キャプテンコラム第3回 「泡とネットとアミノメの世界の中で」

2011/9/5

ダ・ヴィン電子ナビ キャプテン:横里 隆

ぼくたち電子ナビ編集部は学生時代の部活動のようなところがあります。
だから編集長じゃなくてキャプテンなのです。
そしてネットの海を渡る船長という意味も込めて。
みんなの航海の小さな羅針盤になれたらいいなと。
電子書籍のこと、紙の本のこと、ふらふらと風まかせにお話ししていきます。

広大な宇宙における銀河の配置を俯瞰して見ると“泡構造”なのだそうです。

これは現在NHKで放送中の宇宙番組、「コズミックフロント ~発見!脅威の大宇宙~」の⇒「ハッブル宇宙望遠鏡 銀河の泡の謎に挑む」(4月5日放送)にて紹介された最先端の発見です。


す、すごい!
ぼんやりテレビを見ていて思わす声が出てしまいました。
ぼくたちが生きている宇宙って、泡のようなものだったのです。
泡って言われても、ちょっとわかりにくいと思いますが、
ぼくたちの太陽系が所属している銀河や、アンドロメダ星雲など多くの銀河は、
ブクブクと湧き上がる泡の膜にあたる位置(泡と泡の境界面)に集中して存在しているということなのです。

ちなみに、泡の気泡にあたる部分はポッカリと空いていて、
ここには謎につつまれた「ダークマター」という物質が存在しているとのこと。
なんてことでしょう。
ビッグバンで生まれたこの宇宙は、爆発物が周囲に飛散していくように、
ランダムな配置の星々がひたすら拡散しているものと信じていました。
でも、どうやらそうではなかったのです。
これって、素数に規則性があるというのと同じくらいの
ものすごい発見なのでは?と、勝手に興奮してしまいました。

ご存知の方も多いと思いますが、素数の配置には規則性がなく、
その登場パターンを予想することは不可能だと、ながらく思われてきました。
よって素数は高度な暗号作成にも用いられてきましたし、
パターンがランダムであるがゆえに偶発性の証明のような存在でもあったのです。
数学上の未解決問題のひとつである「リーマン予想」は、その素数に関わる定理です。
リーマン予想が証明され、一定の規則性があるとなったら、
ぼくたちが生きているこの世界や人生には、偶然というものはないのでは?とさえ考えてしまいます。
運命論者ではないけれど、そうなるとすべては必然なのだろうか、と。

同じように、規則性はないと思われていた宇宙の構造に、
泡のような一定の規則性があるなんて。
なんだか素敵なことのように思いますが、それってどういうことでしょう?
妄想的連想ゲームを楽しんでみたくなります。

そもそもぼくたち人間だって、
細胞のひとつひとつが泡のように集ってできている存在ともいえます。
そして泡構造は、視点を変えれば網(ネット)構造ともいえます。
ということは、宇宙の構造も、生物の構造も、インターネットの構造も、
みな共通しているっていうことでしょうか?
頭がくらくらしてきます。

そんなふうにくらくらぐるぐるしていたら、
「ほぼ日刊イトイ新聞」掲載の「アミノミズム。あっちとこっちがくっつくぞ。養老孟司さんとの雑談1時間」の〈その5〉⇒「系統樹から網の目へ。」にて
まさに養老さんと糸井さんが「網の目」に関するお話をされていました。
養老さんいわく、従来は、生物進化を「系統樹」として木の枝のように描いてきましたが、どんどん枝分かれするというのはたぶん嘘で、生物進化というのは網の目じゃないかと思うんです、とのこと。
そのことを糸井さんが、「アミノミズム」と名づけられていました。

網の目だからアミノミズム!
生物学だって経済だってみんな網の目だと。
なんて、知的刺激に満ちた対談なのでしょう。
系統樹のようなタテ構造ではなく、
複雑に絡まり合ったアミノメ構造は、均等で平等な構造と言えるかもしれません。
「FREE」と「SHARE」が実現される構造なのかもしれません。

宇宙の泡構造と、ネット社会と、生物学と、経済と、
養老さんと、糸井さんと、アミノミズムと、いろんなことが繋がって網になって泡になって・・・・。
ああ、頭の中もブクブクと沸騰して泡になってきました。

泡(宇宙)と、
ネット(ソーシャルネットワーク社会)と、
アミノメ(生き物の世界)。

これから、ものごとの構造を見極めるキーワードはこの3つだと思うのです。

(つづく)

※キャプテンコラムは基本、毎週月曜日の12:00に更新予定です。次回、キャプテンコラム第4回は、「海、隔てながら繋ぐもの」の予定です。今回もまた、つたない文章を最後まで読んでくださってありがとうございます。どうかあなたが、日々あたたかな気持ちで過ごされますよう。

よこさと・たかし●1965年愛知県豊川市生まれ。信州大学卒。1988年リクルート入社。94年のダ・ヴィンチ創刊からひたすらダ・ヴィンチ一筋! 2011年3月末で本誌編集長をバトンタッチし、電子部のキャプテンに。いざ、新たな航海へ!

第1回 「やさしい時代に生まれて〈その①〉」
第2回 「やさしい時代に生まれて〈その②〉/やさしい時代における電子書籍とは?」
第3回 「泡とネットとアミノメの世界の中で」
第4回 「電子書籍の自費出版が100万部突破!〈その①〉/メリットとデメリット」
第5回 「電子書籍の自費出版が100万部突破!〈その②〉/出版界の反撃」
第6回 「海、隔てながらつなぐもの」
第7回 「ITユーザー(あなた)は電子書籍の行間を読むか?〈その①〉」
第8回 「ITユーザー(あなた)は電子書籍の行間を読むか?〈その②〉」
第9回 「もしもエジソンが電子書籍を作ったら?〈その①〉」
第10回 「もしもエジソンが電子書籍を作ったら?〈その②〉」
第11回 「大きい100万部と小さい100万部」
第12回 「ぼくがクラシックバレエを習いつづけているわけ」