まつもとあつしの電子書籍最前線Part1(後編)ダイヤモンド社の電子書籍作り

ダイヤモンド社

2011/9/5

こんにちは。まつもとあつしです。
Part1前編の続きをお届けします。

独自ビューアーの開発から『もしドラ』や『適当日記』など、電子書籍でもヒットを生み出しているダイヤモンド社。後編では、電子書籍の売れ筋についてお話を伺いました。
電子書籍の売れ筋とは? 
 

 

ダイヤモンド社 書籍編集局
加藤貞顕(かとうさだあき)

 
1973年生まれ。大阪大学大学院経済学研究科修了。2000年、アスキー(現:アスキー・メディアワークス)に入社。2005年より現職。『英語耳』 『投資信託にだまされるな!』『スタバではグランデを買え!』『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』などの編集を担当。最近はiPhone/iPad用の電子書籍リーダー「DReader」の開発にも取り組んでいる。

――作品によって電子書籍に向いている/向いていないというのはあるのでしょうか? 
 

 
加藤:このマトリクスで考えるようにしていますね。例えば、面白くて役に立つもの代表が『もしドラ』、面白いけど役に立たないものの代表が『適当日記』です(笑)。  
紙の本だと「面白くなくても役に立つ」ものが結構売れるんです。紙の本では役に立つかというのが特に重視される。でも、電子書籍は「面白い」かどうかで売れる/売れないがよりわかれるようになっているんだと感じています。 
 

●もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(岩崎夏海/ダイヤモンド社/App Store) ●適当日記(高田純次/ダイヤモンド社/App Store)

 
スマートフォンでの電子書籍は、ゲームなど他のアプリが比較対象になります。そういうものとの勝負になったときに、やはりお客さんはエンターテイメント性を判断材料に加えているはずです。『もしドラ』も『適当日記』も共通するのは面白くて、さらに「ライト(気軽に読める)」ということです。 
 
ただし、このマトリクスはマスなターゲットを狙うときに有効なものです。電子書籍の場合、全く別のベクトル、つまり極めてニッチな層をターゲットにすることも可能であるはずですよね。500~1000部しか売れなくても十分利益が出るタイプの作品――これは紙の場合原価と流通の関係からとても難しいのですが――もあっていいと思ってます。あるいは、辞書とかページ数の多い写真集など物理的な制約が無くなることでチャンスが拡がるものも当然あるはずです。 
 
――既刊の紙の本と電子書籍の相乗効果を狙うというのが当面の方針になりますか? 
 
加藤:電子書籍が初出となる新作もやっていきたいとは思っていますが、現状では、毎月編成会議を行い、どの本を電子化するかを決定しています。とりあえず電子書籍を数多く出すという方向ではなく、電子化に向いている・効果が期待できそうな作品を吟味・厳選して出すようにしているんです。 
 
――なるほど。先ほどの「薪をくべる」型のマーケティングという観点からも、あまりにも竈(かまど)の数が多いと、くべる薪もそのための人手も足りなくなりますからね。