「経費で落とす」は本当に節税になる? “経費貧乏”にならないために…/フリーランス、自営業のためのお金の超基本④

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2020/5/26

フリーランス、自営業がコロナショックを生き抜くための決定版! 人気家計再生コンサルタントがお金の管理術を丁寧に解説します。フリーランス、自営業だからできるお得な「お金の話」を大公開。

『ゼロからわかる! フリーランス、自営業のためのお金の超基本』(横山光昭/アスコム)

「経費」を使うのは本当にトクなのか? 節税になるか?

「税金を払いたくないから」と、必要のないものにまで経費を使う人がいますが、それで節税できる額はたかが知れています。経費の使いすぎは、手持ちのお金をいたずらに減らすだけ。月々いくらまで経費を使っていいかを計算し、できるだけその枠内におさめるようにしましょう。

答えは一つ!
経費こそ節約すべし。
経費を多く使って所得を減らすのは逆効果。節税対策としても弱い。

 事業用と家計用で口座とカードを使い分け、何にいくら使っているかを把握したら、具体的に経費や家計費を見直し、ムダな支出を削っていきましょう。

 ここではまず、経費についてお話ししたいと思います。

 第1章で「売上と所得は違う」「売上がいくら多くても、所得が多くなければ意味がない」とお伝えしましたが、誰にでもできる、所得を多くする最も手っ取り早い方法は何だと思いますか?

 答えは簡単です。

「経費を、できるだけ少なくすること」

 これに尽きるのです。

 売上自体が多くなれば、基本的には所得も多くなりますが、そう簡単にはできませんし、仮に売上が多くなったとしても、それに伴って経費も多くかかってしまっては、意味がありません。

 また、経費を少なくするといっても、仕事に影響が出るほど少なくするわけではありません。

 売上が多かろうと少なかろうと、必要のない経費を削ることは、とても大事です。

 そしてそのためにも、まずみなさんにお願いしたいのが、

「経費」という魔法の言葉に惑わされないでほしい

 ということです。

 みなさんの中には、「これは必要経費だから」と思いながら、たくさん買い物をしたり、高価なものを買ったりしてしまう人はいませんか?

 あるいは、「これ、経費で落ちるでしょ?」と言われ、ついつい財布のひもを緩めてしまうことはありませんか?

 たしかに、仕事に関係するものを購入し、領収書を受け取れば、確定申告の際にその分が経費として収入から引かれ、課税所得が減り、税金が減ります。

 また、「これは仕事に必要なものだから」と思うと、「お金を使うこと」に対する罪悪感のようなものも減ります。

 しかし、経費が1万円多くなれば(課税所得が1万円少なくなれば)、所得税は1000円ほど安くはなりますが、ただそれだけです。

「経費」であろうとなかろうと、お金を使うことに変わりはなく、使えば使っただけ、手持ちのお金が減っていくことに変わりはありません。

 私のところに相談に来られたフリーランス、自営業の方の中にも、お金の管理がきちんとできておらず、経費の割合が非常に高いためにお金がためられずにいる、いわゆる「経費貧乏」の人はたくさんいます。

 たとえば、雑誌などのスタイリストをしている40代女性のCさんは、平均して月に60万円ほどの売上がありながら、貯金がまったくなく、確定申告の際に所得税を払うお金さえ不足しているとのことで、相談に来られました。

 Cさんの1か月分の収支を見ると、仕事柄、多少は仕方ないかもしれませんが、被服費や交際費などの経費が過剰にかかっていることがわかりました。

 また、計算上は平均して毎月5万円ほど残るはずなのですが、多くお金が入ったときは、つい気が大きくなって高価なコートやバッグなどを買ってしまうクセがあり、トランクルームには、買ったままほとんど使うことのなかった高価な洋服や小物類もたくさん眠っているそうです。

 詳しくお話を聞くと、やはりCさんの場合も、仕事で必要なものはもちろん、個人的に「欲しい」と思った洋服やバッグ、小物についても、多少高くても「仕事のためだから」「必要経費だから」と自分を納得させて買っているとのことでした。

 そこで私は、ひと月に使ってもいい経費の、おおよその金額の枠を決め、常に「これは本当に必要なのか」を考えるようにしてください、とお願いしました。

 Cさんに限らず、フリーランス、自営業の人が「経費貧乏」に陥るのを防ぐには、

・月々、使っていい経費の金額(もしくは売上における割合)を決めておくこと

・経費を使うときは、「経費だから」「仕事に必要だから」と何でもかんでもOKにするのではなく、常に「これは本当に必要なのか?」を考えるクセをつけること

 この2つが非常に重要です。

 なお、使っていい経費の金額ですが、適正な経費率(売上に占める経費の割合)は、業種によって異なります。

 飲食業の人や小売業の人などは、材料や商品の仕入れがあるため、どうしても経費の割合が大きくなるでしょうし、ライターやデザイナーなど、仕入れの必要がない業種の人は、経費の割合が小さくなります。

 経費率は、一般的には、

・卸売業:90%
・小売業:80%
・製造業:70%
・飲食業:60%
・サービス業:50%

 とされています。

 仕入れが必要ない業種の場合は、毎月5~10%くらいという人もいるでしょうが、パソコンや参考資料費など、一時的に経費がかさむこともあると思います。

 多くても、平均して月に40~50%以内にとどめることが理想です。

 ただ、単純に割合だけで考えると、現実に合わない部分も出てくるでしょうから、まずは、事業用の口座とカードで、1か月にどのくらい経費を使っているかを確認したうえで、ご自身の実際の収支バランスを考え合わせ、経費の枠をいくらぐらいにするのが妥当か考えてみましょう。

 もちろん、あまり使わない月もあれば、予定外の出費がかさむ月もあるでしょう。

 利益が出すぎた年には、少しでも節税をするため、いずれ買わなければならない必要なものを経費でまとめて買っておく、ということも起こるかもしれません。

 毎月、必ずその枠内におさめるというのは難しいかもしれませんが、ある程度の枠組みを決め、それを意識することで、お金の使い方は変わってくるはずです。

<第5回に続く>

この記事で紹介した書籍ほか

ゼロからわかる! フリーランス、自営業のためのお金の超基本

著:
出版社:
アスコム
発売日:
ISBN:
9784776210788