個人のLINEをビジネスに流用するのは避けるべき! その理由とは?/『ビジネスチャット時短革命』④
公開日:2020/5/14

ビジネスチャット時短革命 ―メールは時間泥棒 ― メールを48.6%減らす働き方 (できるビジネス)
- 著:
- 越川慎司
- 出版社:
- インプレス
- 発売日:
- 2020/03/16
新型コロナウィルスの影響が拡大する中、在宅勤務を取り入れる動きが広がっています。テレワークやリモートワークの普及により、ビジネスチャット・オンライン会議の導入を進めている企業も急増し、従来のメール中心のコミュニケーションではビジネスが円滑に進まないケースも。新たな時代を生き抜くためのビジネスチャットとオンライン会議を駆使した「新しい働き方」を指南します。
個人のLINEを使うとコンプラ違反なの?
「ビジネスにチャットを導入する」と言うと、「ふだんから使っているLINEでいいじゃん!」と答える人がいます。ここではプライベートで使っているLINEのビジネス利用について考えてみましょう。
メールのやりとりに慣れきっているせいか、新たにビジネスでチャットを使うことに抵抗を示す人は少なくありませんが、そんな人もたいていはすでにプライベートでチャットツールに慣れ親しんでいるものです。その代表格が、LINEやFacebookメッセンジャーなどのSNSツールです。これらのツールは、いったん「友だち」としてつながれば相手のメールアドレスを入力せずに気軽にメッセージをやりとりできます。相手がメッセージを読んだかどうかわかる「既読機能」や、豊かな感情を表現できる絵文字やアイコン、そして何よりカジュアルなコミュニケーションがテンポよく交わせる快適さが人気の理由でしょう。最近ではチャットツールを使って飲み会の割り勘払いの精算を行ったり、マンガや音楽のコンテンツを共有しながら意見交換したりすることも可能になり、ますます便利になりました。
近年のITサービスは、コンシューマー(一般消費者)向けのサービスが先行して登場し、その後にビジネス向けに提供されるという流れが主流です。SkypeのあとにSkype for Businessが提供されたのも、LINEからビジネス版であるLINE WORKSが生まれたのも、コンシューマー向けサービスが先行してビジネス向けサービスがあとから来たパターンです。
スマホの登場がチャットの普及をあと押し
ビジネスシーンでも、チャットやインスタントメッセージ(IM)というと「お遊びツール」という印象をもつ人が大半でした。とくにスマートフォンでチャットを使っている姿は、どうしても遊んでいるように見えてしまうのだと思います。IMは欧米では2000年代から企業内での普及がはじまりましたが、日本はこの流れから取り残されてしまいました。それは大きく2つの理由が挙げられます。
1つは、IMの先駆者であるICQ(アイシーキュー)が日本語化されなかったことです。ICQ(I Seek Youの語呂合わせ)は1996年にイスラエルのミラビリス社がリリースしたIMサービスで、これが世界ではじめてのIMサービスだと言われています。ICQは無料で使えることもあって、2000年6月には全世界でダウンロード数が1億回を超え、企業内でも広く使われるようになっていきました。ところがICQは正式な日本語版が提供されなかったため、国内ではそれほど普及しなかったのです。
理由の2つめは、日本独自サービス「iモード」の存在です。ICQから遅れること約3年、NTTドコモが携帯向けのiモードサービスを開始しました。占いやスポーツ情報などの豊富なコンテンツのほかに、iモードの爆発的普及をあと押ししたのが「iモードメール」です。携帯電話同士でやりとりするメールサービスですが、絵文字やカメラ画像と組み合わせた高速なテキストのやりとりは、まさにチャットそのものでした。
海外でICQがMSNメッセンジャーやYahooメッセンジャーに取って代わられるタイミングで、日本ではiモードメールがいち早く携帯電話上でチャットを普及させていたのです。しかしiモードは日本独自に進化したが故に、世界の波に日本が乗り遅れる結果となりました。その後、2000年代半ばにスマートフォンが登場すると、より便利で楽しいチャットサービスが次々と登場してきたのです。LINEもそのひとつとして2011年にサービスを開始し、瞬く間に国民の65%以上が利用するほどのサービスに成長しました。このLINEの普及がiモードメールを葬り去ったのです。
ふだん使っているLINEと同じ使い勝手なので導入直後から誰でもすぐに使えるのがメリット。社員への教育コストが低く済む。
私用ツールでは会社が「事故」を防げない
この爆発的に普及したLINEを使って、仕事のやりとりをしている人も多いのではないでしょうか。「会社のシステムは時代遅れだ」「メールだとスピード感をもって業務を進められない」などといった理由で、プライベートで使っているLINEを仕事でも使用している人は多く存在します。たしかにLINEはメールよりはるかに使いやすいサービスですが、これをビジネスで使っても本当に大丈夫でしょうか? 答えは「NO」です。
より短い時間でより大きな成果を求められるビジネス環境では、効率化を実現するITツールを社員が自由に使って成果を残せばいいと思われがちです。しかし、この自由には責任が伴います。弊社のクライアント企業でもプライベートのLINEをビジネスで使っている社員が多くいました。しかし、LINEのビジネス使用によるセキュリティ事故が起きているのも事実です。たとえば、発表前の商品情報をLINEで社外の友人に伝え、それがSNSで拡散されて株価に影響が出てしまったり、ライバル企業に転職することが決まった直後に企業機密が入ったパワポ資料をFacebookメッセンジャーで社外に持ち出されて形跡を追跡できなかったりといった事件を何度も耳にしています。会社で認められていないツールを使ってやりとりされてしまうと、その履歴を会社が管理できないので、こうした背任行為を見逃すことになってしまいます。このような観点からも、プライベートのLINEをビジネスに使うことは禁止しておくべきでしょう。企業向けのビジネスチャットツールはログ(会話の履歴)が保存され、社内のディレクトリー(連絡帳)やさまざまなアプリと連携できるので、安心して快適に使えます。会社で正式に採用したビジネスチャットツールがあれば、私用ツールの使用を強く禁止して抑止することもできるでしょう。
ビジネスチャットツールは個人向けチャットツールと異なり、利用するデバイスやIPアドレスでアクセス制御をかけたり、IDとパスワードのほかに登録した携帯電話に認証コードを送って、そのコードをアプリで入力することにより乗っ取り防止の「二段階認証」を設定したりでき、不正アクセスへの備えも万全です。また、万が一デバイスを紛失した際に遠隔からデータを削除する「リモートワイプ」などのセキュリティ管理機能も備えています。業務にチャットを使うのであれば、このようにビジネス利用を前提として安全性も考慮されたツールを使うべきでしょう。
この記事で紹介した書籍ほか

ビジネスチャット時短革命 ―メールは時間泥棒 ― メールを48.6%減らす働き方 (できるビジネス)
- 著:
- 越川慎司
- 出版社:
- インプレス
- 発売日:
- 2020/03/16
- ISBN:
- 9784295008422
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