ちょっとズレてる自称イケメンが、悩める人を全身全霊で救う! 空前絶後の学園ギャグ漫画

マンガ

公開日:2020/10/23

『イケ田くん』(渥美駿/小学館)
『イケ田くん』(渥美駿/小学館)

 私はりまが厳選したおすすめマンガをPOPとあわせてご紹介する本連載。今年9月発売のタイトルで同レーベルから強烈な2作のギャグ漫画が誕生していた。それはまるで“光り輝く2人のイケてる男子”によるトンデモない功績の記録。今週と来週でその2作品をご紹介していきたい。

 さて、「イケメン」とはそもそも何だろう? 世間一般では「容貌、容姿の美しい男」「魅力的な男」という意味で使われているようだが、それに該当するかどうかを決めるのは、第三者である。果たして、他人から認められなければ「イケメン」と名乗ってはいけないのだろうか? 世の常識をぶっ壊し、自らイケメンと名乗っている男子の場合は…? そんな他の人の感覚とはちょっと違う“まぶしく輝いたイケてる男子”が、渥美駿先生の『イケ田くん』(小学館)の中にいた! 自称イケメンの男子高校生が巻き起こす数々のエピソードとは!?

自称イケメンの創った「イケメン部」に勧誘された引っ込み思案女子は…

 今日から高校生活が始まるというタイミングで、小川百恵は、引っ込み思案だったこれまでの生活から脱するため、いわゆる高校デビューを目指していた。そんな意気込みを抱えながら初日の登校をしていると、生徒に向かって自信満々に自己アピールしながら挨拶をする人物がいた。自分を「イケメン」と称する、池田くんその人である! ド派手な自己紹介を終えた途端、彼は小川さんを見つけて、パリコレ的なウォーキングで近づくなり、「も・し・か・し・て~ 入りたいんじゃないの!? イケメン部に」と謎の部活「イケメン部」へのスカウト。あまりに突然で怒涛のような入部勧誘にドン引きした小川さんはそそくさと逃げ出す…、が、実際は逃げられなかった。

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 なぜなら、池田くんとまさか同じクラスだったからだ。クラス内での池田くんは、ものの見事にクラスの生徒から距離を置かれる“ドーナツ化現象”が起きていた。小川さんも同様に避けようとするものの、いざクラスの他の子と仲良くなろうと行動するも元々の引っ込み思案が勝ってしまい、その輪にうまく入れない。落ち込みながら廊下を歩く小川さんに、声をかけてきた人物が――そう、あの池田くんである。再び対面する池田くんに対して、小川さんは思い切って池田くんがなぜ全身で“イケメン風”でいるのかを聞いてみる。まさかこれが、彼女がイケてる高校生活を送るための大きな一歩となるとは知らずに。本作は、自称イケメンの池田くんが彼独自の方法で、暗く萎んだ心を持つ人たちに明るい光を当てて開花させていく、超イケてる学園青春物語である。

 他の人とは明らかに違う、池田くんの奇抜な行動の数々。これだけで判断すれば、当池田くんはただのヤバいヤツ。完全にクラスから、いや、学校内全体でも浮いた存在なのだが、彼の邪気のない“さらけ出しスタイル”が、実は悩める人たちを救うことになる。その最初の1人が小川さんというわけだ。避けているクラスメイトは気付かない彼の本当の魅力、まさに“イケメンぶり”が、彼と関わることでわかっていくのである。

 イケメンのオーラだけでなく、上半身の肉体もさらけ出しがちの池田くん。読者も不思議と勇気と希望をもらえる「イケ田語録」が作中で炸裂する。彼はまさに、日本のJ.Y.●●●●さんと言っても過言ではないだろう。本作では、イケてる子の代表としてクラスカースト上位の美少女・神田さんも池田くんに接近してくる。同じイケてる子でもタイプがまったく真逆の2人がどう交わっていくのか、ぜひページを開いて確認していただきたい。

 イケメン道を貫き、己のことを全身全霊で賞賛する池田くん。ウザキャラかもしれないが、そのブレない生き様はとても清々しく羨ましい。この作品は、読者を何度も笑わせ明るくしてくれて、さらにイケてる心にさせてくれるので、落ち込んだ時の“エナジーマンガ”としてもぜひオススメしたい!


文・手書きPOP=はりまりょう