文房具のプロが教える小さいノート活用術! 書く内容よりも大切なこととは…/『時間をもっと大切にするための小さいノート活用術 』①

暮らし

公開日:2020/4/26

ウェブマガジン『毎日、文房具。』編集長・髙橋拓也がおすすめする世界で1番“気楽な”ノート術。スマホのように開く。そうすれば、煩雑な毎日が整理され、新たな可能性が見えてくる。小さいノートを味方につけて、“あなたの時間”を取り戻そう!

『時間をもっと大切にするための小さいノート活用術』(髙橋拓也/玄光社)

01 いつも、小さいノートと一緒に

 ノートは小さい方がいい――というのが、私の持論です。

 実際に私が愛用しているノートのサイズは約14×9㎝、60ページ程度の薄いものです。ポケットはもちろん、お気に入りのサコッシュにも入るし、荷物の邪魔になりません。スマホよりはるかに軽い1冊は、気軽に、毎日持ち歩けます

 なぜ、持ち歩けるノートがよいのか。

 アイデアというのは不思議なもので、机やパソコンに生真面目に向かっている時よりも、何もしていないスキマのような時間に生まれてくるものです。道を歩いていたり、電車に乗っていたり、カフェで人を待っている間――。そんな時に限って、忘れかけていたこと、気がついたこと、やらなきゃいけないタスク、これはいけそうだなと思えるようなアイデアが浮かんできます。そうしたものと出会えた瞬間に、私は小さいノートをその場で開き、家や職場に戻ったら忘れてしまうであろう、些細なことを書き留めます

 スマホだったら、ポケットやカバンから取り出してパスコードを入力し、アプリを立ち上げフリック入力するというように、数ステップかかることでしょう。なにより書き留めたいものを文字で打ち込んでいるうちに、大事な部分を忘れてしまったりすることもよくあります。けれども小さいノートなら、思い立ったらすぐに開いて、勢いに任せてペンで、その瞬間、頭に浮かんだことを綴ることができます。手書きの文字には、その時に感じた熱量や思いの丈が宿ります。そうした情報量の多さとスピード感が、小さいノートのいいところです。

 また、小さいノートでは、思いついたことを書き留めるだけではなく、どうすればよいか検討することができます。あとで詳しく掘り下げるのか、誰かに伝えるのか。次のアクションをイメージしながらメモすることで、スムーズな行動へとつながります。このような思考の踊り場を作ることで自分を客観視でき、考えがまとまって備忘やタスク整理が明確になる。時間をこんなにも効率的に使えるようになったのは、自分にとっても大きな発見でした。

 今は時間がなくてできなかったとしても、やってみたいことをノートに書き出すことで、慌ただしい日常に埋没させず、未来につなげることができます。また、やりたいと思っていたこと事態を、忘れてしまうような毎日では虚しくなるばかりです。だから、ちゃんと残しておく。

 こうして私は、やりたいことをたくさん叶えてきました。

 小さいノートだと、書ける面が限られていて使いづらいのでは? というデメリットを挙げられることがありますが、実際はメリットばかりなんです。まず、書くスペースが少ないので、すぐに埋まり、達成感が得られます。スペースに限りがあるので、メモの内容が端的になり、内容を自然とブラッシュアップするというスキルも身につきます。もし1ページを埋めきれなくても、余白が小さいから「もったいない」という罪悪感もわきません。学生の頃に使っていたB5やA4のノートを埋めようと思うと相当な情報量が必要で、実際に埋めようとすると、その半分でさえつらいと思う人もいるのではないでしょうか。

 学生のように、科目ごとにノートを持って授業の板書をするのが目的ではありません。大人には大人に合ったノートがあり、私にはそれが小さいノートでした。

 ですので一度に使うノートの冊数も、取り出すスピードを優先するため、すべてを1冊で完結させることをおすすめしています。タスクやテーマごとに使い分ける手もあるかもしれませんが、分冊すると、どのノートに書くのか迷い、思考の流れが止まってしまいます。また、何冊も持ち歩かなければならないと、ノートが精神的にも「重荷」になって、その場で思いついたことや、やりたいことが書き留められなくなります。実際に目的ごとに分けてノートを使ってみたこともありましたが、全然使いきれなかったり、目的によっては書く頻度が少なく、次第に持ち歩かなくなり、いざ必要な時に手元にないということがよくありました。小さいノートは、いついかなると時も、それこそスマホのように、さっと取り出せる場所にあってはじめて意味を持ちます。家、移動時、仕事先でのノートの置き場所を想定してみてください。中身に何を書くかよりも、気軽に、たくさん開くことが一番大切なのです

<第2回に続く>