鈴木誠也の「剣豪が最後に行きつく境地のようなスイング」に注目! 見所をトクサンTVメンバーが語りつくす/プロ野球が100倍おもしろくなる座談会③

スポーツ・科学

更新日:2020/10/6

YouTubeのチャンネル登録者数57万人(2020年9月現在)の大人気野球YouTubeチャンネル「トクサンTV【A&R】」。野球に対する確かな知識と理論で、現役プロ野球選手や野球大好き有名人も数多く視聴している同チャンネル。本連載では、そんなトクサンTVメンバーが、プロ野球で活躍する選手のスゴさを語りつくします!
第3回は、広島東洋カープ・鈴木誠也選手について。

鈴木誠也
(C)水森崇史

高校時代は、速球派のピッチャーだった

ライパチ

ライパチ
今回は、セ・リーグの打者をテーマにしてみましょう。ならば、侍ジャパンの4番を務めたこともあるこの人、広島東洋カープ、鈴木誠也選手デ~ス!

トクサン

トクサン
2016年に3試合連続で決勝本塁打を放ち、「神ってる」と話題になった選手だね。それが、あれよあれよという間に、侍ジャパンの4番だよ。スゴイよ。

アニキ

アニキ
高校時代は150km/h近い球を投げる、バリバリのピッチャーやったよな。だから、肩もめっちゃ強い。プロでも最初はピッチャーやった?

トクサン

トクサン
いや、プロに入るときは野手としてだったね。もちろん、ピッチャーとしても好素材なんだろうけど、打力と走力がハイレベルで、そこが買われたんだと思う。

ライパチ

ライパチ
守備のポテンシャルが、とんでもないですよね。僕らは2019年のWBSCプレミア12のとき、取材で見ましたけど。

トクサン

トクサン
そうそう。肩の強さがね。ちょっと異様なほどだった。外野からボールを返すんだけど、40~50mの距離をまっすぐ投げる。僕らの肩の高さくらいを保って、ボールがずっと進んでいく。

アニキ

アニキ
さすが、元ピッチャー、と言いたいところやけど。鈴木選手が特別なんよ。あんな送球はめったにない。

実は中距離ヒッター?

ライパチ

ライパチ
ただし、その鈴木選手、侍ジャパンの4番でさえあるのだけど、彼を育てられた内田順三元打撃コーチが、著書(『二流が一流を育てる』〈KADOKAWA〉)の中で、元々は中距離ヒッターだと思っていた、と書いておられるんですね。どうなんでしょう?

トクサン

トクサン
たしかに、例の「神ってる」と話題になったときも、ジャイアンツの岡本和真選手や、ライオンズの山川穂高選手のような、「長打を期待された若手がそれに応えた!」という首脳陣の反応ではなかったね。なんか、「ラッキーボーイがホームラン連発してしまった」という空気さえあった。

アニキ

アニキ
本質的には、中距離ヒッターのままのような気がするな。フェン直(フェンス直撃)多いし。

トクサン

トクサン
たぶん、中距離ヒッターの資質のまま、大きく成長したんだろうね。しかも、貴重な右バッター。しかも、勝負強い。日本の宝のように成長した。

アニキ

アニキ
技術的には、コンパクトに振ってるな。大きく振って飛ばそうというタイプじゃない。基礎を充実させたような形。でも、打球は遠く飛んでいく。ひと皮むけて、あそこまで成長してしまったんやな。

ライパチ

ライパチ
打率も残せるし、3冠王にいちばん近い選手かもしれない。

アニキ

アニキ
なんというか、ボクシングで、すべての基礎を積み重ねて、チャンピオンになった選手みたいなもん。キラーパンチなくても、基礎だけでチャンピオン。

「巨大過ぎる基礎!」

トクサン

トクサン
長距離打者って、スイングの中に特殊な動きがあったりするもの。たとえば、山川穂高選手なら、構えた位置からグリップを1度下げて上げるヒッチという動きがある。一般的には、なくてもいい動作なんだけど、彼には必要。それで自分のタイミングをつくってるんだ。でも、鈴木選手には、そういう動きもない。

アニキ

アニキ
たしかに、鈴木選手は「どすこい」(山川選手がやる、ファンに向けた本塁打後のパフォーマンス)とかやらんからな。

ライパチ

ライパチ
いや、そんな、打って、フェンスオーバーして、塁を回って、本塁踏んで、ベンチの前でファンに向けてやる動きではなくですね…。

アニキ

アニキ
わかっとるわ。でも、剣豪が最後に行きつく境地のようなスイングするもんな。すべての無駄を省いた、究極の形。

トクサン

トクサン
打球方向も、基本的に右中間かセンター方向を意識していると言うね。そうすると、ボールに逆らわない形で打ち返せる。だから、飛ぶんだよ。

ライパチ

ライパチ
そんな意識づけで、試合前の練習もしてるんでしょうね。

トクサン

トクサン
スタジアムに行ったら、そんな視点で練習を見るのもいいだろうね。ティー打撃など、いろんなやり方があるから。ただし、それぞれの打ち方には意味があるので、少年野球の選手なんかは、理由を考えてマネしてほしいな。

ライパチ

ライパチ
さて、恒例の鈴木誠也選手を表すキャッチフレーズで締めましょうか。

アニキ

アニキ
さっき、言うたやん。鈴木選手の技術は、すべて基礎の延長線上にある。でも、身体がデカく成長した。肩も恐ろしく強い。足もある。基礎の形で巨大化したわけや。つまり、「巨大過ぎる基礎!」これやな。

トクサン

トクサン
うん。身体が大きくなるかは別にして、みんながマネしても、どこかに得るところがある。そんな、すばらしい選手だと思うよ。

 

取材・文=新宮 聡(企画室ノーチラス) イラスト=水森崇史 写真=松本祐亮

<第4回もお楽しみに!>

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