「告白するなら、外見くらいなんとかしろよ」トラウマ抱えたシンデレラが青春をやり直す! はたして2回目の青春は…?

マンガ

更新日:2020/11/25

青春シンデレラ
『青春シンデレラ』(夕のぞむ/集英社)

 どんな成功者だって、やり直したい、あるいは書き換えたい過去の出来事はきっとあるハズだ。成功者への道のりはまだまだほど遠いが、2万枚コツコツ書いて現在はPOPライターとして活動している私も、当然そう思ったことはある…つか、めちゃくちゃある。みなさんは何をやり直したいですか? きっと、いちばんやり直したいエピソードといえば…そうだね、青春時代だね…と、かなり強引ではありますが、今回はその“青春時代の恋愛”をテーマにした作品をピックアップ。

 そんじょそこらの“やり直し系青春物語”ではなく、初恋相手の一言をキッカケに、美のスペシャリストとしてスキルアップした女性が、再びその初恋相手へスキルをもって挑むという青春コンティニュー物語。夕のぞむ先生の『青春シンデレラ』(集英社)をご紹介します!

青春時代をやり直せたら…誰もが思うことだけど

 華やかなメイクとブランド服でバシッとキめ、女性客からも支持が高く、男性からは合コンでも注目の的である27歳の紫苑の職はビューティアドバイザー。その姿はすべて順風満帆であるように見えるが、実は、高校生の頃は真逆の印象でおとなしめの地味メガネっ子。初恋の男子長谷川くんへ告白したがあっさり断られ、恋に臆病になり、“青春の舞踏会”にすらたどりつけない学園ライフ…。

 大きなショックを受けたあの頃の思い出を封印していたものの、ある時、長谷川くんが写った写真が出現。それを破った瞬間にある封印が解かれ、気づいた時には制服姿の親友・美月がいる高校の教室に立っていた。そのそばには、まさかの長谷川くんの姿も! なんと、10年前の失恋前、高校3年生の時分にタイムスリップしていたのだ。

 あまりの急展開と鏡に映った自身の地味顔を見て、「これは夢の中なのでは…?」と半信半疑。しかし、時間軸はすぐに戻ることなく、姿は女子高生なのに27歳の知識と心をもったまま学園生活は進んでいく。はたしてプロとしての大人のスキルをもって高校時代を過ごしたら、その先にはどんな展開が待ち受けているのか――やり直したいと思っていたポイントから始まる、もうひとつの世界線の物語だ。

 物語の重要ポイントは、本線ともうひとつの世界線における紫苑と長谷川くんとの関係性の違いと変化。そもそも紫苑がビューティアドバイザーになったキッカケは、彼女が勇気をもって告白をした時の長谷川くんからの、

「告白するなら、外見くらいなんとかしろよ」

という、一途な恋心をえぐるキツい一言だった。そこから彼との距離が離れてしまい、前回の青春は地味エンド。そこから紫苑の自分改革は始まり、ビューティアドバイザーになったのだ。新しい青春やり直し回では、10年前にはできなかったメイクの力を借りて高校時代を鮮やかに彩られたものにシフトチェンジしていく。はたして彼女のプロのスキルでもって、今度こそシンデレラは“青春という舞踏会”に足を踏み入れることができるのか? 新しい世界線上の長谷川くんとの心の距離は縮まるのか? 1巻の時点で物語は急速に展開していくので、ぜひあなたの目でご確認を!

 一方、紫苑を冷たく断った長谷川くんという男子。彼は…ただ不器用なだけなんです。“あの一言”が彼の気持ちのすべてではない――そのことは、紫苑が社会人経験を通じて得たコミュニケーション能力のおかげで、徐々に明らかになってきます。そんな長谷川くんは、思わぬところで紫苑を(そして読者を)ほんわりキュンとさせる“ほわキュン”を連発! 紫苑はなぜ彼のことを好きになったのか? それを振り返るエピソードにきっと読者も共感し、自然と長谷川くんに魅了されていくハズです…!

 さらに、親友・美月の心情など、前回の青春では気づかなかったことが見えてきたり、記憶とは違う修学旅行の体験をしたり、と新たな展開が続々訪れる、元地味子の紫苑が“リ・メイク”する青春コンティニュー物語。自分の青春について心残りをモヤっと抱えていた方は、ぜひ本作を手に取り、ストーリーを通じて一緒にそのモヤモヤを解消して、甘酸っぱい“青春舞踏会”に参加してみては?


文・手書きPOP=はりまりょう