なぜ地球は凍らなかった?「暗い太陽のパラドックス」/声に出して読みたい理系用語⑦

スポーツ・科学

公開日:2020/6/14

言うだけで気持ちいい! 説明できたらカッコいい! 理系でも全部は知らない、珠玉の用語を集めました。思わず人に話したくなる、カッコイイ理系用語が満載の1冊から、10の言葉を厳選してご紹介します。

『声に出して読みたい理系用語』(信定邦洋/KADOKAWA)

明るい太陽しか知らないなんて……
暗い太陽のパラドックス

地学
自慢できる度:9

 厨二心がくすぐられるネーミングですね。『HUNTER×HUNTER』の念能力にでもありそうです。

“暗い太陽のパラドックス”
一瞬で相手の周囲の大気ごと燃焼させる。相手は死ぬ。

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みたいな。

 暗い太陽のパラドックスとは、約40億年前、太陽の明るさが現在に比べて7割程度であり、この明るさだと太陽からの熱が足りなくて地球全体が凍りついてしまうはずであるにもかかわらず、実際にはそうはならなかったという矛盾を表す言葉です。パラドックスは「逆説」という意味です。

 この矛盾を解決する仮説には、原始地球の大気は現在よりも多くの温室効果ガス(二酸化炭素やメタンガスなど)を含んでいたためという説などがあります。2017年にアメリカのジョージア工科大学の尾﨑和海氏らが発表した論文によると、特殊な光合成を行う「水素資化性光合成細菌」と「鉄酸化光合成細菌」という2種類の細菌が当時の海に共存していたと仮定すると、たくさんのメタンガスが発生し、太陽の熱が弱くても地球が凍らずに済むとのことです。



<第8回に続く>