「白井悠介のなんとかなるさ」⑥アルバイター・白井

小説・エッセイ

公開日:2020/5/11

 夢を追いかけ上京したぼくは、専門学校で声優になるための勉強に明け暮れる毎日を送っていました。いま思えば、いろんなことがあったなぁ……。でも、そのエピソードは次回にとっておくことにして、今回は専門学校のほかにもうひとつ頑張っていたことについてお話ししようと思います。

 それはなにかというと、アルバイトです!

 そもそもぼくは、地元にいた頃からアルバイトをしまくっていた子どもでした。初めてのアルバイトは、中学生の頃にしていた新聞配達。早起きして、雪が積もるなか自転車を漕ぐのはなかなかしんどかった……。

 高校生になると、マクドナルドでのアルバイトをはじめました。しかも、これがなんと、兄と同じ職場(笑)。声優を目指したきっかけもそうでしたけど、振り返ってみると、当時のぼくは兄の後ろばっかりついて歩いてたみたいです。ちょっとうざったい弟ですよね。でも、兄はまったく嫌がらないどころか、そんなぼくを歓迎してくれて。やさしい人なんですよ。

 さらに、上京してはじめたのがコンビニのアルバイトです。ド定番ですね。マクドナルドのときは調理スタッフをしていたので、接客業はこれが初めて。ところが、意外と向いていたのか、そこまでストレスを感じることはありませんでした。

 ちなみに、「いらっしゃいませ~」「ありがとうございました~」の挨拶をするとき、声優を志す者ならさぞかしいい声で発声したんだろう、と思いますよね? でも、専門学校に入学したばかりだったぼくはそこまで意識が高くなく、アルバイト中に発声練習をしてやろうなんて想像もしませんでした(笑)。なんか、すみません。

 コンビニで接客業のコツを掴んだぼくは、次にボウリング場でのアルバイトをはじめました。ところが、ここでぼくは、初めて接客業でのストレスを感じたんです。

 ぼくは夜勤で入っていたんですが、そうなると必然的に、酔って遊びに来るお客さんの相手をするケースが増えます。特に週末の夜から朝方にかけては、酔っ払っているお客さんばっかり。みんなテンションが上がっていて、ルールを無視したプレイをしちゃうんです。

 ストッパーが上がる前にボールを投げて、マシンを止めてしまう人。隣のレーンに投げる人。一度に2、3個まとめて投げちゃう人。もう数え切れないくらいの困ったお客さんが訪れました。そりゃ、誰だってストレスを感じますよね。

 そんなとき、一体ぼくはどうしていたのか。ここで飛び出すのが伝家の宝刀「なんとかなるさ」です。

 相手は酔っぱらいだし、しょうがない。まぁ、なんとかなるか!

 おかげで大きなトラブルに巻き込まれることもなく、どんなに大変なお客さんを相手にしたとしても、なんとか切り抜けることができたのでした。……とはいえ、さすがに理不尽すぎる場面では、ぼくだって腹が立ちますけどね(笑)。

 そんなアルバイトをしながら、専門学校ではどんな勉強をしていたのか。次回はいよいよ専門学校編です! お楽しみに~!

今週の一言:お客様、ボウリングの玉は一個ずつ投げてください!

構成協力=五十嵐 大 写真=干川 修 スタイリング=小林かおる ヘアメイク=川口愉里恵

第7回につづく

しらい・ゆうすけ
1月18日、長野県生まれ。2011年に声優デビュー。2015年に出演した『美男高校地球防衛部LOVE!』で注目を集め、以降、『アイドルマスター SideM』『アイドリッシュセブン』『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』などの話題作への出演が相次ぐ。「理想の緑」をブランドアイコンとする、オリジナルアパレルブランド【MIDORI】も立ち上げたほか、YouTuberとしての活動もスタートし、「しらいむチャンネル」で自由気ままな動画も投稿中。
公式Twitter:@shirai_universe
公式YouTubeチャンネル:しらいむチャンネル
MIDORI公式サイト:アパレルブランド