「中途ハンパは認めねぇ!」潔いさぎよさが江戸っ子っぽい!?「全か無かの法則」/声に出して読みたい理系用語⑧

スポーツ・科学

公開日:2020/6/15

言うだけで気持ちいい! 説明できたらカッコいい! 理系でも全部は知らない、珠玉の用語を集めました。思わず人に話したくなる、カッコイイ理系用語が満載の1冊から、10の言葉を厳選してご紹介します。

『声に出して読みたい理系用語』(信定邦洋/KADOKAWA)

白黒はっきりつけましょう!
全か無かの法則

医学
自慢できる度:9

 「全か無か、中途ハンパは認めねぇ!」といった感じの潔いさぎよさが、江戸っ子っぽくていいですね。

 全か無かの法則とは、刺激の強さと反応の大きさに関する法則で、悉無律、皆無率、オール・オア・ナッシングの法則、総体および皆無の原理などとも呼ばれます。1本の神経細胞や筋細胞において、刺激の強さが一定の値以下であればまったく興奮せず、それを超えるとどれだけ刺激を強くしても興奮の大きさは一定であるという法則です。1871年にアメリカの生理学者H・P・バウディッチによって提唱されました。

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 ただし、全か無かの法則が成り立つのは、あくまで神経細胞や筋細胞が1本のときだけであり、複数本になると全体としてはこの法則は成り立たなくなります。これは、興奮が起こる最低限の刺激の強さ(閾値)が細胞ごとに異なっており、そのため刺激を徐々に強くしていくと興奮が起こる細胞の本数が徐々に増えていくからです。神経や筋肉には複数の細胞が存在しているので、このしくみにより、刺激の強弱を伝えたり筋収縮に強弱をつけたりすることができるというわけですね。

 なお、1本の神経細胞においては、刺激の強弱は興奮の頻度に置き換えられて伝えられます



<第9回に続く>