クレームになりやすい人とならない人は“対応力”に違いがあった! 好かれる人と嫌われる人の“語尾”の特徴/なぜか好かれる人がやっている100の習慣⑦

ビジネス

公開日:2020/11/5

家族、恋人、友人、同僚、上司…人間関係に悩んでいませんか? 好かれる人とそうでない人の違いは“ちょっとした振る舞いや仕草”です。心理術とキャリアコンサルタントの経験から、人間関係のコツやコミュニケーションを良好に行う方法を厳選してお伝えします!

なぜか好かれる人がやっている100の習慣
『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(藤本梨恵子/明日香出版社)

事実をそのまま伝えない

 人は自分のことを理解して欲しいものです。正論では人の気持ちを動かすことはできません。あるアパレルショップでジャケットを選んでいるとき、私が「このテーラードジャケットで、色が紺じゃなくて、ベージュがあったら最高なんですけどね」と言うと、販売員は「でも、ないので」と言いました。

 これは正論です。販売員にしたら真実を言っただけで、悪気はありません。でも、私がこのお店で買い物をすることはありませんでした。

 心理学的にもお客様は気分が良いときに買い物をします。自分の気持ちを受け止めてもらえないと、人の気分は良くなりません。もし、その販売員が「そうですよね。ベージュのジャケットがあればよかったですね。置いてなくて申し訳ございません」と私の気持ちを受け止めてくれていたら、私はこのお店で他の商品を買ったかもしれません。

 実際にベージュのジャケットがあるかどうかには関係ないのです。「ベージュのジャケットが欲しい」という気持ちを受け止めることが重要です。正そうとするのではなく、理解することが必要です。トラブルにならない人はこの部分が上手です。正義感の強い人はついつい人を正そうとしてしまいます。

 飛行機で「すいません、中日新聞ありますか?」と聞くと、客室乗務員は「いいえ、中日新聞はございません」とは言いません。「はい。少々お待ちくださいませ」と答えてから、新聞を複数持参し、「お客様、申し訳ございません。当機には中日新聞はございませんが、読売新聞と日経新聞ならございます。いかがいたしましょうか?」と言います。まずはお客様の気持ちを受け止めるのでクレームにならないのです。

 さらに、要望に応えられないときは、代替案を用意して話すことで、よりクレームになるリスクが下がります。学校で保護者からのクレーム対応が上手な先生は「なるほど、お気持ちわかります」とまず気持ちだけをくみます。「対処します」と言ってしまうとできないこともあります。まずは相手の気持ちをくむことで、ことを荒立てずにすむのです。

 好かれる人は「そうなのですね」とまずは、相手の気持ちを受け止めます。嫌われる人はすぐに「それ、違います」と正論を言います。正論では人の心は動かないのです。

なぜか好かれる人がやっている100の習慣

相手を正そうとする前に、まずは気持ちをくむ!

語尾を疑問形に

 A「コピーお願いします」

 B「コピーお願いしてもいいですか?」

 あなたは、AとBどちらの頼まれ方なら快く引き受けますか?

 多くの人はBのほうではないでしょうか?

 Aは相手からの命令で、自分に選択権はありません。Bは自分に選択権があります。質問されているので、コピーを断ることもできます。

 人は自分に選択権のないことは嫌いなのです。

 例えば、これが身分制度時代で、王様の命令で「お前は死刑」と宣告されたら命の保証はありません。

 自分に選択権がないのは危険です。だから、現代でも人は直接的に命令されると、無意識に反発を覚えるのです。

 私が以前、勤めていた会社の上司も「これ、やってください!」「〇〇はやめてください!」と仕事の指示がすべて直接命令形で、しかも語尾が強いのです。当然、強制感が強くなります。結果、部下からの反発も強く、協力が得られず降格となりました。

 好かれる人はお願いごとの語尾を「?=疑問形」で話し、嫌われる人は命令系で話します。

 「コピーお願いしてもいいですか?」も間接的には相手に命令をしています。でも、選択権が自分にあるので、抵抗なく、同意しやすいのです。これは「命令挿入」と言い、人に影響力を与えることができる言語スキルです。

 他のセラピストがさじを投げたクライアントでも治すことで有名なミルトン・エリクソンが、クライアントの潜在意識に働きかけ、抵抗なく同意を得るのに使っていた方法です。

 A「コピーお願いします」→ 直接命令で選択権がなく、反発を覚える

 B「コピーお願いしてもいいですか?」→ 間接的な命令で、同意しやすい

 同じ内容でも、語尾の違いで相手に与える影響力が随分変わってしまうのです。

なぜか好かれる人がやっている100の習慣

相手に選択する余地を与える!

続きは本書でお楽しみください。