発売前の製品に触れて感動しがち/SE女子の日常

ビジネス

公開日:2020/7/1

 発売前の製品に開発実機として触れられるのは、システムエンジニアの楽しみの一つ。元エンジニアの漫画家・ぞえさんも、開発前の製品にワクワクした経験を持つ一人です。そんなSE女子の日常をご紹介します。

 

発売前の製品に触れて感動しがち/SE女子の日常

 

 私は会社員のころ、システムエンジニアとしてとあるメーカーのAndroidスマートフォン開発に携わっていました。

 スマートフォンの開発ということは、発売前にスマートフォンの新しい機種に触れることができるのです。

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 単なるユーザーであれば発売後でしか触れられない製品に、発売前に存分に触れることができるのです!

 もちろん遊びではなく開発者として触れるわけで、何でも好き放題にできるわけではありませんが、自分の担当機能の動作確認ついでに気になっていた新機能を触ってみたりはできるわけです。

 「そういえば今回の機種から、こんな機能が追加されたらしい」
 「今回の機種はこんなコンセプトなのか」

 など、自分の目で見て触ってじっくり確かめることができるのです。

 

開発に関わっていることを実感

発売前の製品に触れて感動しがち/SE女子の日常
絵:ぞえ

 

 会社に入社したての新人のころは、つい最近まではいちユーザーであったわけです。

 いちユーザーであった自分が憧れの携帯電話を開発している、という状況に実感が湧かず、目の前の仕事をこなすのに精一杯でした。

 私が当時使っていた携帯電話は、QWERTYキーがついているガラケーでした。携帯電話本体をカシャっとスライドさせると、パソコンのキーボードのようなキーが出てくるタイプです。

 ガジェット好きなら当時気になった方も多いのではないでしょうか。私もその中の一人でした。

 そんなちょっとマニアックな携帯電話を使っていると、ある日、先輩から「その製品の開発大変だったな〜」なんて話を聞きました。

 そこでようやく、「私は発売前の製品を開発しているんだ。仕事で触るこれらは、これから市場に出ていくものなんだ」と実感したのです。

新しい技術に触れられる楽しさ

 買わないと使えないようなスマートフォンの付属品を使うことができるのも楽しかったです。

 「置くだけ充電」がスマートフォンの新機能として開発されはじめたとき、実際に充電器にスマートフォンを置いてみて、「本当に置くだけで充電されるぞ!」と感動しながら置いたり離したりを繰り返したものです。

 新しい技術に触れられるのは、エンジニアの楽しみの一つです。

 また、開発を担当していたスマートフォンには漫画やゲーム、キャラクターとコラボレーションした機種もありました。

 携帯電話本体の見た目はもちろん、ホーム画面や電話アプリなども特別仕様になっている機種です。

 これがよくできているのです。特別仕様は見た目がメインではありますが、やはり触っていて楽しいものです。

 無駄に電話をかけたり、メールを送ったり、カメラアプリで写真を撮影したり……。試験のために新機能の仕様を探ることもありました。

 特定の角度で放置しないと見られない画面もありました。

 いろいろ試してみて、やっとその画面が見れたときは「使っていて楽しいスマートフォンだなぁ」と感心したりもしました。

 ただ、会社を辞める直前は、発売前の製品に触れられるのに慣れてしまい、驚きや感動も半減していました。慣れとは恐ろしい。

 会社を辞めてしまった今では、もう発売前の製品に触れられないことを少し寂しく思います。

ぞえ

ぞえ

週3勤務でシステムエンジニア、残りは漫画家・イラストレーターとして働いていた元・パラレルワーカー。2019年1月よりフリーランスに。体力がなく、疲れやすい自分でも好きなことをするための方法を探求している。2020年4月に『SE女子の日常』(ふりにちブックス)を刊行。

Blog:「ふりにち」