親の期待が子どもを育てる? 子どもにプレッシャーを与える“期待”と、勇気を与える“期待”の違い/頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て⑥

出産・子育て

公開日:2020/7/5

親が頑張りすぎないほうが、子どもは伸びる! 個別指導塾で、5000組を超える家庭と面談をしてきた著者が気づいた「本当に頭がいい子の育ち方」。それは、「与えられる」のではなく、「見守ってもらえる」環境だった!

『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(小川大介/KADOKAWA)

頭がよくなる3原則プラス1
プラス1 期待する

「認める」「見守る」「待つ」の3原則を実践できるようになったら、さらに次のステップへ進んでみましょう。それが「期待する」です。

 3原則に親の期待が加わることで、子どもの才能は爆発的に伸びていきます。

 なぜ「4原則」ではなく「3原則プラス1」なのか。それは、「認める」「見守る」「待つ」という関わり方ができていないうちから期待をかけてしまうと、単なる押しつけになり、子どもにプレッシャーをかけるだけになってしまうからです。

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 ですから、まずは3原則が先。期待はそのあとです。

「親の期待」で「現状維持バイアス」を乗り越えられる

「期待」とは、「あなたならきっと、こういうこともできるよね」という、子どもへの信頼に基づく希望・願望のことです。期待の範囲はとても広く、「もう1人でお使いに行けるよね」も期待ならば、「医師を目指してほしい」も期待です。

 期待は子ども主導の考え方とは相反するように見えますが、100%子ども主導では、子どもの能力を伸ばしきれないのも事実です。

 なぜかと言うと、人間は誰しも「現状維持バイアス」を抱えているからです。これは、人生に「変化」よりも「現状維持」を望む心理的作用のことです。

 飲食店でつい、いつものメニューを頼んでしまう、大勢の人が集まるパーティーでつい、なじみの人とばかり話してしまうという経験は誰にでもあるでしょう。

 大人でさえそうなのですから、子どもならなおさらです。完全に子ども主導にしてしまうと、いつまでも現状維持です。

 しかし親が期待を持って背中を押してあげれば、子どもは現状維持バイアスを乗り越え、知らない世界へと踏み出す勇気を持つことができるのです。

「認める」「見守る」「待つ」で子どもの自分軸を育んだうえで、親としての期待を素直に伝えてみましょう。

「信頼に基づく期待」と「単なるプレッシャー」の見分け方

 注意したいのは、その思いが本人への信頼に基づく希望・願望なのか、親の押しつけによる希望・願望なのかという点です。前者は「期待」となり、子どもの背中を押しますが、後者は単なる「プレッシャー」となり、子どもの足かせとなります。

 自分の希望・願望がどちらなのか迷ったときの判断基準は、「わが子の顔で映像が浮かぶかどうか」

 たとえば「子どもには英語が話せるようになってほしい」という願望があったとして、わが子が英語をツールとして外国の人々と友情を育んでいる映像が鮮明に浮かぶなら、それは期待です。このような場合のお子さんへの声かけは「絶対できるようになるから、やってみようよ」といったものになるはずです。

 逆に言えば、わが子の顔でイメージすることができないようなら、それは押しつけである可能性が高いでしょう。このような場合の声かけは「今の時代、英語くらい話せないとダメだから」「できないと困るから」といったものになりがちです。

 期待は確かに親のエゴです。ですが、その自覚を持ったうえで、「親の思い」として期待を伝えることは、何ら問題のないことだと私は考えます。

「認める」「見守る」「待つ」に「期待する」が加わることで、子どもは大きく羽ばたけるようになっていきます。

「認める」「見守る」「待つ」子育てを実践するには?

 ここまで「頭のいい子が育つ3原則プラス1」をご説明してきました。でも、子育て世代の忙しい親御さんたちは、「そんな余裕はないよ」「わかっていても、ついイライラしちゃって……」と思う方も多いことでしょう。

「認める」「見守る」「待つ」子育てに反して、親がやってしまいがちなのは「否定する」「与えすぎる」「あせる」こと。たとえばこのようなことです。

お絵かきに夢中の子に「落書きばっかりしないで、このドリルをやりなさい」
乗り気でない子に「スイミングと英語とピアノくらいは、やっておかないと」
インターネットの情報を見て「幼児期に育脳しないと、遅れを取っちゃう」

 どれも、お子さんの将来を案じるがゆえの思いや行動ですね。でも残念ながら、「否定」「与えすぎ」「あせり」はお子さんの成長の芽を摘んでしまいます。

 ですからこれからは、その「逆」をしていきたいのです。

 不要な否定をやめれば、子どもは「自分は愛されている」と自信を持つことができます。あれこれ与えすぎなければ、子どもは自由な時間を得て、経験したことをじっくりと吸収したり、心のエネルギーをたくわえたりすることができます。そして、親があせらずゆったりとした心で子育てをすれば、家族みんなが毎日をハッピーに過ごすことができるようになります。

 実際、私が見てきた中で、お子さんが意欲を持って学び、毎日を楽しそうに過ごしているご家庭のほとんどは、親御さんがこのような姿勢で過ごしています。

 次章からは、このような子育てが無理なくできるようになるための考え方と行動のヒントを、日々の具体的な生活シーンに即して説明していきたいと思います。

続きは本書でお楽しみください。