炭治郎「強くなってる…」困難や我慢の先に存在する、確かな成長!/『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方②

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公開日:2020/5/26

マンガ『鬼滅の刃』の炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助が、どんどん強くなれるのはなぜか…。大切な人を守るため、敵を倒すため。思い通りにならないことがあっても、投げ出さずに立ち向かう。『鬼滅の刃』から学べる強い心のつくり方を、印象的なセリフとともにご紹介します!

『『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方』(井島由佳/アスコム)

人は積み重ねることで、心も体もどんどん強くなる

 目標に対する強い思い、覚悟があったとしても、いきなりゴールにたどり着けるわけではありません。目標が大きければ大きいほど、その道のりは長く険しいものになります。

 鬼を斬る剣士になると決めた炭治郎にも、当然大きな試練が待ち構えていました。

 炭治郎は義勇から紹介された鱗滝に、すぐに弟子入りすることは認められませんでした。心身ともに剣士になる素質があるか否かを試すために、至るところに罠がしかけられた山を、朝までに下山するように言い渡されます。

 炭治郎は、上下左右から予告なく飛びかかってくる石や丸太にぶつかり、落とし穴にはまり、起き上がっては転び、全身傷だらけになりながらもなんとかクリア。晴れて弟子入りを認められますが、それは地獄の鍛錬のスタートにすぎませんでした。

 毎日毎日、山下りを繰り返し、何度も何度も罠にかかります。罠の難易度は日を追うごとに上がっていき、石や丸太が鋭い刀や包丁に変わっていきました。

 腕がもげそうになるほど刀の素振りをさせられ、鱗滝との一対一の稽古では転がされ、跳ね飛ばされ、刀を折ったらお前の骨を折ると脅されます。

 怖い思い、痛い思いを重ね、何度も死ぬかもしれないと思った炭治郎ですが、くじけそうになるたびに禰豆子のことを思い出し、厳しい修行に耐え続けました。

 そして最後の課題とされた、自分の体よりも大きな岩を斬ることに成功し、〝最終選別〟と呼ばれる鬼殺隊への入隊試験を受けることを、鱗滝に認めてもらったのです。

 最終選別の合格条件は、鬼がいる山にこもり、7日間生き抜くこと。

 炭治郎をはじめとする鬼殺隊の候補生たちは、いきなり鬼たちとの生死をかけた戦いを強いられました。

 そんな炭治郎に、最終選別が始まるやいなや、いきなり2人の鬼が襲いかかってきます。一瞬焦る炭治郎ですが、冷静にこれに対峙し、鱗滝から伝授された剣技を繰り出して応戦。見事に一太刀で2人の鬼の頸をはねることに成功するのです。

 その瞬間、炭治郎は涙をにじませながら心の中でつぶやきます。

「斬れた 鬼に勝てた 強くなってる…… 鍛練は無駄じゃなかった ちゃんと身についた」
(1巻 第6話「山ほどの手が」より)

 人間は、苦しいことに耐え、我慢を重ねて鍛錬すると、確実に成長します。

 心身ともに鍛えられ、技術が向上し、精神力が強くなります。

 そして、それまでできなかったことが、知らず知らずのうちにできるようになっていることがあります。

 努力をしているときは自分の成長になかなか気づけないものの、なにかをきっかけにそれを実感させられる、というのはよくあること。2人の鬼を倒した瞬間の炭治郎がまさにそれでした。

 努力を積み重ねた先にあるひとつの成功体験が、「自分はできる」という有能感を高めてくれるのです。

 初めてバットを持った人が、初打席でホームランを打つことはできません。

 初めてピアノに触れた人が、最初からモーツァルトを弾くことはできません。

 初めて絵筆を握った人が、いきなりピカソのような絵を描くことはできません。

 一流と呼ばれる人も、最初はみんな素人です。

 どんなに好きなことであったとしても、一流にたどり着くまでは楽しいことばかりではありません。どこかでやめたくなる瞬間、逃げ出したくなる瞬間は訪れるものです。

 それでも苦しいことに耐え、我慢を重ねて鍛錬を続けると技術が磨かれていく。同時に、ひとつのことに没頭し、継続することで、強い心も身についていく。

 そうやって、最初はできなかったことが、できるようになっていくものなのです。

 先の炭治郎の言葉は、積み重ねることが目標を達成するためにいかに重要であるかを、如実に物語っています。

 みなさんも、仕事、部活動、趣味などで一生懸命に取り組んでいること、好きで仕方のないことはなにかしらあると思います。もちろん、好きだから続けているわけでしょうが、なかなか上達しないと悩んだり、好きだけれどつらいことからは逃れたいと思ったりしている人もいるかもしれません。

 でも、忘れてならないのは、その困難や我慢の先には、確かな成長があるということです。自ら実感できなくても、鍛錬を積み重ねていくと、体と心はいつの間にか強くなっているものなのです。

<第3回に続く>