日本語で“歩く死体症候群”…「ウォーキングデッド・シンドローム」/声に出して読みたい理系用語①

スポーツ・科学

公開日:2020/6/8

言うだけで気持ちいい! 説明できたらカッコいい! 理系でも全部は知らない、珠玉の用語を集めました。思わず人に話したくなる、カッコイイ理系用語が満載の1冊から、10の言葉を厳選してご紹介します。

『声に出して読みたい理系用語』(信定邦洋/KADOKAWA)

あなた、本当は死んでいるんじゃないですか?
ウォーキングデッド・シンドローム

医学
自慢できる度:7

 いきなり恐ろしい響きですね。日本語では「歩く死体症候群」。ゾンビ映画のタイトルにでもありそうです。

 ウォーキングデッド・シンドロームは、1880年にフランスの精神科医ジュール・コタールによって発見された重度のうつ病で、コタール症候群とも呼ばれます。

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 彼によると、43歳の女性「マドモアゼルX」が自分の遺体を焼いてほしいと求めてきたそうです。この女性は極度の自己嫌悪に苦しんでおり、自分には脳や内臓がないと信じていたのだとか。彼女は長い間食事を取っていませんでしたが、別に気にしていないようでした。なぜなら、自分がそのままの状態で永遠に生き続けると思い込んでいたからです。彼女はその後も食事を取らず、ついには餓死してしまいました。

 この病気の患者は、「自分はもう死んでいる」という妄想に取りつかれてしまうようです。中には、自分が腐っていく臭いを感じる人さえいるのだとか。このような妄想が引き起こされるのは、脳の機能不全や自律神経の不調などによるものであり、精神障害の一種とされています。非常にまれな病気で、患者数は世界で100人ほどだと考えられています。

 17歳のアメリカ人女性のケースでは、心理療法の中でもディズニー映画が特に効果があったようです。さすが、「夢と魔法の国」パワー!



<第2回に続く>