるのではないか、といった噂はありますが、たしかにもうちょっとスマートな感じになると良いなとは思います。

まつもとが使う端末その2「iPad2」

ちば :ふたつめは?

まつもと :iPad2です。

ちば :あれ? 3(新しいiPad)じゃないんですか。

まつもと :それが出た直後に安くなったタイミングで買いました。僕は牛乳とか野菜も賞味期限近いのを買います。お買い得じゃないですか。

ちば :でも、Retina(高解像度ディスプレイ)良いなあ、って仰ってませんでしたっけ?

まつもと :う、羨ましくなんて……。

ちば :よくわかりました。どんな風に使っているんですか。

まつもと :先ほど紹介したi文庫HDで自炊したPDFを読んだり、Kinoppyで本を買ったりという感じですね。最近、キーボード付きのカバーを買ったんですが、これが書見台代わりにもなってなかなか快適です。

ちば :パソコンみたいになるんですね。

まつもと :やはりキーボードがあると、入力は早くなりますからね。僕はATOK PADというEvernoteと連携する日本語入力アプリを入れて、原稿のドラフトはiPadで書いたりもします。カバーからはiPadを簡単に取り外せるので、通常のiPadのようにも使えます。

まつもとが使う端末その3「Galaxy Tab」

ちば :まつもとさん、今日は楽しそうですね。

まつもと :基本的にガジェット大好きなので。さて、最後は「Galaxy Tab」です。

ちば :7インチのAndroidタブレットですね。

まつもと :これも現行モデルより古いのですが、まだ現役で活躍してます。iPadよりも小さくて軽いけれど、例えばi文庫やEvernoteのAndroid版をインストールすれば、iPadと同様に読書メモの取れる読書端末になります。

ちば :これはどんな時に使っているんですか?

まつもと :最近は寝床の側にフレキシブルアームを設置して、そこにこれを挟んで寝る前に本を読むのに使っています。

ちば :手で持たないんですか?

まつもと :何度か持ったまま寝ちゃって、顔に落して痛い思いをしたことがありまして……。

ちば :ちば:……。
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ちば :でも、こうやって一台一台見ていくと、たしかに特色があるし、なかなか1台に絞り込めないというのも分かるような気がします。

まつもと :まだ「これ!」という完成形が、端末もサービスも出て来てはいない――それは、電子書籍がまだ進化の過程にあるのでやむを得ないことではあると思うんですが――そんな中では、さっきのKindleのCMにあったように、複数を使い分けるというのも1つの方法ではあると思うんですよね。

ちば :なるほど、よく分かりました。来月また一歩理想に近づく端末・サービスが出てくる事にも期待しておきたいと思います。

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■ダ・ヴィンチ電子ナビ編集部:d-davinci@mediafactory.co.jp

 

イラスト=みずたまりこ

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