年齢性別問わず「初恋ってイイなぁ」と嘆息する! こんな超王道ラブストーリーを待っていた

マンガ

公開日:2020/9/11

恋のはじまり
『恋のはじまり』(蒼井まもる/講談社)

 先日発表された「次にくるマンガ大賞2020」で特別賞を受賞した『パリピ孔明』、アニメ「鬼滅の刃」のOPを歌うLiSAさんが「次にくる!」と推薦した『【推しの子】』、作者のジャスミン・ギュ先生がSNSで重版決定の報告をした、先週の『ケンシロウによろしく』と、この連載で紹介した作品が話題になることが増えてきた。「マンガPOP横丁」が“次にくるマンガの最前線コーナー”だという気概で続けていきたいと思うので、気になるマンガ作品を探す参考として今後もぜひご活用いただけるとありがたい。

 さて、今回の作品も、みなさんの心にグッとくること間違いなしの、女子高生の初恋を描いた“次にくる”純愛青春ラブストーリー。蒼井まもる先生の『恋のはじまり』(講談社)をご紹介!

いいなぁと思っていた憧れのイケメン男子が、まさか私のことを…!?

 仲の良い2人の友達と楽しい学校生活を送る蜂谷さん(ニックネーム=はっち)は、彼氏が欲しいと夢見る女子高生。そんなはっちには、憧れの男子がいる。他の女子にも人気が高いイケメンの集まるサッカー部のイケメン・オブ・イケメン男子、水野くんだ。

 ある日の恋バナの中で、友達の栞が「彼氏ができた」と告白。そこで「彼氏紹介するからみんなでお昼食べよう」と、はっちともう1人の友人ナオミと共に学食で顔合わせすることに。そして彼氏のいるテーブルへ向かうと…なんと彼氏の隣にはあの水野くんがいるではないか。突然の出来事に困惑するはっち、そして大盛りカレーを頼んだことに後悔するはっち…! とはいっても、初対面だし私のことなんて気にしてないだろうと考えたはっちが、そのカレーを大口で口に運んだ瞬間、水野くんが愛嬌たっぷりに笑いだす。しかしそれがキッカケで、水野くんははっちに話しかけてくるのだ。

 はっちのニックネームの話から、実は一緒の塾に通っていたという話まで…憧れの水野くんとの話が盛り上がる。会話の途中で、放課後にみんなで遊ぼうと栞が提案するが、それも実は、はっちと水野くんの距離を近づけさせるための作戦らしい。その待ち合わせ時間に共通の話題を通じて2人が少しずつ心を開いていく中、栞からは「彼氏と2人きりになりたい」とはっちにメッセージが届く。水野くんといきなり2人きりという状態が実現、しかも下校中にははっちの心をつかむ、水野くんによる“最高キュン”とするハプニングが…!

 恋愛経験ゼロだった女子高生はっちが、憧れのイケメン男子高校生と奇跡的に出会い、彼の“甘うれしい言葉”にその都度ドキドキしちゃう、直球ストレートで純度100%の青春ラブストーリーだ。

 まさに「こんな初恋がしたかった…」と思わせてくれる、超王道で爽やか系の青春恋愛マンガ。連載は少女系雑誌だが、きっと男子でも確実にキュンキュンしながら楽しめることを自信を持って宣言したい!

 主人公の女子高生はっちは、とても表情が豊かな元気ガール。恋愛を知らない彼女の初々しいその姿をみれば、はっちの友達のように読者も応援したくなる。そんなはっちが憧れているイケメン男子の水野くん。彼はイケメンでありつつ天然なところがあって、それを会話の中でたびたび発揮する。それが、はっちを思わずキュンとさせる“甘い言葉”だ。ズルい…、キュンとしないわけがない!

 彼は“友達”としての会話をしているつもりなのだが、これがはっちの恋心をくすぐる。こんな“会話の解釈のスレ違い”もこのマンガの重要な悶えポイントだろう。絶妙な距離感での特別な駆け引き、これが初恋。大変甘酸っぱい。

 はりま的には、水野くんのサッカーの試合前日に、はっちが彼の手に書いてあげるおまじないのエピソードは究極。こんなの絶対惚れる! 初恋をはぐくむ2人だけでなく、はっちの背中を押してくれる友達や、はっちにとっての恋のライバルの存在…いろんな女子の姿にも注目していただきたい。

ケンシロウによろしく

 今年こんなにも真っ直ぐで王道の青春物語に出会えたのは、ラッキーでハッピーだ。年齢性別問わず恋したいと願う方、または今しているという方、そして初恋をもう1度味わってみたい方――このラブストーリーがあなたの心を満たし、恋のエネルギー補給作品になってくれることをココに保証いたします。

「初恋はイイよなぁ」がギュッとキュンと詰まった1冊です!

文・手書きPOP=はりまりょう