キャプテンコラム第13回「生まれ変わったダ・ヴィンチ電子ナビをよろしくお願いします」

2011/9/6

ダ・ヴィンチ電子ナビ キャプテン:横里 隆

ぼくたち電子ナビ編集部は、
「子どもゴコロ」を大切にする意味でも学生時代の部活動のようなところがあります。
だから編集長じゃなくてキャプテンなのです。
そしてネットの海を渡る船長という意味も込めて。
みんなの航海の小さな羅針盤になれたらいいなと。
電子書籍のこと、紙の本のこと、ふらふらと風まかせにお話ししていきます。

 「ダ・ヴィンチ電子部」と「Webダ・ヴィンチ」がひとつになって、電子書籍と紙の本の総合情報サイト「ダ・ヴィンチ電子ナビ」(Web版)がグランドオープンしました。

 生まれたばかりの当サイトにお越しいただきありがとうございます。
 (アプリ版の「ダ・ヴィンチ電子ナビ」から利用くださっている方は、ぜひWeb版の「ダ・ヴィンチ電子ナビ」のほうからもアクセスしてみてください)

 振り返れば、昨年11月に電子書籍の情報サイト「ダ・ヴィンチ電子部」が開設され、今年6月にアプリ版「ダ・ヴィンチ電子ナビ」の配信が先行スタートし、この9月6日に、いよいよ当サイトが始動しました。
 1年もたたないうちにめまぐるしく新サービスのスタートとリニューアルが行われ、ユーザーの皆さまも「何が何やら?」と思われているかもしれません。
 日々、変化と進化を繰り返すネットの世界では、メディアも常に変化していく必要があるのです。ぼくたちも頭をグルグルさせながら作っていますので、何卒ご理解ください。

 今回の「ダ・ヴィンチ電子ナビ」での一番の変化は、「一方向」と「双方向」の本格的な融合です。
 掲載する情報として、紙メディア(一方向メディア)情報と、電子書籍(双方向メディア)情報の両方を扱います。
 コンテンツとして、「特集」「連載」「ニュース」などの記事(一方向コンテンツ)と、「まとめて検索」「ユーザーレビュー」「ユーザーランキング」などの機能(双方向コンテンツ)を融合させていきます。
 また、ダ・ヴィンチ本誌(一方向メディア)と、ダ・ヴィンチ電子ナビ(双方向メディア)との連携、連動も行っていきます。
 「一方向」から「双方向」へ、そして「多方向(網の目方向)」へ広がっていく、ダ・ヴィンチ電子ナビに、ぜひご期待ください。

 さて、ダ・ヴィンチ電子ナビとして上記のことを実現していくためには、ぼくたちはもっともっといろいろなものと繋がっていく必要があります。
 そのときのキーワードとして最近思い知ったのは「子どもゴコロ」の大切さです。

 8月27日に放送されたNHKのドキュメンタリー番組、「いのちドラマチックスペシャル/オオカミはこうしてイヌになった ――いま変わる遺伝の常識――」を見ていて気づいたことなのです。とても知的刺激を受けたので、再放送があればぜひ見ていただきたい番組です。
 その内容は、なぜ犬のようにヒトになつく動物が生まれたのか? を探るものでした。
 イヌの代替として、警戒心が強くていまだにペット化されていない野生のキツネを用い、そのキツネを50年かけてヒトになつく種に改良していく過程が紹介されました。
 50年! ロシアの遺伝子学者による長期に渡る研究が見事でした。その成果として、キツネがまるで犬のように尻尾をふってヒトにじゃれつき、甘えた鳴き声を発する様はまさに驚くべきものでした。
 遺伝子学者が研究しているからといって、遺伝子操作をしてそのようなキツネを生み出したわけではありません。その方法は、数多くの野生のキツネの中からヒトに対する警戒心の低いものを選別し、その交配を繰り返すというものでした。年に一回の出産を50年繰り返すことによって生まれた50代目のキツネは、そのほとんど(80%以上)がヒトになつきやすいキャラクターとして生まれてくるようになったのです。

 そうして生み出されたキツネたちは、驚くべきことに、性格だけでなく容姿まで変化していました。遺伝子情報は他のキツネたちとまったく同じなのにもかかわらず、その容姿はかわいらしいものになっていたのです。
 顔は少し丸顔になり、鼻は短くなり、尻尾が巻き尾になり、耳がたれたり、白い模様が出てきたりと。

 それらの変化は、子ギツネの特徴が大人ギツネになっても残っているというものでした。
 番組の進行役である生物学者の福岡伸一さんいわく「どんなに獰猛な動物でも、生まれたばかりの子どもは警戒心を持っていません。だからライオンの子どもを抱いたりできるのです。警戒心は成長するに従って備わってくるもの。ヒトになついたキツネたちは、ヒトに対する警戒心が低いという子ギツネの特徴を持ちつづけたものなのです」と。
 ゆえに容姿も子ギツネの特徴を残すようになったというのです。これは、非常に興味深い発見でした。

 子どもが持っている「他者への好奇心」を、いつしか大人は「他者への警戒心」に代えていくということなのでしょう。その機能はどちらも生きていくために必要なものだと思います。生まれたばかりの子どもは、目の前にいる親に絶対的な信頼を持たなければ生きていけないし、同時に好奇心を持って学んでいかなければ成長できません。
 一方、大人になるに従って、周りにはたくさんの敵がいることに気づき、それらに警戒しなければ生きていけなくなります。子どもや家族を守っていけないのです。オオカミもキツネもヒトも、みな同じです。
 イヌがオオカミという種から分岐してヒトと友達になったのは、オオカミの中でヒトに対して警戒心の低い個体が何百年何千もかけて凝縮されイヌとなり、ヒトとの信頼関係を確立していったものだったのです。

 そこで考えます。
 過剰な警戒心が他者への攻撃となり、戦争となるのだとしたら、「子どもゴコロ」を残したまま決して警戒心に飲み込まれず、大人にならないヒト、すなわち好奇心を優先したヒトが増えていけば世界は平和になるのではないかと。
 「大人にならない子どもたち」のモラトリアムの延長に関しては、よくネガティブな言われ方をされてきました。さまざまなオタクたちの増加も、中2病という言葉も、揶揄して扱われることが多かったものです。
 でも、もしかしたら世界が平和になるヒントがそこにあったのかもしれません。

 ネットの世界は他者と縦横無尽に繋がっていくもので、好奇心を大切にすべきものだということはよくわかっています。
 だとしたら、ぼくたちはオオカミではなくイヌになるべきなのですね。
 子どもゴコロを失わないでどこまでも行こうということなのですね。
 なるほど、ネット上に素晴らしい遊び場=「ほぼ日刊イトイ新聞」を作り上げた糸井重里さんが、ずっと遊びゴコロを大事にし、ブイヨンという愛犬をとてもかわいがっていらっしゃるのも、みな繋がって見えてきました。
 やっぱり糸井さんはすごいなあ。

 もちろん、ネットの中には危険もいっぱいあります。ウィルスもあるし、他人を騙そうとしている人たちもいます。
 そういうものを警戒することも必要ですが、できればそれを上回る子どもゴコロでキラキラと乗り越えて行きたいものです。

 このダ・ヴィンチ電子ナビも、みんながイヌのようにじゃれ合ったり、鼻をクンクンしたり、グルングルン走りまわれるような、そんな遊び場にできたらいいなと思っています。

 さあぜひ、一緒にあそびましょ。

(第13回・了)

※キャプテンコラムは、これから隔週の水曜日に更新していきます。次回は9月21日(水)の12:00に更新する予定です。 よろしければぜひまたお越しくださいませ。今回もまた、つたない文章を最後まで読んでくださってありがとうございました。どうかあなたが、日々あたたかな気持ちで過ごされますよう。

第1回 「やさしい時代に生まれて〈その①〉」
第2回 「やさしい時代に生まれて〈その②〉/やさしい時代における電子書籍とは?」
第3回 「泡とネットとアミノメの世界の中で」
第4回 「電子書籍の自費出版が100万部突破!〈その①〉/メリットとデメリット」
第5回 「電子書籍の自費出版が100万部突破!〈その②〉/出版界の反撃」
第6回 「海、隔てながらつなぐもの」
第7回 「ITユーザー(あなた)は電子書籍の行間を読むか?〈その①〉」
第8回 「ITユーザー(あなた)は電子書籍の行間を読むか?〈その②〉」
第9回 「もしもエジソンが電子書籍を作ったら?〈その①〉」
第10回 「もしもエジソンが電子書籍を作ったら?〈その②〉」
第11回 「大きい100万部と小さい100万部」
第12回 「ぼくがクラシックバレエを習いつづけているわけ」