人間関係を整理する「3つの箱」とは? 振り分けると見えてくる人づき合いのポイント/『頑張りすぎない練習 無理せず、ほどよく、上手に休む――』⑧

暮らし

公開日:2020/4/27

「現役看護師」の女性僧侶・玉置妙憂さんが贈る人生の教科書。人づき合い、仕事、家族の介護…「頑張る」はいいけれど、「頑張りすぎ」はダメ。無理せず、ほどよく、上手に休む「頑張りすぎない考え方&実践法」満載の心がラクになる生き方をまとめた1冊です。

『頑張りすぎない練習 無理せず、ほどよく、上手に休む――』(玉置妙憂/マガジンハウス)

「とても大事な人」「人畜無害の人」「大嫌いな人」に分ける
――人間関係を整理する「3つの箱」

 あの人とはウマが合わない。会うのもユウウツ……。仕事でもプライベートでも、人間関係の悩みはつきませんね。

 人とのつながりは、助け合って築いていくものですが、同時に自分を縛るものでもあり得るというむずかしさがあります。

 様々な人がいる中で、「合う人」「合わない人」がいるのはあたりまえのことですが、お釈迦さまのように悟りをひらいていない私たちは、かんたんに受け流すことはできません。

 いっそのこと、まわりの人たちを振り分けて、「3つの箱」に入れてしまいましょう。「とても大事な人」「人畜無害な人」「大嫌いな人」に分けるのです。

 まず、心の中に次の3つの箱を用意してください。

 ※ノートに書いたり、パソコンやスマホなどを使って整理したりすると、誰かに見られるリスクがあるので、そこは「ご注意!」です。

1 「とても大事な人」の箱
「濃密に影響し合いたい人」を入れる箱です。
その人の様子から、あなたの感情の海が満ちたり引いたりします。

2 「人畜無害な人」の箱
「ある程度の距離を保ってつき合いたい人」を入れる箱です。
その人に会ったとしても、あなたの感情の海は動きません。

3 「大嫌いな人」の箱
「苦手な人、かかわりたくない人」を入れる箱です。
その人に会うと、あなたの感情の海は大嵐です。

 できましたか?

 次に、まわりの人たち(家族や親せき、恋人、友人、職場の人、ご近所さんなど)を思い浮かべて、この3つの箱の中に振り分けていきます。

「とても大事な人」と「大嫌いな人」は比較的わかりやすいと思いますが、「人畜無害な人」は少し説明が必要ですね。

 人畜無害な人は、「ちょっと好き」「ちょっと嫌い」というように、さらに箱を分けてもかまいません。

 ただし、ちょっと好きでも、ちょっと嫌いでも、人畜無害な人に変わりはありません。

 つまり、この箱の中の人たちは、あなたが感情を動かす必要のない人たちです。何を言われても気にしない。

 仮に、人畜無害な人に「あなたは最低だ」と言われたとしましょう。

 でも、それは「人畜無害な人に言われたことだから、そういう見方もあるのかな」くらいの気持ちで、軽く聞き流してください。

 人間関係で何か不愉快なことが起こったら、「この人はどの箱の中に入れたかな?」とまずイメージして、少し心に余裕をつくりましょう。

 さて、「友人知人を仕分けるなんてひどい」と思われる方がいるかもしれません。

 でも、よく考えてみてくださいね。

 自分がやっていることは、たいてい他の人もやっています。無意識かもしれませんが、誰でも人を振り分けてしまうものです。

 3つの箱に振り分けたとき、「人畜無害な人」がだんぜん多かったはずです。

 ということは、自分もまた、ほとんどの人にとって「人畜無害な人」なのです。

 相手にだって振り分けの自由があります。これは仕方がありません。

 要するに、多くの人がお互いに気にしない関係です。相手にどう思われてもいいのです。

 こちらが思っているほど、相手は気にしていないことがほとんどですから。

 ところが、相手にとってあなたは「とても大事な人」だけれど、あなたにとって相手は「人畜無害な人」という場合もあります。

 相手がそれを恨んで、あなたを「大嫌いな人」の箱に入れたうえ、あちこちで悪口を言うかもしれません。

 でも、これはあなたのせいではありません。相手がひとりで解決すべき問題です。

 また、「大嫌いな人」に会うと、どうしてもあなたの心は乱れてしまうかと思います。

 ですから、できるだけ、その人に「会わない」「かかわらない」のがベスト。極力、距離を置く工夫をしてみてください。

 職場などでどうしても一緒に仕事をしなければならない場合については、のちほどお話しさせていただきますね。

 そして、3つの箱の中身は、移り変わっていいものです。一度どこかの箱に誰かを入れたら、その人は一生その箱の中の人、というわけではありません。

「人間関係がうまくいかないな」と思ったら、箱の中身をどんどん入れかえていきましょう。

 モヤモヤ、イライラした惑情が、すっきり整理されていきますよ。

続きは本書でお楽しみください。